●ジルコニアインプラントとは
ジルコニアインプラントはセラミックスでできたインプラントです。従来のチタン製のインプラントは金属を使用していますが、ジルコニアインプラントは金属を全く使用しないため、見た目に優れるほか、身体により優しく、金属アレルギーの人でも使用できます。
世界では2000年前後に治療が始まり、2005年前後に欧米諸国で使用が国から認可されました。
日本では1993年に広島大学で治療がおこなわれたものの、このときは上手くいきませんでした。実質的には、日本では2009年に始まった新しいインプラント治療です。
セラミックを使用したインプラントの中には、サファイアインプラント(バイオセラムインプラント)というインプラントもありますが、これは1978年に日本で開発され、主に1980年代に使用されていた古いインプラントです。現在は使用されていません。
チタン製インプラント(左)とジルコニアインプラント(右)
※当クリニックでは、ジルコニアインプラントだけでなく、チタン製インプラントの治療もおこなっています。
※ジルコニアインプラントは、2つのメーカーのジルコニアインプラントを使用しています。
関連するページ インプラントの構造 インプラントの歴史
●ジルコニアとは
ジルコニアは酸化ジルコニウムを安定化させたセラミックです。インプラントやかぶせ物(クラウン)の材料としてだけでなく強度があることから、ロケットの耐熱タイル、F1のブレーキなど、苛酷な環境にも使用されています。また、人体に対する安全性が高く、体に優しい材料であることから、人工関節などにも使用されています。
関連するページ ジルコニアインプラント Q&A ジルコニア・オールセラミックス
●従来のインプラントと比較したジルコニアインプラントの利点
金属を全く使用しないので、金属アレルギーの心配がありません。身体に優しいインプラントです。金属アレルギーの人でも、インプラント治療を受けることができます。
インプラント体が白いため見た目に優れます。
白色のため、歯肉がやせても銀色のインプラントが見えることはありません
関連するページ チタンアレルギー(金属製インプラントのアレルギー)
●従来のインプラントと比較したジルコニアインプラントの欠点
開発・製造メーカーが少なくインプラントの種類も少ない。適応範囲が狭い。
チタン製インプラントに比べると、費用が高い傾向があります。
日本ではまだ認可されていないため(欧米諸国では2005年前後に認可)、また新しい治療のため、治療をおこなっている歯科医院は殆どありません(全体の0.3%以下)。
種類は少なく、上下が分かれた「2ピース」(右)は殆どありません
関連するページ インプラント治療の流れ(ジルコニアインプラント) インプラントの寿命
●従来のインプラントとの比較
種類 | チタン製インプラント | ジルコニアインプラント | |
材質 | 純チタン チタン合金 | セラミック | |
メーカー | 多い(100社以上) | 少ない(10社前後) | |
種類 | 様々な種類がある | 種類は限られる | |
適応症 | 適応となる症例が広い | 適応となる症例は限られる | |
実績 | 多い(数千万本以上) | 少ない(50万本以下) | |
始まり | 1965年 | 2000年前後 | |
金属アレルギー | 発症リスクあり | 発症リスクなし | |
審美性 | 劣る | 優れる | |
厚生労働省 | 認可 | 認可外(欧米などでは認可) | |
医療機関 | 多い | 殆どない | |
費用(当院) | 22万円(手術+下部構造) | 35万円(同) |
研究者 | 発表年 | 結果 |
フライブルグ大学(ドイツ) チューリッヒ大学(スイス) |
2016年 | 4196の研究論文から厳選した9論文(398本)を精査したところ、ジルコニアインプラントの生存率は95.6%であった。 |
インスブルック医科大学 (オーストリア) |
2016年 | 4年間に販売されたジルコニアインプラント(ゼラメックス、2ピース)15255本を調べたところ、96.7〜99.4%(製品よって異なる)の成功率だった。 |
クニハ グラハルト歯科 (ドイツ) |
2015年 | 44人にジルコニアインプラント(ストローマン ピュア)を埋入したところ、成功率、生存率とも97.6%だった。 |
バルセロナ大学 (スペイン) |
2010年 | 831本のジルコニアインプラント(セラルート)の成功率(5年後)は95%だった。 |