●老人性ドライマウスとは
「老人性ドライマウス」とは、加齢に伴ってみられるドライマウス(口腔乾燥症)です。
以前は唾液減少の原因として「加齢」が考えられていました。しかしながら、最近の研究では70歳頃までは唾液の分泌量はほとんど変化しないことがわかってきました。加齢よりも、高血圧や糖尿病などの全身的な病気、常用している薬、ストレスなどによる影響が大きいとされています。
ただし、70歳以上では唾液の分泌が減少し、ある研究では男性の16%、女性の25%に唾液の減少がみられました。特に女性は加齢に伴って唾液の分泌が大きく減少し、70〜80歳代では10歳代の半分以下にまで唾液の分泌が減少することもあります。
女性のほうが男性よりも唾液の分泌が大きく減少するのは、女性ホルモンが減少して男性よりも唾液腺委縮(いしゅく、小さくなること)の発生率が高いためと考えられています。
加齢に伴い口の渇きを訴える人は多くなります
関連するページ ドライマウス ドライマウス Q&A
●口のかわきを自覚している人
厚生労働省の調査によると、口のかわきを自覚している人は60歳代まではそれほど多くはありませんが、70歳以上になると急増します。
65〜74歳は10.9%、75〜84歳は16.9%、85歳以上は17.4%の人が口のかわきを自覚しています。
※平成28年歯科疾患実態調査(厚生労働省)
●ドライマウスを発症する要因
1)生理的な変化
加齢に伴う唾液腺の委縮により、唾液が減少することがあります。また、咬むことにより唾液は分泌されますが、加齢に伴い歯の本数は減り、筋肉が衰え、咬む機能が低下するため、唾液の分泌が促されず、ドライマウスを発症することがあります。
関連するページ 唾液の働き
2)全身の病気
高血圧、糖尿病、腎臓病、脳梗塞、シェーグレン症候群、うつ病、不眠などの病気により、ドライマウスを発症することがあります。
関連するページ 糖尿病 慢性腎臓病 シェーグレン症候群 ストレス性ドライマウス
3)薬の副作用
加齢に伴い薬を服用する機会が多くなります。薬の副作用によってドライマウスを発症することがあります。
多くの薬が唾液の分泌を減らす作用があります
関連するページ 薬剤性ドライマウス
4)水分の摂取不足
若年者に比べると、水を少量しか飲まない人が多い傾向にあります。水分の摂取不足や脱水症状により唾液は分泌されず、ドライマウスを発症することがあります。
5)栄養不足
一人暮らし、寝たきり、入れ歯が合わない、虫歯を放置等の理由により、食事を十分に摂取せず、あるいは十分に摂取できないためにドライマウスを発症することがあります。
●ドライマウスの治療
歯科大学4校などが524人の高齢者(65〜85歳)に対して共同でおこなった大規模な調査では、口の中の乾燥により不自由を感じている人は42%、常に不自由を感じている人は9%にもいました。
しかしながら、治療を受けていた人は、わずか8%でした。ドライマウスを感じていても、治療を受けている人がほとんどいないことは問題となっています。
ドライマウスの治療では加齢以外の要因、全身の健康状態や生活環境、生活習慣に問題があれば、これらの問題の除去をはかっていきます。
加齢に伴い萎縮した唾液腺でも、唾液の細胞は多く残っていることが多く、味覚刺激、機械的刺激などの刺激により、唾液の分泌を促すことができます。
対処療法として歯科医院での口腔ケアや歯のクリーニング、保湿剤(オーラルウエット、オーラルバランスなど)の使用、口の周囲の筋力アップをはかるための筋機能訓練、入れ歯の作製などをおこなっていきます。
よく咬むことが大切です
関連するページ 歯のクリーニング(PMTC) ドライマウスの治療で使用される薬剤 入れ歯 食育
当クリニックはドライマウス(口腔乾燥症)唯一の学会組織である「ドライマウス研究会」が発足した2002年から メンバーとして参加しています。
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