●いびきはなぜおきるのでしょう
      
      いびきは睡眠中に舌やのどの筋肉の緊張が低下したときや、鼻やのどの病気や障害、肥満などによって気道(空気の通り道)が狭くなるときにおきます。気道がふさがれて狭くなり、そこに空気が通ると粘膜が振動し、いびきの発生となります。
      
      
      
      ●いびきの原因
      
      いびきには様々な原因がありますが、肥満、あごの形、扁桃肥大、鼻づまりが最も大きな原因となっています。
      
      主な原因
      肥満/アルコール/老化/小下顎(小さなあご)/巨舌(大きな舌)/低位舌/鼻閉(鼻づまり)/アレルギー性鼻炎/睡眠薬、精神安定剤、筋弛緩薬などの薬物服用/副鼻腔炎/扁桃肥大/喫煙/甲状腺機能低下症/ダウン症候群/口唇口蓋裂/
脳性麻痺/
マルファン症候群/ターナー症候群/
筋ジストロフィー/先端巨大症/クルーゾン症候群/トリチャーコリンズ症候群/ピエールロバン症候群/アペール症候群/プラダー・ウィリー症候群/キアリ奇形 ほか
      
      
 肥満も睡眠時無呼吸症候群の一因
      
      
      
      ●睡眠時無呼吸症候群とは
      
      いびきが悪化すると睡眠時無呼吸症候群となります。睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に無呼吸(呼吸が止まること)や低呼吸(呼吸の低下)が繰り返される病気です。その結果、十分に睡眠がとれず、日中の眠気、仕事の能率低下、居眠り運転事故などを引きおこしやすくなります。
      
      また、無呼吸や低呼吸は循環機能に負担をかけるため、不整脈、高血圧、心不全などの症状が高い確率であらわれます。
      
      「循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に 関するガイドライン 2023年改訂版」(日本循環器学会ほか10の学会が策定)によると、
日本国内の睡眠時無呼吸症候群の患者数は2200万人、中等度から重症の睡眠時無呼吸症候群の患者数は940万人とのことです。
      
      
 日中の眠気
      
      関連するページ  AHIとは(睡眠時無呼吸症候群の診断基準)
      
      
      
      ●睡眠時無呼吸症候群の症状
      
      代表的な症状は大きないびきや昼間の眠気ですが、全く自覚症状がない人も多くいます。
      
      
主な症状
      大きないびき/睡眠中の多動/夜間の頻尿/夜尿症/ 熟睡感の欠如/性格の変化(イライラする、キレやすい、うつなど)/夜間の寝汗/夜間の咳/睡眠中の窒息感、息切れ、あえぎ呼吸/早朝の頭痛/性機能低下(男性、ED)/不眠/日中の強い眠気/倦怠感/集中力の欠如/歯ぎしり/ドライマウス(口腔乾燥症)
      
      関連するページ  睡眠時無呼吸症候群と歯ぎしり  睡眠時無呼吸性頭痛
      
      
      
      ●睡眠時無呼吸症候群の合併症
      
      睡眠時無呼吸症候群にかかると、高血圧、糖尿病、腎臓病、
心筋梗塞、心不全、不整脈、脳梗塞、
胃食道逆流症、
認知症(アルツハイマー型)、
うつ病、
がん(前立腺がん、乳がん)などの合併症が高い確率で発生します。
      
      
主な病気の睡眠時無呼吸症候群の合併頻度※
      高血圧59%/糖尿病86%/心房細胞(心臓病)81%/脳卒中71%
      
      
※「2023年度版 循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン」(日本睡眠学会ほか10の学会で作成)より
      
      
合併症
      
      関連するページ  睡眠時無呼吸症候群の生存率、事故との関係など
      
      
      
      ●睡眠時無呼吸症候群の損失
      
      睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、日本では2003年に山陽新幹線で睡眠時無呼吸症候群の運転手が居眠り運転事故をおこしてから注目されるようになった病気です。
      
      睡眠障害は山陽新幹線の事故だけでなく、スリーマイル島原子力発電所事故(1979年)、スペースシャトル爆発事故(1986年)、アラスカ沖の史上最悪のタンカー事故(1989年)など、大事故の原因にもなっています。
      
      睡眠障害による経済的損失は、日本では医療費を含まない額で年3.4兆円と試算されています。アメリカでは、未治療の睡眠時無呼吸症候群患者の損失は16兆円(2015年、1496憶ドル)と試算されています。
      
      
関連するページ  職業運転者の睡眠時無呼吸症候群
      
      
      
      ●睡眠時無呼吸症候群の治療方法
      
      軽症から中等度の睡眠時無呼吸症候群はスリープスプリント(マウスピース)、中等度から重症の睡眠時無呼吸症候群はCPAP(鼻マスク)による治療がおこなわれます。睡眠時無呼吸症候群に気付いている人は少ないため、治療を受けている人が極めて少ないのが現状となっています。
      
      
      1)スリープスプリント(口腔内装置)  主に軽度〜中等度に適応
      主にいびき症、軽度から中等度の睡眠時無呼吸症候群は、スリープスプリント(マウスピース)による治療がおこなわれます。CPAPと併用して治療がおこなわれることもあります。
      
      スリープスプリントは、身体に負担をかけず安価な治療法として用いられ、口の中に装着することで下あごを持ち上げて、いびきや無呼吸の原因となる下あごや舌の落ち込みを防止します。
      
      
 スリープスプリント(口腔内装置)
      
      スリープスプリントは、問題がなければ2〜3回のご来院で簡単に作製できます。また、手術や持ち運びの不便な大きな器具は必要ありません。ほとんどの方にいびきの改善がみられます。お気軽にご相談ください。
      
      関連するページ  スリープスプリント  スリープスプリント Q&A
      
      
      2)CPAP(持続的陽圧呼吸装置、しーぱっぷ)  中等度〜重度に適応
      鼻にマスクを装着して加圧した空気を気道に送り込むことにより、気道の閉塞を防ぎます。一晩中陽圧がかかることによる不快感があり、使用できない人もいますが、家庭でも簡単に使用でき、最も効果の高い方法です。中等度から重度の睡眠時無呼吸症候群の治療に用いられます。
      
      
 
      CPAP装着前(左)とCPAP装着後(右)
      
      関連するページ  CPAPについて  CPAP Q&A
      
      
      3)外科手術  適応症に制限があります
      外科手術は睡眠中の気道の閉塞を防ぐためにおこないます。口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)、アデノイド摘出術等の方法があります。昔はかなりおこなわれていましたが、1998年にCPAPによる治療が、2004年にスリープスプリントが健康保険適応になったため、現在ではあまりおこなわれていません。
      
      
 口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)前(左)と後(右)
      
      関連するページ  睡眠時無呼吸症候群の外科手術
      
      
      4)LAUP、ナイトレーズ、スノアレーズ、パルスサーミア 一部は学会が否定
      LAUP(レーザー口蓋垂軟口蓋形成術)は「いびきのレーザー手術」ともいわれる方法ですが、学会ガイドラインでは「睡眠時無呼吸症候群の治療として推奨できない」としています。ナイトレーズ、スノアレーズ、パルスサーミアは、レーザーを使用したLAUPよりも負担の軽い治療です。
      
      
関連するページ  睡眠時無呼吸症候群の治療効果
        
      
      5)薬物治療  ほとんどおこなわれていません、補助的な治療
      軽度の睡眠時無呼吸症候群の治療の際に、呼吸を促す薬「アセタゾラミド」などが使用されることがありますが、中等度から重度の睡眠時無呼吸症候群には効果がないと考えられています。
      
      関連するページ  睡眠時無呼吸症候群の薬物療法
      
      
      6)そのほかの治療 舌下神経電気刺激療法は2021年に保険適応
      上下のあごの骨を前に出す手術(骨延長術、上下顎骨前方移動術)、2021年に健康保険適応になった胸に小さな装置を埋め込んで改善する治療(舌下神経電気刺激療法)などがあります。
      
      
 関連するページ  睡眠時無呼吸症候群の新しい治療
      
      
      
      ※いびき治療の受診をご希望の方は、お手数ですが事前にご予約ください。
      
      ※当クリニックへのアクセスについては、下記のページをご覧ください。
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      関連するページ  いびき・睡眠時無呼吸症候群