●抗がん剤による口内炎(口腔粘膜炎)
口内炎(口腔粘膜炎)は、口内の粘膜にあらわれる炎症をいいます。がん治療中は抗がん剤治療(化学療法)、放射線治療に伴う免疫力の低下により、高い頻度で口内炎を発症します。
強い痛みを伴うことが多く、抗がん剤投与後3〜4日で口の中の粘膜が赤くなったり、腫れ、1ヶ月で粘膜の再生が進み治ります。抗がん剤は繰り返し投与されるため、投与の度に発症します。
軽症の口内炎(口唇)
当クリニックは、国立がん研究センター連携歯科医院、横浜市周術期連携歯科医院に認定されています。
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●口内炎(口腔粘膜炎)の発症頻度
通常の抗がん剤を使用したときは30〜40%、大量の抗がん剤を使用したときは70〜90%、顔や首周囲への放射線治療をおこなったときは、ほぼ100%の割合で口内炎が発症します。
高い確率で口内炎ができます
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●口内炎(口腔粘膜炎)の症状
抗がん剤の投与1〜2週間後に症状のピークを迎えます。口内の激痛、出血、熱いものや冷たいものがしみる、口が渇く、口が動かしにくい、食べ物が飲み込みにくい、味がおかしいといった症状があらわれることがあります。
痛みにより食事や会話がしにくくなり、身体的な苦痛だけでなく、精神的にも大きな苦痛を伴います。食事が十分に摂れず低栄養になることは、免疫力のさらなる低下を招きます。
口内炎(口腔粘膜炎)に伴い口の中にみられる症状
違和感/接触痛/冷水痛/温水痛/ドライマウス(口腔乾燥症)/口臭/歯肉出血/開口障害/咀嚼障害/嚥下障害/発音障害/味覚障害
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●口内炎(口腔粘膜炎)をおこしやすい抗がん剤
多くの抗がん剤は口内炎を発症させます。特に5−FUなどの一部の抗がん剤は、重症の口内炎を頻繁に発症させます。
抗がん剤の種類 | 一般名 | 商品名 |
抗がん性抗生物質 | ダウノルビシン | ダウノマイシン |
ドキソルビシン | アドリアシン、ドキシル | |
エピルビシン | ファルモルビシン | |
代謝拮抗薬 | フルオロウラシル | 5−FU(フルオロウラシル) |
テガフール・ウラシル | UFT | |
テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム | TS−1 | |
メソトレキセート | メソトレキセート | |
トポイソメラーゼ阻害薬 | イリノテカン | トポテシン、カンプト |
アルキル化薬 | シクロフォスファミド | エンドキサン |
プラチナ製剤 | シスプラチン | ブリプラチン、ランダ |
症状 | 軽症 | 中等症 | 重症 |
治療方法 | 口腔ケア うがい |
口腔ケア うがい 保湿剤 痛み止め |
口腔ケア うがい 保湿剤 痛み止め 医療用麻薬 |