●誤嚥性肺炎の予防
誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)の予防には、自分自身ができるもの、歯科医院など医療機関でおこなうものがあります。
1)食べやすい姿勢での食事
姿勢のとり方によって食べ物が飲み込みやすくなるので、誤嚥を防ぐのに有効です。
特にベットで食事をする場合は、寝たままではなく、体を起した状態で食事をすることが大切です。また、夕食後は間食をせず、就寝時には胃を空っぽにしておくと、睡眠中の誤嚥を防ぐことができます。
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2)調理方法の工夫
パサパサしたもの、さっとのどを流れるものは、のどの反射が起きる前に気管に流れ込んでしまうために、誤嚥のしやすい食べ物です。逆にベトベトするような食べ物は、のどに付着、残留し、呼吸の際に吸い込んでしまうため、誤嚥のしやすい食べ物です。
食べ物を煮込んだり、きざみ方を変えるなどして調理方法を工夫すると、誤嚥をある程度防ぐことができます。また、とろみをつけたり、ゼリー状にする食品(増粘剤、ゲル化剤)を使用してもよいでしょう。
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3)口の中の清掃
歯をしっかりみがいたり、洗口液やうがい薬を使用するなどして、口の中の細菌を減らし、清潔に保つことが大切です。
また、歯のある高齢者の9割以上が歯周病にかかっています。歯周病は口の中の細菌が原因でおきる歯肉の炎症です。歯肉だけでなく全身にも悪影響を及ぼします。
歯科医院で虫歯や歯周病の予防や治療をおこなったり、定期的に歯のクリーニング(歯の清掃)などの口腔ケアも、誤嚥性肺炎の予防には欠かせません。
関連するページ 歯のクリーニング 歯のクリーニングの効果 歯周病と全身とのかかわりについて
4)睡眠の工夫
睡眠中は胃酸が逆流しないように、頭部を少し高くして寝るようにします。胃食道逆流症(逆流性食道炎)であれば、薬の服用するなどの治療をおこないます。
睡眠中は誤嚥しやすくなり、口の中の細菌が繁殖しやすいため、寝る前にはしっかり歯をみがいて、口の中の細菌を減らしておきます。
関連するページ 胃食道逆流症(逆流性食道炎)
5)そのほか
飲み込む機能を改善する訓練や薬の服用、禁煙、入れ歯の手入れなどをおこないます。
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●歯の清掃による肺炎の予防効果※1,2
昭和大学、広島大学、東北大学の研究者らが全国11ヶ所の特別養護老人ホーム入所者366人を対象に調査をおこないました。
歯科医師や歯科衛生士らが歯のクリーニングなどの口腔ケアをおこなったグループは、口腔ケアをおこなわず従来の方法で口の中を清掃していたグループに比べて、肺炎などによる発熱の発生、肺炎の発症、肺炎による死亡が、それぞれ48%、42%、56%も減少しました。同様の調査結果は、数多くの研究者によって報告されています。
口の中の清掃による肺炎の予防効果※1
アメリカ・ニューヨーク州立大学の研究者が調査(23808人)をおこなったところ、口の中が汚れている人ほど誤嚥性肺炎などの呼吸器の病気を発症しやすくなるという結果となりました。
また、口の中が汚れている人は口の中がきれいな人に比べて、誤嚥性肺炎などの呼吸器の病気を発症するリスクが
4.5倍(オッズ比)も高いという結果となりました。
誤嚥性肺炎など、呼吸器の病気を発症するリスク(オッズ比)※2
※口腔衛生指数(OHI-S、Simplified oral hygiene index)
口の中の汚れを評価する指数。歯についた歯垢(しこう)と歯石の状態をみます。最高点は6。
関連するページ 歯垢と歯石
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入れ歯の使用による肺炎の予防効果※1
全国11ヶ所の特別養護老人ホーム入所者、歯が全くない158人を対象に2年間にわたっておこなった調査では、入れ歯を使用していない人の肺炎発症率は29%だったのに対し、入れ歯を使用している人の肺炎発症率は11%となりました。
入れ歯を使用することで咬める機能を維持できると、肺炎の発症を防ぐこともできます。また、入れ歯を使用すると、食物による窒息事故を防ぐこともできます。
歯が全くない人の肺炎発症率
関連するページ 入れ歯
※1 米山武義,吉田光由,佐々木英忠,橋本賢二、三宅洋一郎,向井美惠,渡辺誠,赤川安正:要介護高齢者に対する口腔衛生の誤嚥性肺炎予防効果に関する研究.日本歯科医学会誌,20:58-68,2001.
※2 Scannapieco FA, Papandonatos GD, Dunford RG Associations between
oral conditions and respiratory disease in a national sample survey population.
Annals of Periodontology 3, 251-256, 1998.
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関連するページ 歯周病 歯周病と全身とのかかわりについて がん治療前・治療後の歯科治療