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睡眠時無呼吸症候群と事故
睡眠時無呼吸症候群は重大な事故を引き起こします。アメリカでは、いくつかの重大事故の原因に睡眠不足があることが明らかになったことから、睡眠障害への対策が取られています。
1993年には、アメリカでは睡眠障害研究国家委員会により、国をあげての調査がおこなわれ、「WAKE UP AMERICA(目覚めよ!アメリカ)」という報告書が取りまとめられました。報告書では、4000万人のアメリカ人が不眠に悩み、睡眠障害によって1年に160億ドルの損害が発生していることが明らかにされました。
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日本では、2003年に山陽新幹線の事故をきっかけに、睡眠時無呼吸症候群が知られるようになりました。
関連するページ 睡眠時無呼吸症候群の歴史
●日本国内における睡眠時無呼吸症候群が原因の主な事故
下記の事故はほんの一部です。発覚していない事故を含めると、かなりの事故数になるとされています。
| 日付 |
内容 |
| 2003年2月 |
山陽新幹線の運転手(身長170cm、体重100kg)が、前日にしっかり睡眠(10時間)をとったにもかかわらず時速270kmで8分間、26kmにわたり居眠り運転をしました。
自動列車制御装置が作動し、岡山駅ホームの途中で自動停車したため、大事故にはつながりませんでした。運転手は車掌に起こされるまで熟睡し、その後の検査で睡眠時無呼吸症候群と診断されました。 |
| 2003年10月 |
名古屋鉄道新岐阜駅(現名鉄岐阜駅)で、急行列車が車止めに衝突、脱線して乗客4人が負傷しました。
運転手(34歳)は、その後の検査で中等度の睡眠時無呼吸症候群と診断されました。3月に会社がおこなったアンケートでは、眠気などの自覚症状は全くありませんでした。 |
| 2004年3月 |
羽田発山口宇部行きの全日空機で、機長(50歳)が飛行中に居眠り。検査のため操縦室にいた国土交通省職員(試験官)の指摘でいったん目を覚ましたが、再び居眠り。幸いにも自動操縦中のため、乗客・乗員184人に怪我はありませんでした。
事故後の調査では、睡眠時無呼吸症候群と自己管理意識の欠如が原因とされました。
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| 2005年7月 |
山口県沖で貨物船が停泊中であった液化ガス船に衝突。重油が周辺に流出するなどの事故になりました。
事故後の調査では、睡眠時無呼吸症候群だった見張り役の一等航海士の居眠りが原因とされました。
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| 2005年11月 |
滋賀県の名神高速道路でパンクのために低走行していたワゴン車に大型トラックが衝突。7人が死亡する事故になりました。
事故の原因は居眠り運転とされ、トラック運転手は重度の睡眠時無呼吸症候群との診断を受けていました。 |
| 2009年10月 |
熊本県で遊漁船が岩場に衝突して釣り客2人が死傷。船長の居眠りが原因とされ、事故後の検査で船長は中等度の睡眠時無呼吸症候群と診断されました。 |
| 2010年10月 |
横浜市営地下鉄戸塚駅で湘南台行き電車が800m通り過ぎました。
運転手(44歳)は指令所からの無線連絡で通過に気付いて戸塚駅に戻り、2600人に影響。運転手は睡眠時無呼吸症候群の疑いがあり、経過観察中でした。
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睡眠時無呼吸症候群と全身疾患※2
海外での調査によると、睡眠時無呼吸症候群にかかっている人は健常者に比べて「高血圧」を発症するリスクは2倍、狭心症や心筋梗塞などの「心臓血管障害」を発症するリスクは3倍、脳梗塞やクモ膜下出血などの「脳血管障害」を発症するリスクは4倍も高いという結果となりました。
睡眠時無呼吸症候群にかかっている人は、その他にも糖尿病、高脂血症などの病気を発症するリスクが高いことが、多くの研究によりわかっています。
高血圧、心臓血管障害、脳血管障害を発症するリスク(オッズ比)
アイスランドで1313人を対象におこなわれた大規模な調査によると、睡眠時無呼吸症候群にかかっている人のうち、51%の人が高血圧を合併、21%の人が心筋梗塞(もしくは心不全)を合併、10%の人が高血圧と心筋梗塞(もしくは心不全)を合併していました。
睡眠時無呼吸症候群にかかっている人は、糖尿病、心筋梗塞、心不全、高血圧など多くの病気を合併する割合が高いことが多くの研究によりわかっています。
睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病の合併率

関連するページ 糖尿病
●睡眠時無呼吸症候群の重症度と脳卒中を発症、死亡するリスク※3
睡眠時無呼吸症候群にかかると、脳卒中により死亡するリスクも高まります。
一例として、アメリカで1022人を対象に6年間にわたっておこなわれた大規模な追跡調査によると、健常者に比べると睡眠時無呼吸症候群にかかっている人は、脳卒中を発症して死亡するリスクが高いという結果となりました。
特に重度の睡眠時無呼吸症候群では死亡する確率が健常者の3.3倍にもなりました。
脳卒中を発症、死亡するリスク(ハザード比) ※SAS:睡眠時無呼吸症候群
※AHI(無呼吸低呼吸指数)とは
睡眠中1時間あたりの無呼吸と低呼吸の回数の合計で、睡眠時無呼吸症候群の重症度の目安となります。
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睡眠時無呼吸症候群の重症度と高血圧発症との関係※4
睡眠時無呼吸症候群の症状が悪いほど、高血圧を発症しやすくなります。
アメリカで709人を対象に8年間にわたっておこなった大規模な追跡調査によると、健常者に比べると軽度の睡眠時無呼吸症候群の人は2.03倍、中等度から重度の睡眠時無呼吸症候群の人は2.86倍も高血圧を発症するリスクが高まるという結果となりました。
高血圧を発症するリスク(オッズ比) ※SAS:睡眠時無呼吸症候群
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睡眠時無呼吸症候群と交通事故※5
多くの研究により、睡眠時無呼吸症候群にかかっている人は、健常者よりも交通事故を引きおこす確率が高いことがわかっています。
アメリカでの調査によると、睡眠時無呼吸症候群にかかっている人の交通事故発生率は、健常者の7倍も高いという結果となりました。
交通事故発生率が高いのは、いびきや無呼吸によって睡眠が妨げられた結果、運転中に寝てしまったり、うとうとしてしまったり、注意力が低下するためです。
交通事故発生率
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睡眠時無呼吸症候群と生存率※6
たかが「いびき」と思われる方も多いと思いますが、適切な治療をおこなわないと、睡眠時無呼吸症候群は命を奪います。
下記グラフは、睡眠時無呼吸症候群にかかった人の生存率を比較した、カナダでおこなわれた有名な研究です。
中等度から重度の睡眠時無呼吸症候群患者(AHI20以上)の生存率は明らかに低く、治療をおこなわなかった人は、5年後には13%、8年後には37%が死亡していました。
生存率が低いのは、いきや無呼吸によって体に過度の負担がかかり、心臓発作や交通事故などで死亡する確率が高くなるからです。
睡眠時無呼吸症候群患者の生存率
イスラエル、スペインなどでおこなわれた多くの大規模調査では、50歳以下の睡眠時無呼吸症候群患者の死亡率は高く、70歳以上の睡眠時無呼吸症候群患者の死亡率は低いという結果となりました。
高齢の睡眠時無呼吸症候群患者の死亡率が低いのは「生存者効果」といわれ、高齢まで死亡せずに生き抜く何らかの機能が備わっていたためとも考えられています。
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睡眠時無呼吸症候群と突然死※7
睡眠時無呼吸症候群にかかっている人は、睡眠中に突然死をおこすリスクが高まります。
アメリカでの調査によると、睡眠時無呼吸症候群にかかっている人は、夜中の0時から朝6時までの時間に突然死をおこす割合が高いという結果となりました。これは、睡眠中の無呼吸や低呼吸が体に様々な弊害をもたらし、死に至ることを示しています。
突然死(心原性)の発生時刻
※1 A Report of National Commission on Sleep Disorders Research. Wake up
America.A National Sleep Alert;1993 ※2 Gislason T:Snoring and systemic hypertension.Acta Med Scand 222:1987 etc ※3 H. Klar Yaggi,et al:Obstructive Sleep Apnea as a Risk Factor for Stroke and Death.New England Journal of Medicine 353,2005 etc. ※4 Peppard PE, Young T, Palta M, Skatrud J. Prospective study of the association between sleep-disordered breathing and hypertension. N England J Med. 2000 May 11;342(19):1378-84. ※5 Findley LJ, Fabrizio MJ, Knight H, Norcross BB, LaForte AJ, Suratt PM. Driving simulator performance in patients with sleep apnea. Am Rev Respir Dis. 1989 Aug;140(2):529-30. etc. ※6 He J, Kryger MH, Zorick FJ Conway W,et al.: Mortality and apnea index in obstructive sleep apnea : experience in 385 male patients. Chest 1988, 94: 9-14etc. ※7 Gami,A.S et al.:Day-night pattern of sudden death in obstructive sleep apnea. N Engl J Med 342,2005
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