●アトピー性皮膚炎とは
アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能の異常とアレルギー反応が密接にかかわりあった皮膚炎で、ダニ、細菌感染、汗中成分など様々な環境要因によって発症、悪化していく病気です。多くの患者さんは、喘息もしくはアレルギー性鼻炎、食物アレルギーを合併しています。
世界的な有病率は、この30年間で2〜3倍に増加し、子供の18〜30%、大人の2〜10%がアトピー性皮膚炎を経験しているとされています。
アトピー性皮膚炎
●外因性アトピー性皮膚炎と内因性アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、2つに分けて考えることができます。外からの物質が原因でアレルギーがおきる「
外因性」と体内の状態が原因でアレルギーがおきる「
内因性」です。
8割の患者さんは、血液検査でIgE(アイジーイー)抗体の数値が異常に高い外因性アトピー性皮膚炎です。
肌の保湿やバリア機能には、フィラグリン(FLG)というタンパク質が重要ですが、外因性アトピー性皮膚炎の患者さんの多くは、フィラグリンの異変がみられます。その結果、乾燥肌になったり、アレルギー物質が皮膚から通過しやすくなり、アレルギー反応がおきやすくなります。
2割の患者さんはIgE抗体の数値が正常の内因性アトピー性皮膚炎です。女性が多く、金属アレルギーの患者さんが多くみられます。フィラグリンの異変はほとんどみられません。
外因性アトピー性皮膚炎と内因性アトピー性皮膚炎の特徴
外因性アトピー性皮膚炎 |
内因性アトピー性皮膚炎 |
アトピー性皮膚炎の80%
IgE高値 重症例あり
FLG異変は高頻度(バリア機能低下)
乳児期〜小児期に発症 |
アトピー性皮膚炎の20%
IgE正常値 比較的軽症
FLG異変は低頻度 女性が多い
発症年齢は遅い(大人が多い)
金属アレルギーの患者さんが多い |
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アトピー性皮膚炎と金属アレルギー※1
内因性アトピー性皮膚炎の患者さんは、金属アレルギーの患者さんが多い傾向にあります。
一例として、浜松医科大学、産業医科大学などの研究者らがおこなった調査では、内因性アトピー性皮膚炎の患者さんは、外因性アトピー性皮膚炎の患者さんに比べてニッケルアレルギーが
2.5倍、コバルトアレルギーが
3.5倍もアレルギー陽性率が高いという結果となりました。また、汗の中の金属濃度は
3.7倍も高いことも明らかにされました。
内因性アトピー性皮膚炎は、身に着けた装飾品、口の中の銀歯、食品の中の金属などによって体内に摂取された金属が汗を通して排出され、金属アレルギーを発症することで皮膚炎が生じていると推測されています。
そのため、内因性アトピー性皮膚炎の治療には、金属アレルギーの治療が必要と考えられます。
外因性アトピー性皮膚炎に比べた内因性アトピー性皮膚炎の金属アレルギー陽性率※1
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※1 Hayato Yamaguchia、Rieko Kabashima-Kubob、Toshinori Bitoc High frequencies
of positive nickel/cobalt patch tests and high sweat nickel concentration
in patients with intrinsic atopic dermatitis J Dermatol Sci. 2013 Dec;72(3):240-5
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