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周術期口腔機能管理とは
周術期(しゅうじゅつき)とは、手術日を含めた手術前後のことをいいます。
手術前後に歯科、口腔外科で歯の清掃をおこなったり、虫歯や歯周病の処置などをおこなうことを「周術期口腔機能管理」といます。
国をあげて周術期口腔機能管理を推進しており、2012年にがん手術に対して初めて健康保険が適応になり、その後は健康保険の適応範囲が年々拡大されていきました。
2018年4月からは整形外科、脳神経外科の周術期口腔機能管理にも健康保険が適応になりました。健康保険の適応範囲が拡大されるのに伴い、またその効果が認識されるのに伴い、手術前に歯科医療機関への受診を勧める医師は急増しています。
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周術期口腔機能管理をおこなう場所
歯科が併設されている病院の大半は周術期口腔機能管理を実施しており、病院内の歯科や地域の歯科医院と連携して実施しています。連携の一例として、横浜市、横浜市立大学附属病院、横浜市歯科医師会は2017年に協定を結び、連携して周術期口腔機能管理をおこなっています。
歯科が併設されていない病院では、地域の歯科医院と連携して周術期口腔機能管理をおこなっていますが、2017年に日本歯科医師会がおこなった調査では20.8%の病院しか実施していません。
実施していない病院で手術をおこなうときは、自ら地域の歯科医院に受診する必要があります。
当クリニックでもおこなっていますので、お気軽にご相談いただけたらと思います。
当クリニックは、国立がん研究センター連携歯科医院、横浜市周術期連携歯科医院に認定されています。
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周術期口腔機能管理の効果
がん手術、臓器移植手術、心臓血管手術、帝王切開などの
手術前に歯科治療をおこなうと、手術後の発熱や肺炎の予防、入院期間の短縮、医療費の削減など、様々な効果が得られることが明らかにされています。主な効果としては下記があります。
入院期間の短縮
手術前の口腔ケアは、手術後におきる様々な合併症の発生率を減少させ、入院期間を短縮させる効果があります。
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発熱、肺炎発生率の減少
手術前の口腔ケア、歯のクリーニング(PMTC)は、手術後の発熱発生率、肺炎発生率を大幅に減少させます。そして、手術後の肺炎による死亡率も大幅に減少させます。
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歯の破折、脱落防止
全身麻酔時の気管挿管により、歯が破折したり、歯が抜け落ちることがあります。手術前にマウスピースを作製して手術時に使用することにより、これらのトラブルを予防します。
マウスピースがとがった歯やつめ物を覆うことにより、気管挿管中にチューブ(カフ)が損傷するのを防ぐ効果も期待できます。
関連するページ 手術用マウスピース
医療費の削減
入院期間の短縮、手術後の肺炎などの合併症の発生率減少は、医療費の削減にもつながります。
医療費が数百万円安くなることも珍しくなく、医科大学病院を中心に18施設の病院がおこなった大規模調査では、手術後の肺炎発症を防ぐだけで入院期間が大幅に短縮でき、医療費が1人あたり285万円も安くなったとのことでした。
●周術期口腔機能管理(手術前の歯科治療)の流れ
1.ご予約
入院される前に、お電話(電話番号:
045-910-2277)にてご予約ください。
入院までの時間がない場合でも、できるかぎり迅速に対応させていただきます。ご要望等がありましたら、お気軽にお申し付けください。
紹介状をお持ちの方はご持参ください。
関連するページ ご来院の前に(予診表など) 医科歯科連携診療(医療従事者の方へ)
2.手術前の歯科治療
手術前の歯科治療では、必要に応じて下記の治療をさせていただきます。入院までに時間ない方が多いため、1〜2回の通院で治療を終えるようにさせていただいております。
口腔ケア、
歯のクリーニング(PMTC)
歯石の除去、清掃等をおこない、口内に細菌が繁殖しにくい環境を整えていきます。
関連するページ 歯のクリーニング(PMTC) 歯のクリーニング(PMTC)の効果
虫歯、歯周病治療
大きな虫歯、進行した歯周病は痛みが生じやすく、手術後の全身状態を悪化させます。歯科治療をおこなうことのできる期間が短いため、完全に治すのではなく、入院中に痛みがでないことに重点をおいた虫歯、歯周病治療をおこないます。
関連するページ 虫歯 歯周病 小児がん
抜歯
頭、首に放射線治療を受けた後、手術前後に使用する薬によっては、抜歯ができなくなることがあります。状態の悪い歯を予め抜くことで、手術後の抜歯による顎骨壊死(あごの骨が腐ってしまうこと)などを予防します。
関連するページ 乳がん治療時の口腔の問題 がん治療薬の副作用
マウスピースの作製
医師の先生からの依頼があれば、全身麻酔での手術時に使用するマウスピースを作製させていただきます。急を要する場合は
、最短1日で作製させていただきます。
関連するページ 手術用マウスピース
歯の暫間固定
手術中に歯が抜け落ちてしまうと、思わぬ事故につながります。全身麻酔での手術時に口内に入れる器具(喉頭鏡)によって抜け落ちそうな歯があれば、一時的に隣の歯と強力な接着剤でくっつけることにより、歯が抜け落ちにくくします。
歯の暫間固定をおこなっても歯が抜け落ちそうな場合は、マウスピースと併用して手術をおこないます。
口内炎(口腔粘膜炎)治療
手術前に化学療法を受けているときは、口内炎ができることがあります。口内炎の症状が悪化すると、食事が十分に摂れずに低栄養になったり、痛みが強く手術を中断しなければならないこともあるため、手術前に口内炎の治療をおこないます。
関連するページ 抗がん剤による口内炎(口腔粘膜炎)
口腔カンジダ症治療
病気によって免疫力が低下していることが多くあり、免疫力の低下は口腔カンジダ症を発症させます。治療をおこなうことにより、口内環境を改善していきます。
関連するページ 口腔カンジダ症 口腔カンジダ症の治療
※当クリニックへのアクセスについては、下記のページをご覧ください。
交通アクセス・駐車場案内図(横浜市都筑区、港北区など近隣よりご来院の方)
青葉区・宮前区からのご来院(横浜市青葉区、川崎市宮前区からご来院の方)
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関連するページ 全身のご病気、障害、こころの病気をおもちの方の歯科治療