ダウン症候群とは

ダウン症候群は最初の報告者であるイギリスのダウン博士にちなんで、名前がつけられました。21番目の染色体が1本多く3本あるため、21トリソミーともよばれます。

筋肉の緊張が低く発達に遅れがみられます。心臓、消化器、眼の病気、甲状腺機能低下症、難聴を合併することがあります。

平均寿命は1950年代までは10歳以下であったものの、心臓や消化器の合併症治療の成績が向上したことによって1970年代から寿命が延び、現在の平均寿命は60歳前後とされています。寿命が延びていることによりダウン症候群の人口は増加しています。

700〜1000人に1人の割合で生まれるとされ、出産の高齢化があるものの出生前診断により出生数は増加していません。年2200人前後が出生し、国内患者数は5万人とされています。

ダウン症

当クリニックではダウン症候群の方の歯科治療をおこなっています。歯とお口の健康、歯科治療について、ご不明な点等がありましたらお気軽にご相談ください。

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歯、口腔の特徴

ダウン症候群の方は、受け口、舌が大きい、歯周病になりやすいといった特徴があります。


1)歯
歯の生え変わりが遅く、永久歯の数は少なく、歯の形の異常(歯が小さい、歯の根が短い)がみられます。

乳歯では乳側切歯(前から2番目の歯)、永久歯では側切歯(同2番目)、第2小臼歯(同5番目)、第2大臼歯(同6番目)、親知らずがないことが多い傾向にあります。

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2)あご
上あごの成長が悪く、口蓋(口の天井)が狭く、受け口(下顎前突)などの不正咬合がみられます。2/3が受け口となっています。矯正治療が保険適応されていることもあり、矯正治療を受ける小児は増加しています。

関連するページ  健康保険適応の矯正治療


3)舌
舌が大きく見えるほか、舌を出す癖があります。



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4)口唇
口唇は厚みがあり、口唇や舌の筋肉が弱く、口をポカンと開いていることが多いため、ドライマウス(口腔乾燥症)になりやすい傾向があります。

関連するページ  口唇閉鎖不全症(お口ポカン)  ドライマウス(口腔乾燥症)


5)虫歯
歯が生えるのが遅い、永久歯の数が少ないなどの理由により、小児期では虫歯になりにくい傾向がありますが、成人では頑固な性格から歯みがきを嫌がり、虫歯が多発することもあります。

虫歯ができてしまっても、問題なく治療ができることが多いのですが、どうしてもできないときは、全身麻酔を使用しての治療となります。

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6)歯周病
90%以上が歯周病で、10歳代で歯周病にかかり、進行が早く、20〜30歳代で重症化し、30〜40歳代で急速に歯が抜けていく傾向にあります。

早い時期に歯肉からの出血や歯がぐらつき始めます。歯のぐらつきは、歯の根が短いことも一因ですが、免疫機能の問題が大きいとされています。また、十分な歯みがきができればよいのですが、自立心や自尊心が強いと、保護者や介護者による介助みがきを受け入れず、歯周病が悪化します。

歯周病は心臓病など、全身の健康とも関係があることが明らかにされています。歯周病の予防のためには、3〜4ヶ月ごとに歯石の除去や歯のクリーニング(口腔ケア)を歯科医院でおこなうなどの対応が必要となります。

歯周病が進行しやすい理由
歯周病を最も進行させる細菌が多い/口呼吸、歯列不正、少ない唾液により口内が汚れやすい/あまりかまずに丸のみすることが多く肥満になりやすい/歯の根が短い/免疫力が高くない

歯のクリーニング

関連するページ  歯周病  歯周病と全身とのかかわりについて  歯周病と肥満


7)歯肉増殖
1割前後がてんかんを合併しているとされ、てんかんの薬の副作用によって歯肉が腫れやすくなります。口内を清潔にすることで予防ができますが、汚れていると歯肉が増殖して、時には歯が見えなくなるほど歯肉が増殖します。歯肉の増殖がひどい場合は、歯肉の切除が必要となります。

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8)いびき、睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群を発症する割合が極めて高く、発症率は6割以上とされています。日本ダウン症協会会員2000人を対象におこなった調査では、睡眠中にいびきをかく人は73%、見た目で無呼吸が確認された人は32%にもなりました。

治療では睡眠時にマウスピース(スリープスプリント)を装着して治す方法がありますが、装着時に違和感を強く訴えることがあるなど、使用できないこともあります。

睡眠時無呼吸症候群の発症率が高い理由
あごの成長が悪い/口の中の容積が狭い/肥満傾向

関連するページ  いびき・睡眠時無呼吸症候群


9)摂食嚥下障害
早食い、偏食など食行動、筋機能の低下、舌を前に出すくせといった飲み込む機能の障害や食べ物を押しつぶす機能、かむ機能の低下、歯の本数が少ない、歯並びの問題から、個人差が大きいものの半数以上に食べる、飲み込む機能の障害がみられます。

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10)誤嚥性肺炎
よくかまずに丸のみして食べる傾向にあります。丸のみは誤嚥(食べ物や唾液が誤って気管に入ってしまうこと)しやすく、肺炎の原因になります。日ごろから歯みがきをしっかりおこない、定期的に歯科医院で歯のクリーニング(口腔ケア)をおこなうことが大切となります。

関連するページ  訪問歯科  誤嚥性肺炎  誤嚥性肺炎 Q&A


11)感染性心内膜炎
乳児の6割前後に先天性の心臓病があり、心房中隔欠損は4割、心室中隔欠損は2割にみられるとされています。

感染に対する抵抗力が低いことが多く、抜歯など出血を伴う治療には、感染性心内膜炎の予防のために事前に抗生物質を服用するなどの対応が必要となることがあります。

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10)栄養
筋肉の障害による姿勢や運動機能の発達の遅れ、首の骨の異常(環軸椎不安定性)や心臓病による運動の制限、加齢による体重増加により、肥満や糖尿病になりやすい傾向にあります。肥満は心臓病や睡眠時無呼吸症候群の症状を悪化させ、糖尿病は歯周病の症状を悪化させます。

子供の時期から管理栄養士による栄養指導を受けるなどして、栄養コントロールと運動の習慣を身につけていくことが必要となります。

当クリニックには管理栄養士が在籍し、栄養、偏食などのご相談をお受けしています。お気軽にご相談ください(要予約)。

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ダウン症候群と歯科治療

明るく、温厚で人なつこいことが多く、治療は比較的容易にできますが、治療においては本人からの理解が得られない場合がほとんどです。そのため、家族の協力が必要となります。

歯科への受診のきっかけは、歯がなかなか生えてこない、歯が生える順番が兄弟と違う、かみ合わせがおかしい、歯みがきを嫌がるなどです。

10〜30%が首の骨が不安定なため(環軸椎不安定性)、脊髄が圧迫されたり、損傷を受けると手足、感覚などの麻痺がおきることがあります。治療時は首の位置、顔や首に衝撃を与えないなどの配慮が必要となります。

歯ブラシ



中川駅前歯科クリニックの対応

当クリニックでは、他の患者様と同じくダウン症候群の方の虫歯や歯周病の予防処置、歯のクリーニング(口腔ケア)、歯科治療、栄養相談などをおこなっています。歯やお口の健康に関して、ご質問、ご要望等がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

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