●小児の睡眠時無呼吸症候群の診断基準
以前は小児の睡眠時無呼吸症候群は、明確な診断基準がありませんでした。
世界で使用されている睡眠時無呼吸症候群の診断基準「睡眠障害国際分類」では、2005年(第2版、ICSD-2)になって、ようやく小児の睡眠時無呼吸症候群が独立した病気として取り上げられるようになりました。
2014年に10年ぶりに変更された睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3)では、小児の睡眠時無呼吸症候群の診断基準がより明確になり、第2版に比べると分かりやすい診断基準となりました。
睡眠障害国際分類第3版によると、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)で1時間に1回以上の無呼吸あるいは低呼吸があり、いびきや無呼吸の報告があるなどの基準を満たせば、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
小児の睡眠時無呼吸症候群の診断基準(睡眠障害国際分類第3版)
AとBのどちらも満たす、もしくはCを満たす。
A.以下に示す状態が1つ以上該当。
1.いびき。
2.努力性呼吸、奇異あるいは閉塞性の呼吸イベント(無呼吸、低呼吸もしくは呼吸努力関連覚醒反応)が睡眠中にみられる。
3.眠気、多動、行動の問題、あるいは学習の問題がみられる。
B.PSG検査において睡眠1時間あたり1回以上の無呼吸、低呼吸を認める。
※AHIが1以上
C.小児低換気の定義を満たし、かつ以下条件のいずれか一つを満たす。
※PSG検査が困難な2歳未満を対象としています
a.呼吸中のいびき。
b.吸気時にCPAPからの気流信号の平坦化が通常呼吸に比較して増加。
c.呼吸前には認められない胸腹部奇異運動が呼吸中に認められる。
関連するページ AHIとは(睡眠時無呼吸症候群の診断基準)
●小児の睡眠時無呼吸症候群の検査方法
検査方法には、ビデオ録画、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)等の方法があります。
ただし、小児の検査をおこなっている医療機関は日本では極めて少なく、独自の診断基準を設けて検査をおこなっている医療機関もあります。
1)ビデオ録画
簡単な割に情報量が多く有効な方法です。いびきや無呼吸の状態、小児の睡眠時無呼吸症候群に特徴的な胸が陥没した呼吸(陥没呼吸)を確認することができます。ビデオ録画が難しい場合は、陥没呼吸の有無だけでも確認するようにします。
ビデオ撮影のコツ
寝始めよりも明け方のほうが浅い睡眠が多く、症状がわかりやすい傾向にあります。
顔だけでなく、陥没呼吸がわかるように胸部、腹部も映るように撮影します。また、胸をはだけた状態で撮影します。
30分から1時間ほど撮影すれば十分です。 |
関連するページ 子供の睡眠時無呼吸症候群 小児の睡眠時無呼吸症候群 Q&A
2)終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)
一晩医療機関に宿泊しておこなう精密検査です。いびきや無呼吸の状態、脳波、心臓や筋肉の動きなどがわかります。睡眠時無呼吸症候群の代表的、かつ最も重要な検査です。
小児の終夜睡眠ポリグラフ検査は、成人に比べると3~4倍も人手がかかり、現在の健康保険制度では医療機関は人件費すら賄いきれません。そのため、対応できる医療機関ははほとんどありません。
関連するページ 終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査) 小児のアデノイド・扁桃摘出術
3)簡易検査(パルスオキシメータ、携帯用睡眠時無呼吸検査装置)
終夜ポリグラフ検査を簡略した検査です。簡単にできる反面、検査できる項目も限られています。
寝返りが多い小児は装置が外れやすく、小児は装置では検出しにくい呼吸(努力性呼吸)が多いなど、検査の正確性を疑問視する声もあります。
関連するページ 簡易検査
4)スリープレコーダ
終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)では、体のあちこちにセンサを装着しなければならず、睡眠中の小児は体動が激しくセンサが外れることもあり、検査を難しくしていました。
新しい検査装置「スリープレコーダ」は感圧センサを内蔵したシートで、ベッドなどの寝具の上に敷いて寝るだけで検査できます。2007年に開発され、2010年に健康保険が適応となりました。今後の普及が期待されます。
スリープレコーダー(開発メーカーのサイト)
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1.終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)では、鼻、のど、手などに多数のセンサを装着する必要がありました。
2.スリープレコーダはマットの上で寝るだけで測定できます。
3.スリープレコーダ。2010年に健康保険適応になりました。小児への使用が期待されています。
5)録音
典型的な睡眠時無呼吸症候群は、呼吸の状態からわかることがあります。
6)行動観察
睡眠中の小児の状態を観察します。陥没呼吸、明らかな無呼吸は観察によりわかります。
関連するページ 眠育(子供の睡眠)
上記検査は当クリニックではおこなっておりません。小児の睡眠時無呼吸症候群については対応している医療機関が極めて少なく、いくつもの医療機関を受診された末に当クリニックに来院される患者様が殆どです。医療機関がお分かりにならない場合は、症状を診させていただいた後に、当クリニックにて治療、あるいは最も適当と思われる医療機関をご紹介させていただくことも可能です。
※当クリニックへのアクセスについては、下記のページをご覧ください。
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関連するページ いびき・睡眠時無呼吸症候群 小児歯科