●頭頸部がんとは
頭頸部(とうけいぶ)がんは、顔から首までにできるがんを総称したもので、発生した部位によって、口腔がん(舌がん、歯肉がん、頬粘膜がんほか)、咽頭がん(中咽頭がんほか)、喉頭がん、唾液腺がん、甲状腺がんなどがあります。がん全体の5%ほどを占めます。
頭頸部
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●頭頸部がんと放射線治療
頭頸部がんでは放射線治療がおこなわれることがあり、あらゆる方向から放射線を照射する「三次元原体照射」から放射線に強弱をつけて照射する「強度変調放射線治療(IMRT)」、回転機能を加えた「強度変調回転照射法(VMAT)」へと変わり制度は向上しています。
これらの方法のほか定位放射線治療(SRT)、ガンマナイフなど治療の選択肢が増えています。
●放射線治療と顎骨壊死
顎骨壊死(がっこつえし)とはあごの骨が壊死(腐ってしまう)状態をいいます。
放射線治療を受けた組織は酸素の不足、細胞の減少、血流の低下によって顎骨壊死がおきることがあり、上あごよりも下あごに発症しやすく、放射線量が50Gyを超えると発症しやすく、特に70Gyを超えると顎骨壊死の発症率が高くなります。
70Gy以上の放射線を照射されたときの下あごの顎骨壊死の発症率は10%前後との報告が多いものの、近年の強度変調放射線治療(IMRT)などの普及などにより発症率は低下傾向にあります。

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●顎骨壊死の症状
顎骨壊死をおこすと歯肉が下がってあごの骨が口の中に出てしまい痛みが生じるほか、口が開けにくい、食べ物が食べにくいなどの症状があらわれます。
顎骨壊死の症状
開口障害(口が開けにくい)/摂食障害(食べにくい)
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●顎骨壊死の予防
顎骨壊死の予防としては、毎日の歯みがきをしっかりおこない、歯科医院で定期的に歯のクリーニングをおこなうなどして口内を清潔に保ちます。
放射線治療によって唾液腺もダメージを受け(放射線性ドライマウス)、唾液の減少は口内の汚れ、虫歯の多発につながるため注意が必要となります。また、放射線治療前に状態の悪い歯の抜歯をおこなったり、虫歯や歯周病の治療を終えておくことも大切となります。放射線治療後の抜歯、喫煙習慣は顎骨壊死のリスクを高めるため避けるようにします。
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●薬剤関連顎骨壊死の治療
薬剤関連顎骨壊死は難治性の病気と考えられてきたため、2010年代までは治すことではなく、症状を悪化させないことを目標として治療がおこなわれてきましたが、現在では治すことを目標とすることが多くなりました。
治療では、顎骨壊死を起こした部位の清掃、壊死した骨と周囲の骨の切除がおこなわれます。外科手術のほうが治る割合が高いため、全身の状態に問題がなければ外科手術が優先しておこなわれます。
1)保存的治療
軽症の顎骨壊死であれば保存的治療のみで治ることもあります。痛みなどの症状を緩和させることができます。治療としては、口内の清掃、抗菌性のうがい薬の使用、抗生物質の服用、壊死した骨と周囲の組織の洗浄、壊死した骨の一部除去などをおこないます。
2)外科的治療
外科手術としては1)壊死した骨のみを除去する(壊死骨除去)、2)壊死した骨と周囲の骨を除去する(壊死骨+周囲骨除去)、3)さらに広い範囲の骨も除去する(区域切除)方法があります。
広い範囲の骨を除去したほうが顎骨壊死が治る割合が高い傾向があり、3)の方法が推奨されています。1回の外科手術で治ることが多いものの、原因となっている病気が続いている限りは同じ部位、あるいはほかの部位に顎骨壊死が再発することもあります。
切除をおこなったあとは、足や腰の骨を移植する方法のほか、高齢や全身の健康状態が優れない場合は小さな金属板を使用してあごの骨を再建していきます。
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