小児の睡眠時無呼吸症候群は、異常行動、日中の眠気、感情の不安定、発育の遅れなどをおこすことがあり、早期の治療が必要となることがあります。
咽頭扁桃肥大(アデノイド)、口蓋扁桃(扁桃腺)肥大が主な原因のため、小児の睡眠時無呼吸症候群の治療では、手術が最も多くおこなわれます。
●手術時期
アデノイド(咽頭扁桃)は4〜6歳頃、扁桃(扁桃腺、口蓋扁桃)は5〜7歳頃に最も大きくなります。
手術時期は、アデノイド、口蓋扁桃が大きくなる時期、小学校入学前の4〜6歳が多い傾向にあります。睡眠時無呼吸症候群の症状が著しいときは、2〜3歳でも手術をおこないます。
検査により睡眠時無呼吸症候群と診断され、鼻炎の治療、肥満の改善等による治療でも改善されない場合、アデノイドや口蓋扁桃肥大が著しい場合は、手術の対象となります。
また、異常行動、日中の眠気、感情の不安定、発育の遅れなど、睡眠時無呼吸症候群の症状が著しい場合も手術の対象となります。
小児の睡眠時無呼吸症候群は、食欲不振、嚥下(のみこみ)困難、日中の活動量低下によるカロリー摂取量の低下などによって成長が遅れることがあり、適切な時期での手術が必要となります。
※扁桃(へんとう)とは
以前は扁桃腺といいましたが、現在は「扁桃」といいます。口を大きく開けてのどの中をみると、口蓋垂の両側にあるのが一般にいわれる扁桃、正しくは口蓋扁桃です。扁桃には、他にものどの一番上にある咽頭扁桃(アデノイド)などがあります。
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●手術の前に
クリニックで診療をしていると、「すぐに手術をしたい」とお話しされる保護者の方がおられますが、手術前には鼻炎の治療、肥満の改善等による治療をおこなう必要があります。また、手術にあたっては、下記事項を理解しておくことが大切です。
手術の前に理解しておくこと
睡眠時無呼吸症候群は口蓋扁桃肥大だけでなく、鼻づまりや下顎や顔の形態、アデノイドなど、多くの要因によりおこります。
睡眠時無呼吸症候群を放置すると、下顎や顔の形態、成長、学業に影響する可能性があるため、適切な治療が必要です。
口蓋扁桃摘出術の改善率は、小下顎、筋緊張低下などの合併症を伴わない場合で、60〜80%です。
肥満があると改善率は低くなります。手術だけでは改善しないため、体重管理やCPAPになどによる治療も必要となります。
手術に対してリスクの高い小児
3歳未満(低年齢)/12kg以下(低体重児)/肥満/神経、筋肉の病気を合併/骨格の異常
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●手術方法
症状によりアデノイド切除術、口蓋扁桃摘出術を単独で、あるいはその両者を同時におこないます。
手術は1週間ほどの入院が必要となります。手術後は、当日夕方から口で食べることが可能で、2〜3週間ほどで治ります。
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手術の効果
手術により、いびきや無呼吸などほとんどの症状は改善します。夜尿や異常行動の消失、身長や体重の増加、下顎の成長、学業成績の向上などがみられます。一方で、手術後もいびきが残ったり、一度治ったものの再びいびきをかくこともあります。
合併症のないときでのアデノイド・扁桃摘出術による改善率は、80〜85%とされています。4〜6歳での手術が最も多く、7〜9歳での改善率は60〜70%、肥満を合併しているときの改善率は25〜40%とされています。
年齢が上がるにつれて改善率が低下するのは、顔面形態の変化、肥満が原因と考えられます。
小児の睡眠時無呼吸症候群の手術については、対応している医療機関が極めて少なく、いくつもの医療機関を受診された末に当クリニックに来院される患者様が殆どです。医療機関がお分かりにならない場合は、症状を診させていただいた後に、最も適当と思われる医療機関をご紹介させていただくことも可能です。
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