舌痛症と亜鉛欠乏症
●舌痛症と亜鉛

亜鉛は人体にとって必要不可欠な元素です。体重70kgの人では、体内に約2.3gの亜鉛があります。

亜鉛が不足すると味覚を感じにくくなったり、皮膚や粘膜の傷の治りが悪くなったりします。また、亜鉛の不足は舌痛症の一因であるともされています。舌痛症の患者さんは味覚障害の症状をあわせもつことが多くあります。

舌痛症 亜鉛の服用により、症状が改善することもあります

関連するページ  味覚障害



●亜鉛欠乏症と血液検査※1etc

亜鉛欠乏症でないかを調べるために、血液検査(血清亜鉛値)をおこなうことがありますが、検査で問題がない場合でも、亜鉛の服用により舌痛症の症状が改善されることも多くあります。血液検査(血清亜鉛値)は大まかな指標と考えた方がよいでしょう。

血液検査(血清亜鉛値)で亜鉛不足と判定された患者さんは10%しかいなかったものの、90%の患者さんに亜鉛服用による舌痛症の改善効果があったとの研究報告もあります。

これは血液中の亜鉛が全身の亜鉛の一部にすぎず、検査前の食事内容、体調により亜鉛濃度が大きく変化するため、血液検査(血清亜鉛値)が必ずしも全身の亜鉛の過不足を反映していないためです。

正常値の下限は検査機関により57〜65ug/dlと一定しておらず、午後の採血は午前の採血に比べると10ug/dl程度低くなります。

亜鉛以外の微量元素では、鉄が不足すると舌の痛みが出ることがあります。


血液検査(血清亜鉛値)の正常値
検査機関など A社 B社 C社 D社 研究論文A 研究論文B
正常値(ug/dl) 65−110 64−111 59−135 57−117 85−111 84−159
※正常値は定まっておらず、検査機関、研究論文により異なります。



●亜鉛による舌痛症治療※2、3

亜鉛による舌痛症の治療では、亜鉛が含まれる薬やサプリメントを服用します。また、必要に応じて他の治療も同時におこなっていきます。効果はすぐにみられるのではなく、多くは1〜3ヶ月後にみられます。半年以上たってから効果がみられることもあります。

長野県の市立診療所の調査では、舌痛症の患者さん(41人)に亜鉛による治療をおこなったところ、マスメディアの報道による来院、遠方からの来院等により中断した患者さんを除いて、全員が治ったとのことでした。治療に要した期間は86.3%の患者さんが1〜4ヶ月、13.6%の患者さんが6ヶ月以上となりました。

日本大学医学部の研究グループがおこなった調査では、舌痛を主訴に来院した患者さん(53人)の49.1%に亜鉛の不足がみられ、亜鉛による治療をおこなった患者さんの70.0%が舌の痛みがなくなりました。


プロマック 亜鉛を含む薬(プロマック)

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●亜鉛製剤、サプリメント

1日の亜鉛の摂取量は成人男性で12mg、成人女性は9mgとされていますが、医師、歯科医師の指導のもとで、多めに亜鉛を摂取するようにします。亜鉛を補充するための薬、サプリメントには下記のものがあります。


プロマック(プロマック顆粒15%、プロマックD錠75)
病医院で処方が可能な亜鉛を含んだ薬です。名前は「胃(stomach、ストマック)を守る(protect、プロテクト)」に由来します。胃潰瘍治療薬のため、舌痛症には保険適応されません。常用量では1日に亜鉛34mgが摂取できます。


アエンダM  当クリニックにて販売
プロマックの亜鉛成分(ポラプレジンク)を製薬会社に提供している企業が開発したサプリメント。
身体に吸収されやすいように亜鉛にグルコン酸を混ぜ「グルコン酸亜鉛」として錠剤にしています。セレン、クロムなど他の金属が含まれていないのが特徴です。1錠に亜鉛10mgが含まれ、症状に応じて1日1〜3錠を服用します。


その他
各社より亜鉛のサプリメントが販売されています。多くは亜鉛に加えてセレン、クロムなどの他の金属が含まれています。


アエンダM アエンダM    DHC亜鉛 DHC亜鉛    からだにしっかり届く亜鉛(ファンケル) からだにしっかり届く亜鉛

亜鉛の摂りすぎは、銅の吸収を阻害する恐れがありますので、過剰摂取にならないよう注意が必要です。クロムは、過剰摂取により金属アレルギーを発症することがごく稀にあります。

関連するページ
身体に必要な金属(亜鉛、銅、クロムなど)  アレルギーをおこしやすい金属(クロムなど)




●亜鉛を多く含む食品

亜鉛が多く含まれる食品には、緑茶、抹茶、カキ(牡蠣)、牛肉などがあります。特にカキには亜鉛が多く含まれ、大きなカキなら一つで1日分の亜鉛を摂取できるほどです。舌痛症であれば、医師や歯科医師の指導のもとで、下記の食品を積極的に摂取するのも一つの方法です。


亜鉛を多く含む食品
魚介類 カキ(牡蠣)、、しらす干し、いか、するめ、たらこ、かに、さざえ、あわび、たづくり、ホタテガイ、わかさぎ、かずのこ、たたみいわし
肉類など 牛肉赤身、豚肉赤身、レバー、ウインナーソーセージ、チーズ
豆類など そば粉、ごま、大豆、アーモンド、カシューナッツ、ココア、緑茶、抹茶
海藻類など あまのり、かわのり、わかめ、あさくさのり、干しひじき

カキ 牡蠣には亜鉛が非常に多く含まれています



※舌痛症の治療を目的として来院される患者様へ
診療時間を十分に確保して診させていただくため、お手数ですがご来院前に電話(電話番号:045−910−2277)にてご予約ください



※1 冨田寛、田中真琴、生井明浩 エビデンスに基づいた血清亜鉛値による亜鉛欠乏症の診断基準値 Biomed Res Trace Elem18(1)54-62 2007  ※2 倉澤隆平、久堀周治郎、奥泉宏康 亜鉛基礎研究の最前線と亜鉛欠乏症の臨床 BIOMEDICAL RESEARCH ON TRACE ELEMENTS 21(1)1-12 2010  ※3 田中正美 舌痛症と亜鉛欠乏症.口腔咽頭科学会4:99-104



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