●睡眠時無呼吸症候群の治療効果
睡眠時無呼吸症候群の治療には、CPAP、スリープスプリント(マウスピース)など様々な治療方法があります。
治療効果は一人ひとりの病状によって異なります。アデノイド増殖や口蓋扁桃肥大であれば外科手術、軽度から中等度の睡眠時無呼吸症候群であればスリープスプリント、中等度から重度の睡眠時無呼吸症候群であればCPAPなど、病状にあわせた治療法を選択されるのがよいでしょう。
治療効果
関連するページ 顎顔面手術 減量・睡眠時の体位変更 薬物治療
●CPAP(しーぱっぷ)の治療効果
CPAPは最も効果の高い方法です。適正に使用できさえすれば、無呼吸や低呼吸の回数を、大幅に減少させることができます。治療継続率は50〜80%といわれ、装置が合わない人もいます。治療を続けられるかがポイントとなります。
※無呼吸:10秒以上の呼吸の停止。
※低呼吸:換気量が50%以上低下した状態が10秒間以上続くこと。
関連するページ CPAPについて CPAPがあわない時は CPAP Q&A
●スリープスプリントの治療効果※1,2
スリープスプリントの使用によって、無呼吸や低呼吸の回数が50%以上減少する人の割合は70%となっています。京都大学医学部付属病院でおこなった調査によると、スリープスプリントの使用によって1時間あたりの無呼吸や低呼吸の回数が6〜7割も減少しました。
ただし、スリープスプリントは、重度の睡眠時無呼吸症候群でも大きな効果がみられることがある一方で、軽度の睡眠時無呼吸症候群でも効果がみられないこともあります。いびきに関しては90%以上の人で満足がいくまで改善されます。
スリープスプリントの治療効果(20論文のまとめ)
無呼吸、低呼吸の回数が50%以上減少した人の割合 70%
1時間あたりの無呼吸、低呼吸の回数(京都大学医学部付属病院)
関連するページ スリープスプリント 睡眠時無呼吸症候群の治療例
●CPAPvs.スリープスプリント※6、7、8etc.
多くの研究により、個人差はあるもののCPAPのほうがスリープスプリントよりも治療効果が高いことがわかっています。
睡眠時無呼吸症候群の患者さんの約半数は、睡眠中の体位(横向き、あお向け)により症状が大きく変わる「体位依存性睡眠時無呼吸症候群」とされています。一般にはCPAPのほうがスリープスプリントよりも治療効果は高いものの、体位依存性睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、CPAPとスリープスプリントの治療効果は変わらないとされています。
CPAPとスリープスプリントの治療効果の比較(無呼吸と低呼吸の減少率)
※大学名は研究発表者の所属大学。
※UBC:ブリティッシュコロンビア大学(カナダ) UCLA:カリフォルニア大学ロサンゼルス校
●外科手術の治療効果※2、5
外科手術で最も多用されている口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)において、無呼吸や低呼吸の回数が50%以上減少する人の割合は50%前後となっています。手術が適応となる人はかなり限られます。
口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)の治療効果(19論文のまとめ)
無呼吸の回数が50%以上減少した人の割合 65.8%
無呼吸、低呼吸の回数が50%以上減少した人の割合 52.8%
●レーザー手術
LAUP(レーザー口蓋垂軟口蓋形成術)は「いびきのレーザー手術」ともいわれ、いびきの原因となる部分をレーザーで焼き切ることによって気道を広げる方法ですが、「睡眠時無呼吸症候群の診療ガイドライン2020」では「睡眠時無呼吸症候群の治療として推奨できない」としています。
アメリカ睡眠学会では、「睡眠時無呼吸症候群を含む睡眠呼吸障害の治療にLAUPを用いるべきでない」との勧告をおこなっています。
ナイトレーズ、スノアレーズ、パルスサーミアは、いびきの原因となっている部位をレーザーで引きしめることで気道を広げ、LAUPよりも負担が少ない治療として2020年代になって治療をおこなう医療機関が増加しています。
関連するページ 睡眠時無呼吸症候群の外科手術
※1 Lowe AA:Dental appliances for the treatment of snoring and obstructive
sleep apneas,in;Kryger MH, Roth T,Dement WC:Principles and Practice of
Sleep Medicine, 2nd Saunders, Philadelphia ※2 「成人の睡眠時無呼吸症候群 診断と治療のためのガイドライン」 編集 睡眠呼吸障害研究会、後援 日本睡眠学会、日本呼吸器学会ほか ※3 Yoshida
K. Effect of oral appliance therapy for sleep apnea syndrome on blood pressure.
Int J Prosthodont 19: 463-468, 2006 ※4 Yoshida K. Effect of a mandibular
advancement device for the treatment of sleep apnea syndrome and snoring
on respiratory function and sleep quality.Cranio 18:98-105, ※5 Sher AE,
Schechtman KB, Piccirillo JF: The efficacy of surgical modifications of
the upper airway in adults with obstructive sleep apnea syndrome. Sleep
19 ※6 Barnes, M., McEvoy, R. D., Banks, S., Tarquinio, N., Murray, C.G.,
Vowles, N., and Pierce, R. J. Efficacy of positive airway pressure and
oral appliance in mild to moderate obstructive sleep apnea. Am J
Respir Crit Care Med 170, 656-664 ※7 Ferguson KA, Ono T, Lowe AA, al-Majed
S, Love LL, Fleetham JA. A short term controlled trial of an adjustable
oral appliance for the treatment of mild to moderate obstructive sleep
apnea. Thorax. 52(4):362-8 ※8 Arie Oksenberg、Donald S. Silverberg、Elena
Arons、Henryk Radwan Positional vs nonpositional obstructive sleep apnea
patients: anthropomorphic, nocturnal polysomnographic, and multiple sleep
latency test data. Chest112(3)629−639
※いびき治療の受診をご希望の方は、お手数ですが事前にご予約ください。
※当クリニックへのアクセスについては、下記のページをご覧ください。
交通アクセス・駐車場案内図(横浜市都筑区、港北区など近隣よりご来院の方)
青葉区・宮前区からのご来院(横浜市青葉区、川崎市宮前区からご来院の方)
小田急線沿線からのご来院(東京都町田市、川崎市麻生区、多摩区などからご来院の方)
横浜線沿線からのご来院(横浜市緑区、相模原市などからご来院の方)
南武線沿線からのご来院(川崎市中原区、高津区などからご来院の方)
広域路線図 広域道路地図(神奈川県、東京都からご来院の方)
新幹線・飛行機でのご来院(神奈川県、東京都以外からご来院の方)
関連するページ いびき・睡眠時無呼吸症候群