●先天性無歯症とは

先天性無歯症とは生まれつき歯の数が通常より少ない病気です。6本以上少ない人は遺伝、遺伝子の変異、感染などを原因としているとされ、発症率は人口の0.1%ほどとされています。

歯がない部位は、上あごの中切歯(一番前の歯)が際立って少なく、上あごの側切歯(前から2番目の歯)と小臼歯(前から4、5番目の歯)、下あごの第2小臼歯(前から5番目の歯)が多い傾向にあります。

無歯症に加えて毛髪、汗腺、爪の十分に発達しない「無汗性外胚葉形成不全症」は11〜18歳頃に病気が見つかることが多く、有病率は10万人あたり21人とされています。そのほか、全身の病気の一つの症状として先天性無歯症を合併することがあります。

小児

先天性無歯症の検査、治療は当クリニックでおこなっています。お気軽にご相談ください。

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先天性無歯症と歯科

1)幼児期
幼児期でもレントゲン写真を撮影することでどの程度、永久歯がないかが分かりますが、無歯症に対する治療をおこなうことはあまりありません。

幼児期は入れ歯やインプラントの適応が難しく、歯がないために十分な栄養の摂取ができなかったり、発育成長に影響を及ぼします。栄養指導を受けるなどして栄養面でのサポートが必要となります。

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2)思春期
乳歯のかみ合わせの面がすり減ったり抜け落ちるだけでなく、永久歯が生えてこないために、かむ機能の低下だけでなく見た目に対する心理的影響も受けます。

早期の治療として入れ歯を作製することが多いものの、入れ歯の装着によりかみ合わせが大きく変化することが多く、入れ歯に慣れるまでに期間がかかる傾向にあります。

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3)インプラント
人工の歯を骨に埋め込む「インプラント」についてはあごの骨の成長が悪いため、特に上あごでは難症例となることが多く、慎重に進めていく必要があります。

インプラント治療をおこなう時期としては様々な意見があり、乳歯が抜け落ちたらすぐにインプラントを入れるべきという意見がある一方で、下あごの前歯は7〜8歳、上あごではさらに高齢になるまで待つべきとの意見があります。日本口腔インプラント学会では成長期はあごの骨が成長するのでインプラント治療は避けるべきとしています。

インプラント

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4)矯正治療
永久歯がたりないために歯と歯の間に隙間ができてしまったときは、矯正治療で隙間をうめることがあります。

親知らずを除く6本以上の歯が生まれつきなければ、矯正治療は健康保険が適応になります。ただし、保険適応の矯正治療は使用できる材料に制限があり、マウスピースを使用した矯正治療などは使用できません。

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先天性無歯症に対する歯の再生治療薬の開発

先天性無歯症に対する歯の再生治療薬は通称「歯生え薬」といわれます。京都大学で2007年に特定のたんぱく質(USAG−1)が歯の数を増やせることが発見され、2019年にマウス、2021年に犬での実験に成功しました。人への応用は2022年に前臨床実験を実施、2024年から治験が始まりました。

今後の展開としては、医療ニーズが極めて高い先天性無歯症(6本以上の歯の欠損)に対する有効性を確認した後に、1〜5本の先天性欠如(生まれつき歯がない人、発症頻度10%)や高齢者を中心に国内5800万人以上いるとされる虫歯や歯周病などで歯を失った人への応用が検討されています。

研究



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