睡眠時無呼吸症候群の歴史は浅く、今から50年ほど前の1976年に病名がつけられました。治療の歴史も浅く、現在最もおこなわれている治療方法であるCPAP(シーパップ、鼻マスク)がは1998年、スリープスプリント(マウスピース)は2004年に健康保険が適応になりました。
当クリニックでは2001年、睡眠時無呼吸症候群の歯科治療がまだほとんど普及していない時期から治療をおこない、2022年までに5000人の患者様が受診されました。
年 | 出来事 |
1956 | 重度の肥満で、昼間に居眠りばかりしているなどの特徴をもつ患者の症状が、作家チャールズ・ディケンスの小説「ピックウィック・クラブ」にでてくる少年に似ていることから、「ピックウィック症候群」という病名がつけられました。 小説「ピックウィック・クラブ」に登場する「少年ジョー」 |
1965 | 睡眠中の呼吸停止が気道が塞がってしまうことが原因であると認識されました。 |
1971 | 睡眠中の呼吸停止に気管切開が有効と報告されました。これ以降、喉を切って気道を確保する「気管切開」は、他の治療がおこなわれるまで有効な治療方法として多くの患者さんにおこなわれました。 |
1976 | 睡眠中の無呼吸や低呼吸をおこす病気に対して「睡眠時無呼吸症候群」の病名がつけられました。 名付け親・クリスチャン・ギルミノー博士 関連するページ いびきと睡眠時無呼吸症候群 |
小児の睡眠時無呼吸症候群が報告されました。 関連するページ 子供の睡眠時無呼吸症候群 |
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1981 | オーストラリアでCPAP(シーパップ、鼻マスク)による治療が初めておこなわれました。最初は日立製の掃除機を改良したものでした。現在では睡眠時無呼吸症候群の治療では最も多く用いられています。 最初のCPAP 現在のCPAP 関連するページ CPAPについて |
日本人医師によって、口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)による手術がおこなわれました。現在でも有効な治療方法として、多くの患者さんにおこなわれています。 口蓋垂軟口蓋咽頭形成術の術前(左)と術後(右) 関連するページ 睡眠時無呼吸症候群の外科手術 |
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1982 | マウスピース(TRD)が開発されました。 |
1984 | マウスピースが睡眠時無呼吸症候群の治療に効果があることが、学会(ヨーロッパ睡眠学会)で初めて発表されました。 |
1986 | 埼玉県開業の歯科医師により、日本でもマウスピース(スリープスプリント)が開発されました。 |
1990 | 上下顎骨前方移動術(MMA)が初めておこなわれました。 関連するページ 睡眠時無呼吸症候群の新しい治療 |
1993 | アメリカの大規模な調査で、睡眠時無呼吸症候群の患者数が多いことや、睡眠時無呼吸症候群が原因で重大な事故を引きおこしていることが報告されました。この報告をきっかけとして、アメリカでは睡眠に対する関心が高まりました。 関連するページ 睡眠時無呼吸症候群の生存率、事故との関係など |
自動調節機能のついたオートCPAPが開発されました。 | |
いびきのレーザー手術(LAUP)が初めておこなわれました(フランス)。 | |
1994 | 日本で終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)が健康保険適応になりました。 関連するページ 終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査) |
骨延長術(仮骨延長術)が初めておこなわれました(アメリカ)。 | |
1998 | 日本でCPAPによる治療が健康保険適応になりました。これ以降、日本でも睡眠時無呼吸症候群の治療では、最も多く用いられるようになりました。 |
ラジオ波(高周波)による治療が初めておこなわれました。 | |
2003 | 山陽新幹線の運転手が居眠り運転事故をおこしました。運転手は後の検査で睡眠時無呼吸症候群であることがわかりました。この事故をきっかけに、日本でも睡眠時無呼吸症候群が知られるようになりました。 |
2004 | 日本でマウスピース(スリープスプリント)による治療が健康保険適応になりました。これ以降、CPAPによる治療、外科手術と並んで、多くの患者さんがマウスピースによる治療をおこうようになりました。 スリープスプリント 関連するページ スリープスプリント |
2008 | 軟口蓋インプラントによる治療が始まりました(アメリカ) |
2010 | 体内埋め込み型装置による治療「舌下神経電気刺激療法(HNS)」が2010年にヨーロッパ、2014年にアメリカで始まりました。 関連するページ 睡眠時無呼吸症候群の新しい治療(舌下神経電気刺激療法) |
2021 | 日本で舌下神経電気刺激療法が健康保険適応になりました。 |
現在 | 睡眠時無呼吸症候群の治療をおこなうことのできる国内医療機関も少しずつ増えてきました。しかしながら国内患者数は2200万人もおり、治療を受けていない人がまだまだ多い病気となっています。 |