●スリープスプリントとは
スリープスプリントとは、寝るときに下あご、舌を持ち上げるように工夫されたマウスピースです。口腔内装置(装具)、歯科装具、SS、PMA、MAS、MRA、OA、ORAPなどとも呼ばれています。
睡眠中に装着することにより、気道(空気の通り道)が広がり、いびきや無呼吸、低呼吸の症状が改善されます。いびきや睡眠時無呼吸症候群の治療に使用されます。
マウスピースを装着して寝るだけで症状が改善されます
関連するページ スリープスプリント Q&A 睡眠時無呼吸症候群の治療例
●スリープスプリントが適応になるケース
いびき症。軽度から中等度の睡眠時無呼吸症候群。
中等度から重度の睡眠時無呼吸症候群で、鼻マスク(CPAP)による治療が困難な場合。
当クリニックでは世界的に有名なソムノデントも取り扱っています
●スリープスプリントが適応にならないケース
重度のあごの関節の病気(顎関節症)。
重篤な呼吸不全。
「歯が20本以上ないとスリープスプリントはできない」という意見もありますが、歯が全くない人向けのスリープスプリントも開発されており、歯の本数が少ない場合でも治療は可能です。
「鼻づまりがある人はスリープスプリント適応外」という意見もありますが、口で息ができるスリープスプリントも開発されており、鼻づまりがある人でも治療が可能です。
「顎関節症の人はスリープスプリント適応外」という意見もありますが、軽度の顎関節症は問題はありません。最近ではスリープスプリントの装着により、顎関節症の症状が改善するという研究結果も発表されています。
関連するページ 顎関節症
●スリープスプリントを使用する前に、他の治療をおこなうことが勧められるケース
重度の睡眠時無呼吸症候群。 → まずは鼻マスク(CPAP)による治療をおこないます。
扁桃が気道をふさいでいるとき。 → (希望があれば)外科手術をおこないます。
大きな虫歯、重症の歯周病があるとき。 → まずは歯の治療をおこないます。
低位舌 → 治療効果が得られないことがあります。舌の体操をおこなうことで改善。
関連するページ CPAPについて 睡眠時無呼吸症候群の外科手術 低位舌(舌の体操)
●スリープスプリントの種類
スリープスプリントは、これまでに世界で70種類以上が開発されています。いびきをわずかに軽減する程度のものから、いびきだけでなく睡眠時無呼吸症候群に効果のあるものまで様々です。
日本では、埼玉県の開業医が開発したスリープスプリントが最も使用されています。歯科医院、あるいは病院で独自に開発したスリープスプリントを使用しているところも多くあります。
当院では日本で最も多用されているスリープスプリントを中心に、患者様の症状に応じて、複数のスリープスプリントを使用して治療をおこなっています。
独自に開発されたスリープスプリント(上あごと下あごのマウスピースをタコ糸で結び付けて装着)
装置名 | 当院 | 形態 | 主な機能 | 効果 | |
いびき | SAS | ||||
アヴェオTSD | × | 上下一体型 | 舌挙上 | ○ | × |
クリアウエイ | × | 上下分離型 | 下顎前突 | ○ | ○ |
サイレンサー | ○ | ○ | ○ | ||
サイレントナイト | × | ○ | ○ | ||
スノアーエイド | × | ○ | ○ | ||
スノアエックス | × | 上下一体型 | ○ | × | |
スノアガード | × | ○ | × | ||
スリープスプリント | ○ | ○ | ○ | ||
スリープガード | ○ | 上下分離型 | 〇 | 〇 | |
セラスノア | ○ | 上下一体型 | ○ | × | |
ソムノガード | × | ○ | × | ||
ソムノデントフレックス | ○ | 上下分離型 | ○ | ○ | |
ソムノデントアヴァント | ○ | ○ | ○ | ||
ソムノデントエデンチュラス | ○ | ○ | ○ | ||
ソムノデントエラスティックリテンション | ○ | ○ | ○ | ||
バイオプレート | × | × | × | ||
ハーベスト | ○ | ○ | ○ | ||
OSAP | × | 上下一体型 | ○ | ○ | |
TAP | ○ | 上下分離型 | ○ | ○ | |
TRD | ○ | 上下一体型 | 舌挙上 | ○ | ○ |
PMポジショナー | × | 上下分離型 | 下顎前突 | ○ | ○ |
NKコネクターU | ○ | 〇 | 〇 |
上下一体型 | 上と下が一体となったスリープスプリント。壊れにくく一部のスリープスプリントは歯ぎしりを抑える効果もあります。その反面、装着中はあくびがしにくい、口呼吸がしにくいという欠点があります。日本では上下一体型が主流となっています。 |
上下分離型 | 上と下が別々になったスリープスプリント。装着中も水が飲める、あくびができる、口で息ができるという利点があります。その反面、費用がかかり、上下をつなぐ連結部で壊れやすいという欠点があります。欧米では上下分離型が主流となっています。 |
舌挙上 | 主に舌を持ち上げることにより気道を広げ、いびきや睡眠時無呼吸症候群の症状を改善させます。 |
下顎前突 | 主に下顎を前に出すことにより気道を広げ、いびきや睡眠時無呼吸症候群の症状改善させます。舌挙上に比べると効果が高く、現在では主流となっています。 |