Q.なぜ、あごの骨以外の骨では発生しないのでしょうか?
A.口内には細菌が多数存在し、あごの骨は歯があるために感染しやすい環境にあります。この環境が顎骨壊死発生に関与していると考えられています。
Q.何の薬で発症するのでしょうか?
A.ビスホスホネート系薬剤、デノスマブ製剤などにより発症することがあります。
Q.ビスホスホネート系薬剤、デノスマブ製剤は何の治療で使用されますか?
A.骨粗鬆症(こつそしょうしょう)、がん、関節リウマチの治療などで使用されます。
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Q.顎骨壊死にはいろいろな名称があるようですが違いは何でしょうか?
A.最初はビスホスホネート系薬剤による顎骨壊死(BRONJ)だけとされていましたが、デノスマブ製剤による顎骨壊死(DRONJ)も報告され、両者をあわせたものを骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(ARONJ)と呼ぶようになりました。さらにほかの薬からの顎骨壊死も報告されるようになったため、現在は薬剤関連顎骨壊死(MARONJ)と呼ばれるようになりました。
Q.日本ではいつから薬剤関連性顎骨壊死と言うようになりましたか?
A.2016年の時点では骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(ARONJ)との名称が一般的でしたが、その後は薬剤関連顎骨壊死(MARONJ)と言うことが多くなり、2023年にはこの名称が一般的となりました。
Q.骨粗鬆症の薬の全てが顎骨壊死の原因になりますか?
A.骨粗鬆症治療薬の全てではありませんが、大半の薬が顎骨壊死の原因になります。
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Q.80代女性です。骨粗鬆症でボンビバを服用していますが、介護も受けておらず元気なので薬は服用しない方がいいでしょうか?
A.骨折して要介護や寝たきりの原因になるので、服用したほうがよいかと思います。
Q.ビスホスホネート系薬剤、デノスマブ製剤は、がん治療ではどのような効果がありますか?
A.がんが骨に転移すると、耐えられない激しい骨の痛み、しびれ、麻痺、骨折がおきたり、症状が悪化して死に至ることがあります。薬はこれを防ぎます。
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Q.原因となる薬を服用すると必ず顎骨壊死をおこしますか?
A.必ずしも顎骨壊死になるわけではありません。定期的に歯科医院で歯のクリーニングをおこなうなどして、口内をきれいに清潔に保つことで予防することができます。
Q.薬剤関連顎骨壊死の患者さんはどのくらいいますか?
A. 日本口腔外科学会の調査では、ビスホスホネート系薬剤、デノスマブ製剤を主とする薬による顎骨壊死は2019年だけで6909例が報告されています。報告されていないものも含めると、さらに発症数は多いとされています。
Q.薬以外で顎骨壊死をおこすことはありますか?
A.あります。
大規模調査では頭頚部がん放射線治療後の7.6%の患者さんが顎骨壊死を発症しています。虫歯、抜歯ななどが放射線による顎骨壊死のリスクを高めます。
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Q.70代女性です。骨粗鬆症でボナロンを服用しています。抜歯しなければ顎骨壊死は防ぐことはできますか?
A.抜歯だけでなく、口内の汚れ、合わない入れ歯の使用などによって顎骨壊死を発症することがあります。
Q.歯科医院での歯のクリーニングは顎骨壊死の予防に有効ですか?
A.有効です。ビスホスホネート系薬剤、デノスマブ製剤等による治療をおこなっている方は、顎骨壊死の予防のために定期的に歯のクリーニングをされることをおすすめします。
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Q.ビスホスホネート系薬剤の服用を始める前にしておくことはありますか?
A.投与前までに全ての歯科治療を終えることが望ましいとされています。ただし、がん治療中で投与を遅らせることができなかったり、骨折のリスクが高い骨粗鬆症の患者さんは歯科治療と並行して投与を進めることはあります。
Q.抜歯を予定しています。骨粗鬆症でフォサマックを服用していますが、中断したほうがよいでしょうか?
A.以前は薬の服用を中止してから抜歯をおこなっていましたが、現在は原則として薬を服用したまま抜歯することが推奨されています。抜歯の際は、かかりつけの歯科医師、医師にご相談ください。
Q.60代女性です。ビスホスホネート系薬剤を投与中に気を付けることはありますか?
A.医師の先生から、投与時に1)口内に異常を感じたときは歯科医師に相談すること、2)口内を清潔に保つこと、3)定期的に歯科検診を受けることを指示されたと思います。これを遵守することが大切です。
Q.薬剤関連顎骨壊死の治療方法には、どのようなものがありますか?
A.軽症から重症例の全てにおいて、歯のクリーニング、歯石の除去をおこない、口内を徹底して清潔にしていくほか、抗生物質を使用して感染や骨壊死の広がりを防いでいきます。
中等度から重症例では手術がおこなわれます。早期のうちに、軽症のうちに治療を開始することが大切となります。
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