糖尿病とインプラント治療
●糖尿病とは
糖尿病は、尿に糖がでることからつけられた病名です。糖尿病になると血液中のブドウ糖の量を示す「血糖値」が高くなり、全身にさまざまな病気をもたらします。厚生労働省の調査では、糖尿病の患者数は1000万人以上とされています。
40歳以上の1割が糖尿病とされています
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●糖尿病とインプラント治療
糖尿病がかかると免疫力が下がるため、インプラント手術後に感染しやすかったり、傷の治りが遅くなったりします。そのため、インプラント治療の失敗は、手術後の早い時期におこりやすい傾向にあります。
ただし、インプラントができないというわけではありません。手術前後の感染予防をしっかりおこない、血糖値のコントロールができていれば、インプラント治療をごく普通に受けることができます。
血糖値のコントロールができていれば問題はありません
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●糖尿病患者のインプラント失敗率
以前は「糖尿病にかかっている人はインプラントができない」と考えられていました。
現在では、糖尿病にかかっている人のインプラント治療の失敗率は糖尿病にかかっていない人とほとんど変わらないという研究が多くみられ、感染予防に注意すればインプラント治療は問題ないとされています。
一例として、ルーヴェン・カトリック大学(ベルギー)のグループが発表した研究によると、6946本のインプラントを使用して2004人に治療をおこなったところ、失敗したインプラントに糖尿病の影響はなかったとの結果となりました。※1
しかしながら、中には失敗率が高いという研究もみられます。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(アメリカ)のグループが発表した研究によると、21年間、1名の歯科医師(同じ治療技術、同じ治療環境)が1140人に対してインプラント治療をおこなったところ、糖尿病の人は糖尿病でない人に比べて早期の失敗率が6%高く、失敗率が10%高いという結果となりました。※2
研究者 | 患者数 | 分類 | 早期の失敗率 | 失敗率 |
VAメディカルセンター (アメリカ・ミシガン州) |
663人 | 糖尿病 | 3.5% | 7.8% |
非糖尿病 | 2.5% | 6.8% | ||
カリフォルニア大学 ロサンゼルス校 |
1140人 | 糖尿病 | 8% | 14% |
非糖尿病 | 2% | 4% | ||
カリフォルニア大学 サンフランシスコ校 |
104人 | 糖尿病 | 0% | 0% |
非糖尿病 | 5.8% | 5.8% |