全身に症状があらわれたり、手、足、首などの局所に症状があらわれることもあります。症状としては顔面のけいれん、目を開けられない、首がねじれたり傾いてしまってまっすぐ立てない、ペンをにぎると力が入ってしまい文字が書けない(書痙)などがあります。
口顎ジストニアは、あご、舌、顔の筋肉の異常な活動によって食べたり、飲み込んだり、会話をしたり、口を開けたり閉じるのに障害がおきたり、食いしばりを引きおこします。顎口腔ジストニア、口・下顎ジストニアともいいます。
ものがうまくかめない/あご、口、舌、唇が無意識に動く、ふるえる/筋肉が痛い/口が開かない/口が閉じられない/かみしめる/食いしばる/あごがずれる/飲み込みにくい/うまく話せない ほか
●口顎ジストニアの原因
運動や姿勢をコントロールしている大脳の機能の異常と考えられています。原因不明のこともありますが、薬の副作用(向精神薬、抗うつ薬ほか)、頭部の外傷、脳卒中、脳性麻痺、遺伝、パーキンソン病、多発性硬化症、ウィルソン病、職業(音楽、スポーツ)のほか、抜歯や入れ歯の作製など歯科治療後に症状があらわれることもあります。
関連するページ パーキンソン病 多発性硬化症・視神経脊髄炎
●口顎ジストニアと鑑別が必要な病気
口顎ジストニアと間違いやすい病気としては下記があり、十分な診査をおこなう必要があります。
1)顎関節症
筋肉の疲労やあごの関節の異常により、あごがずれる、口が開かない、口が閉じられないなどの症状があらわれることがあります。
関連するページ 顎関節症(がくかんせつしょう)
2)ジスキネジア
自分の意思とは関係なしに身体が動いてしまうことをジスキネジアといいます。パーキンソン病の薬や向精神薬の副作用などによってあらわれます。
関連するページ ジスキネジア ジスキネジア Q&A
3)破傷風
初期の症状として口が開きにくくなり、やがて飲み込みや全身のけいれんがおきます。手遅れになると死亡する可能性が高い病気のため、早期に対応する必要があります。
関連するページ 致命率の高い顎関節症と間違えやすい病気
4)歯ぎしり 食いしばり
日中や睡眠中に無意識に歯をグリグリ動かしたり、食いしばることがあり、非常に多くの患者さんがいます。
関連するページ 歯ぎしり(食いしばり)
●口顎ジストニアの治療
一般的に治療は主に下記の方法がありますが、口顎ジストニアの治療は保険適応の点から薬物治療が多い傾向にあります。治療は主に神経科、神経内科、脳神経外科などでおこないます。
1)ボツリヌス治療
ボツリヌス菌が作り出すタンパク質「ボツリヌストキシン」を注射することで、筋肉の働きを抑え弱くする治療法です。6割の患者さんにかみにくい、話しにくいといった症状の改善がみられたとの報告もありますが保険適応外の治療となります。
関連するページ ボツリヌス療法
2)薬物治療
アーテン、セルシン、リボトリール、デパス、リオレサールなどの薬が有効とされています。