摂食嚥下訓練とは

摂食嚥下(せっしょくえんげ)訓練は、食べる機能、飲み込む機能の維持、改善するためのリハビリです。訓練方法は、間接訓練と直接訓練の2つに分けられます。

間接訓練は食物を使用しない訓練で、筋力の訓練、感覚や反射の感受性を変化させる訓練、呼吸や構音の訓練、嚥下訓練などが含まれます。食物を使用しないため安全性が高く、歯科医師など医療スタッフの適切な指導を受けて、自宅でも簡単におこなうことができます。

直接訓練は、実際に食物を食べる訓練で、少しずつ摂取量を増やしていきます。直接訓練は楽しみとして口から食べることを安全に続けていくこと、栄養摂取として口から食べることを目的とします。


摂食嚥下訓練について、詳しくは訪問歯科診療の際に、あるいは当クリニック外来にてお問い合わせ下さい。担当の歯科医師がご説明させていただきます。また、ご希望があれば摂食嚥下訓練をさせていただきます。

摂食嚥下訓練の前に、入れ歯の未使用、合わない入れ歯、大きな虫歯などの歯科的問題があれば、まずはこれらの歯科治療から始めることをお勧めします。歯科治療は、下記訓練よりも効果的なことがあります。

関連するページ  摂食嚥下障害  摂食嚥下障害 Q&A  摂食嚥下障害 セルフチェック



摂食嚥下障害の症状と間接訓練

下記は摂食嚥下障害の方にみられる、代表的な症状に合わせた間接訓練の方法です。検査により、どこの機能に問題があるかを明らかにして、問題となる機能を摂食嚥下訓練により維持、改善していきます。間接訓練はあまり楽しくないため、無理のない程度で、なるべく負担の少ない方法を選択することが、訓練を継続できるコツです。

症状 間接訓練の方法
唇が閉まらない、口から唾液が流れる 口唇と頬のマッサージ  ブローイング
舌、口腔周囲の可動訓練  構音訓練
舌、口腔周囲の筋力負荷試験
唇、舌の動きが悪い
鼻に抜ける声がする、鼻から食物が出る
準備運動 リラクゼーション(嚥下体操)
かすれた声がする、声が異常に小さい プッシング法
発声できる時間が短い
飲みこむ動作ができない アイスマッサージ
Kポイント刺激法  嚥下反射促通手技
食道が開かない メンデルソン手技  頭部拳上訓練
痰が多い、咳がうまくできない 咳嗽(かいそう)訓練
腹式呼吸  排痰(はいたん)法
呼吸が小さい




間接訓練

1)口唇と頬のマッサージ
唇や頬が固くて閉じないとき、それが原因で食物や唾液が口から出てしまうときなどにおこないます。指で唇を挟んで動かしていきます。


2)舌、口腔周囲の可動訓練
舌や口唇、頬の動く範囲が少ないときは、可動域訓練をおこないます。舌や唇を最大限に動かせます。自分で舌を動かせないときは、ガーゼで舌をつかんで前に引き出します。

舌、口腔周囲の可動訓練 舌、口腔周囲の可動訓練

関連するページ  低位舌(あいうべ体操)


3)舌、口腔周囲の筋力負荷訓練
舌や口唇、頬はある程度動かせるものの、特定の方向への動きが弱いときにおこないます。専用の訓練器具「パタカラ」を使用したり、スプーンやストローを使用して訓練をおこないます。

舌、口腔周囲の筋力負荷訓練 舌、口腔周囲の筋力負荷訓練

関連するページ  口腔筋機能療法器具“パタカラ”


4)構音訓練
同じ器官を使用することから、構音訓練は摂食・嚥下障害に応用できます。パ行、タ行、カ行、ラ行を利用します。

まずは「パ」などの単音の構音訓練から始め、続いて「パパパ…」など単音の繰り返し、「パタカ、パタカ…」の繰り返し、最後は文章を言うという流れでおこないます。

構音訓練 構音訓練


5)ブローイング
主に声が鼻から抜けるときや食物が鼻から出るときにおこないます。水を入れたコップにストローでぶくぶくと泡立つように吹くなどします。唇が閉じないとうまく吹けないため。唇を閉じる訓練にもなります。

ストロー以外では、吹き出しのおもちゃ、おもちゃのラッパ、風船を使用する方法があります。

ブローイング ブローイング


6)リラクゼーション(嚥下体操)
訓練ではなく、準備体操的な意味合いでおこなわれます。飲みこみに関する筋肉を深呼吸をする、肩を上下に動かす、背伸びする、舌を出して左右に動かす、首を回したり、首を倒す等をおこない、一通り動かします。

リラクゼーション 肩を上下に動かす  嚥下体操 首を倒す


7)プッシング法(プッシング エクササイズ)
かすれた声がする、声が異常に小さい、発声できる時間が短いときにおこないます。いすや机を押す(もしくは引く)と同時に「あー」、「エイ!」など大きな声を出します。

重い荷物を持つときに「よいしょ!」と声がでることがありますが、その様な状況をイメージしておこないます。


8)アイスマッサージ
摂食・嚥下訓練の方法として、最もおこなわれている方法です。冷水をつけた綿棒、あるいは事前に水をつけて凍らせた綿棒を使用して、のどに刺激を加えます。この刺激により嚥下反射が誘発されます。


9)Kポイント刺激法
比較的軽い嚥下障害(仮性球麻痺)に対して有効な方法で、奥歯の後方(臼後三角後部後方の内側)を刺激すると、開口反射、嚥下反射がおきます。


10)嚥下反射促通手技
嚥下反射がなかなおこらない人に対しておこないます。のど仏を左右から上下に摩擦刺激して、嚥下反射を誘発させます。


11)メンデルソン手技
食道が開かないときにおこないます。実際におこなえる人は少ないため、そのときは頭部拳上訓練をおこないます。


12)頭部拳上訓練
食道が開かないときにおこないます。寝た状態で、肩を床につけたまま頭を足の指が見えるまで持ち上げて下げるという動作を繰り返します。


13)咳嗽(かいそう)訓練
咳がうまく出来ないときは、咳をする訓練をおこないます。咳嗽訓練により、腹筋やのど(声門閉鎖、鼻咽腔閉鎖機能)の強化も期待できます。


14)腹式呼吸
腹式呼吸によって深い呼吸を心がけます。呼吸の機能を高めることで、気管に食べ物が入った場合でも排出しやすくなります。


15)排痰(はいたん)法
痰がうまく出せないときにおこないます。



関連するページ  訪問歯科  食育  認知症


摂食嚥下訓練
摂食嚥下訓練 横浜・中川駅前歯科クリニック