口内炎の治療では、軟膏を塗ったり、うがい薬で消炎、消毒をします。また、歯みがきをしっかりするだけでなく、歯科医院で歯のクリーニング、虫歯や歯周病の予防や治療をおこなうことで、口内炎ができにくい、口内炎が治りやすい口内環境にしていきます。
睡眠、栄養、休養をしっかりとって体調を整えることも大切です。貧血、手足口病など全身の病気が原因の場合は、これらの治療もあわせておこないます。
治療は歯科のほか、口腔外科、耳鼻咽喉科でおこなわれます。お気軽にご相談ください。
●軟膏 歯科、口腔外科、耳鼻咽喉科(主な診療科)
軟膏を塗ることにより、長時間の効果が得られます。アフタ性口内炎、口腔扁平苔癬(こうくうへんぺいたいせん)など狭い範囲の口内炎に使用します。口腔カンジダ症やウイルス性の口内炎でも、狭い範囲であれば使用します。
飲食や唾液により流されやすいので、食後、歯みがき後、寝る前に指、もしくは綿棒につけて塗ります。
最も多く使用されるのは、歯科用アフタゾロン、オルテクサーなどのステロイド剤です。感染を伴った場合は歯科用テトラサイクリンパスタ、口腔カンジダ症にはフロリードゲル経口用が使用されます。
主な軟膏 歯科などで処方
製品名 |
一般名(成分) |
薬効 |
歯科用アフタゾロン |
デキサメサゾン |
ステロイド剤 |
デキサルチン軟膏 |
デルゾン口腔用 |
オルテクサー口腔用軟膏 |
トリアムシノロンアセトニド |
ケナログ口腔用軟膏 |
テラ・コートリル軟膏 |
ヒドロコルチゾン
塩酸テトラサイクリン |
ステロイド剤複合剤 |
テトラ・コーチゾン軟膏 |
歯科用テトラサイクリンパスタ |
塩酸テトラサイクリン |
抗菌剤 |
テトラサイクリンCMCペースト |
フロリードゲル経口用 |
ミコナゾール |
抗真菌剤 |
※ケナログ口腔用軟膏は2018年末で販売中止、2019年4月に保険適応外になりました。
デキサルチン軟膏 歯科用アフタゾロン
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●貼付剤(ちょうふざい) 歯科、口腔外科、耳鼻咽喉科
口内炎の部分に薬を貼り付けて使用します。外れやすい欠点がありますが、口内炎を覆うことができるため、薬の効果に加えて、食物などの刺激を遮断できる効果もあります。代表的なものとしてアフタッチがあります。
アフタッチ
主な貼付剤 歯科などで処方
製品名 |
一般名(成分) |
薬効 |
アフタッチ |
トリアムシノロンアセトニド |
ステロイド剤 |
●被覆・保護剤 歯科、口腔外科、緩和ケア科
被覆・保護剤として
2018年にエピシルを使用した口内炎治療が健康保険適応になりました。がん治療による口内炎(口腔粘膜炎)に適応され、口内炎の周囲に塗るとバリアができ、痛みを和らげます。
歯科医院やがん治療をおこなっている医療機関で処方され、1回の使用で8時間ほど効果が続きます。
エピシル口腔用液
関連するページ 抗がん剤による口内炎(口腔粘膜炎)
●漢方薬 歯科、口腔外科、耳鼻咽喉科
軟膏や貼付剤で治らなかった口内炎の治療には、漢方薬が使用されることもあります。再発を繰り返したり、難治性の口内炎に有効であることが多く、主に半夏瀉心湯、黄連湯、茵ちん蒿湯が使用されます。
そのほかには、加味逍遥散、立効散、黄連解毒湯、柴胡桂枝乾姜湯などが使用されます。
主な漢方薬 歯科などで処方
半夏瀉心湯
(はんげしゃしんとう) |
胃腸症状がある人の口内炎、がん治療による口内炎(口腔粘膜炎)にも効果があります。 |
黄連湯
(おうれんとう) |
半夏瀉心湯に成分が似ています。平均的な体力はあるものの、冷え症や腹痛をおこしやすい人に効果的。 |
茵ちん蒿湯
(いんちんこうとう) |
便秘傾向がある人、口の中がネバネバしたり苦みを感じる人に効果的。 |
軟膏で治らない口内炎は、漢方薬が有効なことがあります
●うがい薬(含嗽剤、がんそうざい) 歯科、口腔外科、耳鼻咽喉科
口内炎による痛みのため、歯みがきが十分できないことがあります。うがい薬を使用することで口の中の細菌を減らし清潔にしていきます。特に抗がん剤や放射線治療後の口内炎(口腔粘膜炎)に有効な方法です。効果としては炎症を抑えるもの、消毒作用のあるものがあります。
炎症を抑えるものとしては含嗽用アズレン、アズノール錠、含嗽用ハチアズレがあります。水、お湯に溶かして食後や寝る前に使用します。口の中がただれていたり、潰瘍ができているときは、含嗽用ハチアズレはしみやすいので避けます。
消毒作用のあるものには、ヨウ素の殺菌作用を利用するイソジン、界面活性化作用のあるネオステリングリーンがあります。食後や寝る前に使用します。
口腔カンジダ症にはファンギゾンシロップ(アムホテリシンB)などが使用されます。
主な含嗽剤 歯科などで処方
製品名 |
一般名(成分) |
薬効 |
含嗽用アズレン |
アズレンスルホン酸ナトリウム |
消炎 |
アズノール錠 |
アズレン錠 |
含嗽用ハチアズレ顆粒 |
アズレンスルホン酸・炭酸水素ナトリウム |
イソジンガーグル |
ポピドンヨード |
消毒 |
ポピドンヨード |
ネオステリングリーン |
塩化ベンゼトニウム |
ネオステリングリーン 含嗽用ハチアズレ顆粒
関連するページ 抗がん剤による口内炎(口腔粘膜炎)
●レーザー治療 歯科、口腔外科(当クリニックではおこなっておりません)
レーザーを照射して口内炎の部分を焼きます。照射した部分は焼け焦げたようになりますが、1〜2週間で治ります。痛みはほとんどなく、通常麻酔はしません。主にアフタ性口内炎に使用されます。
●歯のクリーニング(PMTC) 歯科
歯のクリーニングでは、日常の歯みがきでは取りきれない汚れや歯石を除去して、口の中の細菌を減らしていきます。口内炎ができたときだけでなく、定期的に歯のクリーニングをおこなうことで、口内炎ができにくい口内環境にしていくことも大切です。
歯のクリーニング(PMTC)前と後
関連するページ 歯垢と歯石 歯のクリーニング(PMTC) 歯のクリーニング(PMTC)の効果
●口腔内環境の整備 歯科
放置された虫歯や歯周病があると、口の中が汚れて口内炎の原因となります。また、とがった歯、つめ物、入れ歯は口の中の粘膜を傷つけ、口内炎の原因となります。これらの治療をおこなうことも大切です。
●睡眠、栄養、休養 セルフケア
睡眠不足、栄養不良、偏食、疲労、ストレスは口内炎の原因となります。十分な睡眠、栄養、休養は口内炎の予防のためには欠かせません。貧血、手足口病、帯状疱疹、全身性エリテマトーデス、ベーチェット病、クローン病、がんなどの全身の病気があれば、あわせて治療をおこないます。
十分な睡眠、栄養、休養も大切です
関連するページ ベーチェット病 がん治療前後の歯科治療
●
マウスピースの装着 歯科
睡眠中の歯ぎしりや食いしばり、頬や口唇をかむ癖があり、口内炎を繰り返す場合は、口内炎予防のために歯科医院でマウスピースを作製して睡眠中などに装着します。
関連するページ 歯ぎしり
●適切な口腔ケア用品の選択 セルフケア
口内炎の症状がひどいときは、歯ブラシを小さなもの、軟らかいものに変えるのも一つの方法です。どうしても歯ブラシが使用できないときは、清掃能力は落ちるものの、スポンジブラシや綿棒を使用します。
歯みがき粉は刺激の少ないものを選択します。どうしても使用できないときは、無理に使用する必要はありません。
歯みがきをしっかりおこない、口内を清潔にします
関連するページ 歯みがき粉の選び方と使い方 子供の歯磨き粉の選び方
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