成人スチル病とは

成人スチル病(成人スティル病)は1971年に初めて存在が明らかにされた新しい病気で、小児の「スチル病」に似た症状があらわれます。

発熱、皮膚の発疹、関節の痛みや腫れなど、全身に炎症がおきる病気です。夕方から早朝に発熱して日中は解熱することが多く、発熱に伴い全身のだるさ、疲れやすさ、食欲低下といった症状もあらわれます。

原因は不明ですが、細菌やウイルス感染も一因と考えられており、国内患者数は5000人ほど、20~40歳代に発症、女性がやや多い傾向にあります。


国際的にはAdult-onset Still’s disease(成人発症スチル病)が使用されているため、成人スチル病は2024年4月に成人発症スチル病に名称(告示病名)が変更されました。

当クリニックは成人スチル病を含む特定医療費(指定難病)助成制度の指定医療機関です。



成人スチル病と歯科

成人スチル病の治療ではステロイド薬が長期間、中等量から大量に使用されるほか、免疫抑制剤が使用されることもあります。これらの薬の影響により、虫歯や歯周病になりやすい、抜歯の際に感染しやすいなどの影響があります。


1)顎関節症
成人スチル病の症状の一つとして関節の痛みや腫れがあり、4割の患者さんに口が開きにくい、口が開かない症状がみられたとの報告もあります。そのほか、あごが痛い、あごが腫れたなどの顎関節症状(がくかんせつしょう)の症状があらわれます。

治療では、口を開ける訓練(理学療法)、鎮痛薬の服用のほか、入院して外科手術がおこなわれることもあります。

痛み

関連するページ  顎関節症



2)虫歯 歯周病
虫歯になりやすく、歯周病が進行しやすいため、歯科医院での定期的な歯のクリーニング(PMTC)など、十分な予防処置が必要となります。

診察

関連するページ  歯科検診  歯のクリーニング(PMTC)  虫歯  歯周病



3)口腔カンジダ症 味覚障害
ステロイド薬や免疫抑制薬の影響により、口内にカビが繁殖する病気「口腔カンジダ症」を発症しやすくなります。

カンジダが繁殖すると、口の中がヒリヒリ痛む、食べ物を口にしたときに痛む(接触痛)、食べ物の味を感じにくい(味覚障害)などの症状があらわれることがあります。薬の使用により治療をおこないます。

関連するページ  口腔カンジダ症 原因 治療 Q&A  味覚障害



4)抜歯 歯周外科手術 インプラント手術
ステロイド薬の影響により、抜歯後や手術後に感染しやすくなるほか、傷の治りが悪くなる傾向があります。そのため、これらの治療をおこなうときは、十分な感染予防が必要となります。

インプラント手術

関連するページ  インプラント



5)顎骨壊死
ステロイド薬を長期間使用していると骨折のリスクが高まるため、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の薬を使用することがあります。骨粗鬆症の薬を使用しているときに抜歯などの出血を伴う治療をおこなったり、合わない入れ歯を使用していたり、口内が汚れていると、あごの骨が細菌に感染し、腐ってしまう病気「顎骨壊死(がっこつえし)」をおこすことがあります。

関連するページ  骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(ARONJ) Q&A


当クリニックでは成人スチル病の方の歯科治療をおこなっています。成人スチル病の方の歯とお口の健康、歯科治療について、ご不明な点等がありましたらお気軽にご相談ください。



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