食べ物による窒息事故は様々な食品を原因として発生しており、毎年全国で4000人以上の人が亡くなっています。食物による窒息死亡は、高齢者がほとんどを占めます。
高齢者の食物による窒息は生命を脅かすこともあります。東京都消防局の食品による窒息事故の報告では、窒息事故の4割近くが重症以上となっています。
高齢になると歯の本数は少なくなり、歯周病が進行し、口の中は乾燥するため、かむ能力(咀嚼能力)は衰えます。かむ能力が衰えると、食物をかみ切れなかったり、食べ物を丸飲みすることもあります。これが窒息事故につながります。
また、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)、認知症、パーキンソン病などの病気により、飲み込み障害(嚥下障害)がおきていることもあります。これらの理由により、高齢者は窒息事故がおきやすい状況にあります。
特に認知症高齢者は窒息事故がおきやすいので注意が必要です。
食事のときは
食べ物を食べやすい大きさにしてよくかんで食べる、
水分をとりながら食べていくことが必要です。歯科医師や歯科衛生士の指導のもとで飲み込み訓練(嚥下訓練)をおこない、飲み込む能力を高めていくのも一つの方法です。
また、歯科医院で歯周病の予防や治療、ドライマウス(口腔乾燥症)の治療、入れ歯の調整等をおこない、食べ物をよくかめるようにしていくことも大切です。
食べる機能の変化
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●歯の状態と窒息※2
かめない人ほど窒息をおこしやすくなります。日本歯科大学の研究グループが介護老人福祉施設に入居している高齢者を対象におこなった調査では、歯を失っているにもかかわらず入れ歯等を使用していない人は、20.0%も窒息を経験していました。
その一方で、入れ歯でかめる人は10.1%、自分の歯でかめる人は6.0%しか窒息を経験していませんでした。入れ歯を使用していない場合は、
入れ歯を使用することが窒息予防につながります。
歯の状態と窒息の経験
●窒息したときの対処方法
窒息事故がおきた場合、
窒息した人はのどに手を当てて呼吸ができなくなったことを示す動作(チョークサイン)をします。救急を呼ぶのと同時に、下記の方法によって窒息の原因となっている食品の除去を試みます。
腹部突き上げ法(ハイムリッヒ法)
腕を後ろから回し片手で握りこぶしを作り、そのこぶしの親指側を傷病者のへそより上、みぞおちに当てるようにして、もう一方の手でこぶしの上を握り、すばやく手前上方に向かって圧迫するように押し上げます。この方法は、意識がない傷病者、乳児、妊婦にはおこなうことはできません。
背部叩打法(はいぶこうだほう)
ひざまずいて、窒息している人を自分の方に向けて横向きにします。次に手の付け根で肩甲骨(けんこうこつ)の間を力強く何度もたたきます。
チョークサイン 腹部突き上げ法(ハイムリッヒ法)
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※1 東京都消防局安全課調べ(2006年1月1日〜2007年12月31日) ※2 菊谷武、田村文誉、片桐陽香 平成20年度厚生労働科学研究費補助金(特別研究事業)分担研究報告書 食品による窒息の要因分析−ヒト側の要因と食品のリスク度−介護老人福祉施設における窒息事故とその要因
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