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睡眠時無呼吸症候群と事故
睡眠時無呼吸症候群は重大な事故を引き起こします。アメリカでは、いくつかの重大事故の原因に睡眠不足があることが明らかになったことから、睡眠障害への対策が取られています。
1993年には、アメリカでは睡眠障害研究国家委員会により、国をあげての調査がおこなわれ、「WAKE UP AMERICA(目覚めよ!アメリカ)」という報告書が取りまとめられました。報告書では、4000万人のアメリカ人が不眠に悩み、睡眠障害によって1年に160億ドルの損害が発生していることが明らかにされました。
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日本では、2003年に山陽新幹線の事故をきっかけに、睡眠時無呼吸症候群が知られるようになりました。
2012年におきた関越自動車道高速バス居眠り運転事故
関連するページ
職業運転者の睡眠時無呼吸症候群 道路交通法と睡眠時無呼吸症候群 睡眠時無呼吸症候群の歴史
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睡眠時無呼吸症候群と全身疾患※2
海外での調査によると、睡眠時無呼吸症候群にかかっている人は健常者に比べて「高血圧」を発症するリスクは2倍、狭心症や心筋梗塞などの「心臓血管障害」を発症するリスクは3倍、脳梗塞やクモ膜下出血などの「脳血管障害」を発症するリスクは4倍も高いという結果となりました。
睡眠時無呼吸症候群にかかっている人は、その他にも糖尿病、高脂血症などの病気を発症するリスクが高いことが、多くの研究によりわかっています。
高血圧、心臓血管障害、脳血管障害を発症するリスク(オッズ比)
アイスランドで1313人を対象におこなわれた大規模な調査によると、睡眠時無呼吸症候群にかかっている人のうち、51%の人が高血圧を合併、21%の人が心筋梗塞(もしくは心不全)を合併、10%の人が高血圧と心筋梗塞(もしくは心不全)を合併していました。
睡眠時無呼吸症候群にかかっている人は、糖尿病、心筋梗塞、心不全、高血圧など多くの病気を合併する割合が高いことが多くの研究によりわかっています。
睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病の合併率
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●睡眠時無呼吸症候群の重症度と脳卒中を発症、死亡するリスク※3
睡眠時無呼吸症候群にかかると、脳卒中により死亡するリスクも高まります。
一例として、アメリカで1022人を対象に6年間にわたっておこなわれた大規模な追跡調査によると、健常者に比べると睡眠時無呼吸症候群にかかっている人は、脳卒中を発症して死亡するリスクが高いという結果となりました。
特に重度の睡眠時無呼吸症候群では死亡する確率が健常者の3.3倍にもなりました。
脳卒中を発症、死亡するリスク(ハザード比) ※SAS:睡眠時無呼吸症候群
※AHI(無呼吸低呼吸指数)とは
睡眠中1時間あたりの無呼吸と低呼吸の回数の合計で、睡眠時無呼吸症候群の重症度の目安となります。
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睡眠時無呼吸症候群の重症度と高血圧発症との関係※4
睡眠時無呼吸症候群の症状が悪いほど、高血圧を発症しやすくなります。
アメリカで709人を対象に8年間にわたっておこなった大規模な追跡調査によると、健常者に比べると軽度の睡眠時無呼吸症候群の人は2.03倍、中等度から重度の睡眠時無呼吸症候群の人は2.86倍も高血圧を発症するリスクが高まるという結果となりました。
高血圧を発症するリスク(オッズ比) ※SAS:睡眠時無呼吸症候群
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睡眠時無呼吸症候群と生存率※5
たかが「いびき」と思われる方も多いと思いますが、適切な治療をおこなわないと、睡眠時無呼吸症候群は命を奪います。
下記グラフは、睡眠時無呼吸症候群にかかった人の生存率を比較した、カナダでおこなわれた有名な研究です。
中等度から重度の睡眠時無呼吸症候群患者(AHI20以上)の生存率は明らかに低く、治療をおこなわなかった人は、5年後には13%、8年後には37%が死亡していました。
生存率が低いのは、いきや無呼吸によって体に過度の負担がかかり、心臓発作や交通事故などで死亡する確率が高くなるからです。
睡眠時無呼吸症候群患者の生存率
イスラエル、スペインなどでおこなわれた多くの大規模調査では、50歳以下の睡眠時無呼吸症候群患者の死亡率は高く、70歳以上の睡眠時無呼吸症候群患者の死亡率は低いという結果となりました。
高齢の睡眠時無呼吸症候群患者の死亡率が低いのは「生存者効果」といわれ、高齢まで死亡せずに生き抜く何らかの機能が備わっていたためとも考えられています。
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睡眠時無呼吸症候群と突然死※6
睡眠時無呼吸症候群にかかっている人は、睡眠中に突然死をおこすリスクが高まります。
アメリカでの調査によると、睡眠時無呼吸症候群にかかっている人は、夜中の0時から朝6時までの時間に突然死をおこす割合が高いという結果となりました。これは、睡眠中の無呼吸や低呼吸が体に様々な弊害をもたらし、死に至ることを示しています。
突然死(心原性)の発生時刻
※1 A Report of National Commission on Sleep Disorders Research. Wake up
America.A National Sleep Alert;1993 ※2 Gislason T:Snoring and systemic hypertension.Acta Med Scand 222:1987
etc ※3 H. Klar Yaggi,et al:Obstructive Sleep Apnea as a Risk Factor for
Stroke and Death.New England Journal of Medicine 353,2005 etc. ※4 Peppard
PE, Young T, Palta M, Skatrud J. Prospective study of the association between
sleep-disordered breathing and hypertension. N England J Med. 2000 May
11;342(19):1378-84. ※5 He J, Kryger MH, Zorick FJ Conway W,et al.: Mortality
and apnea index in obstructive sleep apnea : experience in 385 male patients.
Chest 1988, 94: 9-14etc. ※6 Gami,A.S et al.:Day-night pattern of sudden
death in obstructive sleep apnea. N Engl J Med 342,2005
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