●むずむず脚症候群とは
むずむず脚症候群(むずむずあししょうこうぐん)とは、脚にむずむずした不快な症状が生じる病気です。むずむずする、虫が這っている、ピクピクする、脚を動かさずにいられない、脚を動かすと落ち着く、眠れないなどの症状があります。
日中よりも、夕方や夜に症状がひどくなり、「寝入ることができない(入眠障害)」、「ぐっすり眠れない(熟眠障害)」、「途中で目覚めてしまう(中途覚醒)」などの睡眠障害を引きおこします。
英語の「Restless legs syndrome」からRLS、レストレスレッグス症候群、下肢静止不能症候群ともいいます。
脚がむずむずします
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●有病率
日本人の2〜5%、患者数は200万〜500万人とされています。病名が殆ど知られていないため、治療をおこなっている人はごくわずかです。
●性別、年齢
女性に多く、加齢と共に患者数は増え、特に40歳以上の中高年に多くみられます。妊娠中の女性は5人に1人が発症するといわれていますが、ほとんどは授乳期間が終わるまでには自然に治ります。まれに小児にもみられます。
●原因
むずむず脚症候群は、特別な原因のない特発性(一次性)と、他の病気などが原因でおこる二次性の2つに分けることができます。
原因として、ドーパミンや鉄が関与していると考えられています。ドーパミンは脳内の神経伝達物質で運動機能に関与します。鉄はドーパミンを作るためには欠かせない物質です。鉄が不足するとドーパミンも減り、脳の情報を正しく伝えることができなくなり、身体の感覚に異常を感じてしまうと考えられています。
慢性腎不全、鉄欠乏性貧血、妊娠、糖尿病、パーキンソン病、関節リウマチもむずむず脚症候群の原因と考えられています。特に慢性腎不全で人工透析を受けている患者さんの3人に1人はむずむず脚症候群を発症するとされています。
妊娠時は脚がむずむずすることがあります
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●診断基準
診断には、下記の基準が用いられます。4項目を満たすと確定、3項目で疑いがあるとされています。
他の病気との鑑別をおこなうために、血液検査を実施して鉄欠乏の状態や腎障害の有無などを調べます。睡眠時無呼吸症候群などの他の睡眠障害との鑑別をおこなうため、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)をおこなうこともあります。
むずむず脚症候群の診断
脚をうごかしたいという欲求が、不快な異常感覚に伴って生じる。
安静にして、静かに横になったり、座ったりしている状態で始まる。
歩く、脚を伸ばすなどの運動を続けている間は、症状が改善する。
日中よりも夕方、夜間に強まるか、夕方、夜間のみにおこる。
終夜睡眠ポリグラフ検査
関連するページ 終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)
●治療方法
治療は薬の服用により症状を軽減するとともに、生活習慣の改善も有効となります。嗜好品(カフェイン、アルコール、タバコ)、薬(抗うつ薬、抗精神薬、抗ヒスタミン薬)を避け、入浴、運動をおこないます。
薬においては、2010年にプラミペキソール塩酸塩水和物(商品名:ビ・シフロール)が初めて健康保険適応になり、2012年にはガバペンチン エナカルビル錠(同:レグナイト)、ロチゴチン経皮吸収型製剤(同:ニュープロパッチ)が健康保険適応になるなど、選択肢が広がりました。
むずむず脚症候群の治療方法
薬の服用/鉄剤の服用/鉄分を取り入れた食事/バランスのよい食生活/コーヒー、紅茶、緑茶などのカフェイン入り飲料、アルコール飲料を避ける/禁煙/規則正しい生活 就寝前のストレッチ、マッサージ/ウォーキングなど適度な運動
むずむず脚症候群に使用される主な薬
製品名 | 商品名 | 承認時期 | 特徴 |
プラミペキソール塩酸塩水和物 | ビ・シフロール | 2010年 | 特発性むずむず脚症候群に適応を有する国内初の薬剤。 |
ガバペンチン エナカルビル錠 | レグナイト | 2012年 | ビ・シフロールが使用できない方にも有効 |
ロチゴチン経皮吸収型製剤 | ニュープロパッチ |