骨粗鬆症(こつそしょうしょう)とは※1

骨粗鬆症とは、骨の量が減少し、骨が弱くなる病気です。骨粗鬆症にかかると、骨折しやすくなり、骨折がきっかけで寝たきりになることも少なくありません。

骨の量は20~40歳頃をピークに、年齢とともに減少します。特に女性では、閉経後5~10年の間に年3%以上もの急速なスピードで骨量が減少し、10年間の骨減少率は20%を超えると報告されています。

骨粗鬆症は、日本では患者数1280万人(男性300万人、女性980万人)、40歳以上の女性の1/4が患者とされ、人口の高齢化に伴い患者数は増えています。しかしながら、自覚症状がないために、骨折をおこすまで気付かないことが多いとされています。

トイレ トイレ、玄関、廊下で転倒、骨折し、骨粗鬆症に気付くことがあります

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骨粗鬆症とビスホスホネート系薬剤

骨粗鬆症の治療では、ビスホスホネート系薬剤が頻繁に使用されます。

ビスホスホネート系薬剤は骨に付着して、骨の中のカルシウムが溶け出すのを防ぎ、骨の密度を増加させ、骨折を防ぎます。服用した1%以下が吸収され、10年以上にわたって骨の中に滞留します。

骨粗鬆症以外では、乳がん、前立腺がんなどのがん治療薬として使用されています。がん治療薬では注射薬として使用されます。投与された50%以上が骨に取り込まれます。

新薬としては、2016年11月に「リクラスト」が販売されました。年1回の注射をおこなうだけで1年間効果が続く骨粗鬆症の薬です。

骨粗鬆症で使用する主なビスホスホネート系薬剤
商品名  一般名 製造販売会社
ダイドロネル エチドロン酸二ナトリウム 大日本住友製薬
フォサマック アレンドロンン酸ナトリウム水和物 万有製薬
ボナロン 帝人ファーマ
アクトネル リセドロン酸ナトリウム水和物 味の素 エーザイ
ベネット 武田薬品工業
ボノテオ ミノドロン酸水和物  アステラス製薬
リカルボン 小野薬品工業
リクラスト ゾレドロン酸水和物 旭化成ファーマ


ダイドロネル フォサマック ボナロン アクトネル ベネット

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歯科治療時の問題点

ビスホスホネート系薬剤を服用している患者さんは、抜歯インプラント手術歯周外科手術(歯周病の手術)など、歯科医院で外科治療をおこなう際に問題となります。

外科治療によって顎骨壊死(がっこつえし、あごの骨が腐り、失ってしまうこと)をおこすことがあるためです。あごの骨だけに発生する理由としては、下記の特殊性が原因と考えられています。

あごの骨の特殊性

歯は上皮を破って骨まで達しているため、口の中の感染があごの骨に達しやすい。

口の中には数百種類、1cm3あたり1000億~1兆もの細菌がいる。

下あごの骨は骨が緻密でビスホスホネートが蓄積しやすい。

虫歯、歯周病などを介してあごの骨に炎症が波及しやすい。

抜歯によりあごの骨は直接外部にさらされ、感染しやすい。


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ビスホスホネート系薬剤による顎骨壊死の発生率と症状※2

2003年にアメリカ・マイアミ大学の研究者により、ビスホスホネート系薬剤の副作用として、顎骨壊死があることが初めて報告されました。当初は発症の仕組み、適切な対応や治療方法が分からなかったものの、10年以上にわたる多くの症例蓄積、解析により、顎骨壊死の発生は予防できるようになってきました。

「骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2016」(日本口腔外科学会、日本歯周病学会ほか)によると、骨粗鬆症患者の顎骨壊死の発生率は0.001~0.01%、がん患者の顎骨壊死の発生率は1.5%とされています。

薬の内服よりも注射による投与の方が発生率が高い傾向にあり、骨粗鬆症では薬の内服による治療が、がん治療では注射による治療が主におこなわれます。顎骨壊死の症状としては、あごの痛みや腫れのほか、あごの骨が腐ってしまったり、あごの骨が口の中に出てしまったりします。


ビスホスホネート系薬剤による顎骨壊死の症状
痛み/腫れ/骨が腐ってしまう(骨壊死)/骨が口の中に出てしまう(骨露出)/膿(うみ)が出る/歯がグラグラする/潰瘍ができる/知覚麻痺(ビンセント症状)



日本国内におけるビスホスホネート系薬剤による顎骨壊死の状況※2

日本口腔外科学会の全国調査では、2006年~2008年に263例、2011~2013年に4797例(ボナロン987例、フォサマック585例、ベネット305例、アクトネル244例、ボルテオ134例、リカルボン85例ほか)が報告されています。

報告例が大幅に増加したのは、ビスホスホネート系薬剤による顎骨壊死が医療関係者の間で知られるようになったこと、薬の使用が増えていることなどが原因と考えられています。

2011~2013年の調査では、発症部位では下あごが65%、上あごが28%、両あごが7%でした。原因となった病気の45%が骨粗鬆症、47%ががん、6%が多発性骨髄腫でした。

歯科治療をしていなくても口腔衛生不良(口の中が汚れている)、入れ歯の不適合、根尖性歯周炎(歯の根の膿)により発症した症例も多く報告されています。

海外での報告に比べて内服薬による発生割合が高く、約半数が内服薬となっています。これは海外に比べると骨粗鬆症で内服薬を服用している人の割合が高いこと、海外に比べると注射薬の適応拡大が遅かったことが原因と考えられています。



歯科治療を受ける時の注意事項※2

骨粗鬆症の患者さんは、歯科治療を受ける際は必ず歯科医師に相談するようにします。

以前はビスホスホネート系薬剤の服用を中止してから外科治療(抜歯、インプラント手術、歯周外科手術)をおこなっていましたが、1)顎骨壊死の発生率は低いこと、2)薬の服用中止により骨折のリスクが高まること、3)口の中を清潔にするなどの予防方法があることから、現在は薬の服用を中止せずに外科治療をおこなうことが多い傾向にあります。

骨折のリスクも含めた全身状態に問題がなければ、外科治療(抜歯、インプラント手術、歯周外科手術)の前に2ヶ月程度のビスホスホネート系薬剤の服用を中止することがあります。

ビスホスホネート系薬剤を服用している場合は、口の中を清潔にすることが顎骨壊死の発生を防ぐ最善の方法とされています。歯みがきが不十分であったり、歯垢や歯石が多いなど、口の中が汚れている人は顎骨壊死を発症しやすい傾向があります。

顎骨壊死を防ぐためには、毎日の歯みがきをしっかりするのはもちろんのこと、歯科医院で虫歯、歯周病の治療や歯のクリーニング(PMTC)などの予防処置を受けるようにします。

診察 定期検診を受けて歯を失わないようにすることも大切です

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顎骨壊死の治療※2

2010年頃までは、できる限り骨を残す治療(保存療法)が主におこなわれていましたが、その後に外科手術(顎骨切除など)を早い時期におこなったほうが、治る割合が高いとの報告が多くされました。そのため、現在では骨を残す治療よりも、外科手術が多くおこなわれています。



※1 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会(日本骨粗鬆症学会、日本骨代謝学会ほか) 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年度版  ※2 顎骨壊死検討委員会(日本口腔外科学会、日本歯周病学会、日本歯科放射線学会ほか) 骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2016 ほか


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