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子供の睡眠
塾や習い事、部活などで日本の子供は忙しく、また携帯電話やスマートフォンの普及により夜型生活が広がり、寝る時間を削って生活を送っています。
子供の睡眠不足は、集中力や注意力の低下、成長の遅れ、食欲不振、イライラ、異常行動、日中の眠気、朝食の欠食などの原因になります。また、睡眠不足は将来の肥満や糖尿病の原因になることも明らかにされています。
小中学生の不登校は13.4万人(文部科学省、2017年)にもなり、
不登校になる原因として、生活リズムの乱れ、睡眠不足、睡眠障害など睡眠に関する要因も大きいとされています。子供の睡眠が社会問題化しています。
「不登校12万人のかげで 〜広がる子どもの睡眠障害〜」(クローズアップ現代、NHK)
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就寝時刻
子ども・若者白書(内閣府、2013年)によると、小学生の平均就寝時間は21時57分、中学生は同22時55分、高校生は同23時42分でした。昔に比べると
子供の就寝時間は遅くなり、睡眠時間は短くなり、睡眠不足を感じている子供の割合は増加しています。中学生の4人に1人、高校生の3人に1人は睡眠時間が十分でないと感じています。
文部科学省の調査(2014年)の調査では、平日の就寝時刻は小学生では午後9〜11時、中学生では午後10時〜午前0時、高校生では午後11時〜午前1時に就寝する人が最も多くなっていました。特に高校生では半数近くが午前0時以降に就寝しています。
日本の多くの子供が推奨される睡眠時間を確保できていません。
小中高校生の平日の就寝時刻
文部科学省委託調査「家庭教育の総合的推進に関する調査研究 ー睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立等との関係性に関する調査ー」
年齢別の必要睡眠時間
睡眠時間 |
推奨 |
許容範囲 |
不適切 |
3〜5歳 |
10〜13時間 |
8〜14時間 |
8時間未満 14時間以上 |
6〜13歳 |
9〜11時間 |
7〜12時間 |
7時間未満 12時間以上 |
14〜17歳 |
8〜10時間 |
7〜11時間 |
7時間未満 11時間以上 |
National Sleep Foundation in USA
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睡眠と学業成績
成績が良い生徒ほど十分な睡眠をとっており、就寝時刻が遅くなるほど成績が悪いことが、1990年代のアメリカの高校生3000人を対象とした大規模調査から明らかにされています。
2016年に発表されたノルウェーの高校生8000人を対象とした大規模調査では、就寝時刻が早く(23時前)、平日と休日の睡眠時間帯のずれが少なく、睡眠時間を7〜9時間確保していることが学業成績の高さに関連していました。同様の研究報告は、世界でされています。
睡眠は脳を休ませる、学んだことを整理して記憶を定着させる役割があります。睡眠を十分にとっている子供は、睡眠時間が短い子供に比べて、脳の記憶の処理に関与する部位である「海馬」の体積が大きいことも明らかにされており、睡眠は脳の発達にも影響を及ぼしています。
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眠育とは
眠育(みんいく)とは、正しい睡眠習慣をつくり、睡眠に関する知識や情報を身につけるための学習や取り組みのことをいいます。
食育は2005年の食育基本法をきっかけに広まりましたが、眠育は2014年からマスメディアで度々取り上げられるようになりました。同時に学校教育に眠育が取り入れられたり、企業や団体による啓蒙活動がおこなわれるようになりました。
関連するページ 食育
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眠育の取り組み例(大阪市淀川区、ヨドネル)
大阪市淀川区では、2014年から区をあげて子どもの睡眠習慣の改善に取り組んでいます。その一環として、2016年に大阪市淀川区と大阪市立大学は区内の小学校4年生から中学校2年生までの児童、生徒5285人に対して大規模調査(淀川すいみん白書)をおこないました。
調査結果により、
睡眠時間が短いほど疲れている、学力テストの正答率が低いこと、
睡眠を妨げているのはSNSやパソコンで、これらを長時間利用するほど睡眠時間が短いことが分かりました。
また、淀川区内の小学校で「眠育」をおこなったところ、遅刻は大幅に減少、学力テストの成績も向上しました。この取り組みが評価されて、2018年に厚生労働省が主催する「健康寿命をのばそう!アワード」において、子ども家庭局長賞、自治体部門優良賞を受賞しました。
睡眠改善支援事業(淀川区)
●子供がぐっすり眠る10の方法
健康で快適な睡眠習慣を身につけるためには、十分な睡眠時間の確保のほか、下記をおこなっていくことが大切です。
1)就寝時間を決め、決まった就寝習慣をつけましょう
規則正しい生活を送ることが、よい睡眠をとるうえでは最も大切です。乳幼児期は午後8〜9時までに、小学生生低学年は午後9時までに、小学校高学年は午後10時までには就寝する習慣を身につけたいものです。
関連するページ ぐっすり眠る9つの方法
2)就寝・起床時刻を、学校のある日とない日でほぼ同じ時間にしましょう
休みの日は夜更かし、朝寝坊にならないようにします。日による差を1時間以内にしましょう。
3)就寝前の1時間は静かに過ごしましょう
脳が活性化するので、騒々しい遊びをしたり、テレビやスマートフォンを見たり、コンピュータゲームをするなど、刺激的な活動は避けましょう。
4)空腹のまま就寝するのは避けましょう
空腹のままの就寝は、なかなか寝付けないので、空腹のままの就寝は避けましょう。また、就寝前1〜2時間以内に重い食事を摂るのは避けるのと同時に、虫歯予防のために就寝直前の飲食は避けましょう。
5)就寝2〜3時間前はカフェインを含む食品は避けましょう
コーラ、コーヒー、お茶、チョコレートなどは、脳が活性化するので避けましょう。
関連するページ マイナビ ウーマン、Yahoo! JAPAN ネタりか(睡眠)
6)日中は可能な限り外で過ごし、運動をさせましょう
日中に外で運動することは、エネルギーを使うだけでなく、日光に当たることで体内時計を適正に働かせることができます。
7)寝室は静かに、暗くしましょう
よい睡眠をとるうえでは、静かな真っ暗な環境が理想です。ただし、暗い寝室を怖がるお子さんに対しては、薄暗い常夜灯を使用するとよいでしょう。
8)寝室は適温に保つようにしましょう
室温は、夏は25〜27度ほど、冬は15〜20度ほどがよいとされています。夏は室温が高過ぎると体温が下がらず、睡眠の質が悪くなります。冬は室温が低過ぎると、体温が下がりすぎて睡眠の質が悪くなります。
9)寝室を説教部屋や気分を、落ち着かせるための部屋にしないようにしましょう
寝室を説教部屋や興奮したお子さんの気分を落ち着かせる部屋にしてしまうと、寝つきが悪くなることがあります。
10)テレビは寝室に置かないようにしましょう
寝室にテレビを置いてしまうと、寝る前にテレビをついつい見てしまいます。
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