●顎関節脱臼とは
顎関節脱臼(がくかんせつだっきゅう)とは、下あごの骨が外れて元の位置に戻らない状態です。
脱臼をおこすきっかけとしては、食事、あくび、嘔吐、歯科治療などで大きく口を開けたときが多く、打撲、あごの骨の骨折、一部の向精神薬の服用、病気(脳血管障害、てんかん、パーキンソン病、筋ジストロフィー、マルファン症候群、エーラスダンロス症候群)、加齢や寝たきりなどによる筋力の低下がきっかけとなることもあります。
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●顎関節脱臼の状況
下顎頭というあごの関節は口を開けると関節結節を超えて前方に動き、口を閉じると元の位置に戻ります。前方に移動した下顎頭が関節結節にひっかかって動かなくなり、元の位置に戻らなくなった状態を顎関節脱臼といいます。
脱臼の多くは前方に脱臼しますが、後方や上方への脱臼したときは外傷が原因で骨折していることが多く、手術が必要なこともあります。
●顎関節脱臼の症状
顎関節脱臼をおこすと、痛みだけでなく、あごを動かすことができなくなるため、食べる、飲み込む、話すといったことができなくなることがあります。主な症状としては下記があります。
主な症状
あごの関節が痛む/口を開けたり閉じたりすることができない/下あごが前に出てしまう/顔が長くなる/顔がゆがむ/よだれが出る/食べることができない/飲み込むことができない/話すことができない ほか
●顎関節脱臼の種類
1)単純性脱臼、習慣性脱臼
何らかの原因により、たまたま生じたものを単純性脱臼といい、自力で元の位置に戻せる人もいます。
加齢によって関節がすり減り平らになったり、合わない入れ歯の使用、奥歯がない状態を放置したこと等により、脱臼を繰り返すものを習慣性脱臼といいます。習慣性脱臼は顎関節脱臼の45%を占め、女性、60歳以上に多い傾向があります。
2)陳旧性顎関節脱臼
脱臼して2週間以上、元の位置に戻らなかったものを陳旧性(ちんきゅうせい)顎関節脱臼といいます。脱臼をおこすと症状により気が付きますが、要介護高齢者では症状を訴えることはなく、脱臼に気付くのが遅れることがあります。
長期間経過した脱臼は元の位置に戻すことが難しくなります。陳旧性顎関節脱臼は認知症、脳血管障害(脳梗塞、脳出血)、精神的な病気、知的障害、発達障害、歯が全くない人に多いとされています。
●顎関節脱臼の治療
1)整復と固定
脱臼に気付いたらできる限り早くに歯科もしくは口腔外科に受診して、元の位置に戻します(整復)。精神的な病気、運動障害などで整復が難しい場合は、笑気麻酔などのリラックスさせる麻酔を使用したり、全身麻酔で整復をおこなうこともあります。
1か月ほどの間は再発しやすいため、帽子であごを固定する(オトガイ帽)、包帯を巻いて口が開かないようにする、ゴムをつけて固定する(顎間固定、下写真)などの方法をおこないます。
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2)手術
あごを動きにくくする手術(頬骨突起形成術、前方障害形成術)、関節を削ってあごが簡単に元に位置に戻るようにする手術(関節結節削除術、関節円板切除術、下顎頭切除術)などがおこなわれます。
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