歯科治療を嫌がるお子さん、知的障害や発達障害の方に対しては、安全で確実な診療がおこなうために抑えつけて治療をおこなうことがあります。
以前は抑えつけての歯科治療が頻繁におこなわれていましたが、国の指針もあり少しずつおこなわれなくなってきています。当クリニックでは、できる限り抑えつけての歯科治療はおこなわず、日本小児歯科学会、日本障害者歯科学会の指針に基づいて治療をおこなっています。
●身体拘束、身体抑制について
医療や介護の現場では、動けないようにして抑えつけることは長い間、安全確保のためやむを得ないものとされてきました。
厚生労働省から2001年に「身体拘束ゼロへの手引き」、2024年に「介護施設・事業所等で働く方々への身体拘束廃止・防止の手引き」が示され、身体拘束は身体的、精神的、社会的に問題があるとしておこなわない環境整備が進められています。
歯科では2018年に日本小児歯科学会が「日本小児歯科学会における身体拘束下での歯科治療に関する基本的考え方」を発表。日本障害者歯科学会は2018年に「歯科治療時の身体(体動)抑制法に関する手引き」、2024年に「障害者歯科診療における行動調整ガイドライン
2024」を発表しました。
これらにより、抑えつけての歯科治療は一定の条件を満たしたときのみ、おこなわれるようになりました。
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●身体抑制による歯科治療の概要
身体抑制による歯科治療は、主に歯科治療を嫌がるお子さん、知的障害や発達障害の方に対しておこなわれます。レストレーナーという器具(下写真)やタオルを使用することにより身体を動けない状態にして治療をおこないます。
歯科治療時の事故防止につながるほか、治療を受けさせないことは「虐待」の一つとされていますが、治療ができることにより虐待の防止にもつながります。一方で、治療を受ける本人にとっては不安や恐怖感が大きくなるほか、人格尊厳の侵害という問題もあります。
●身体抑制が適応になる条件
抑えつけての歯科治療は、下記を満たす場合におこなわれます。担当する歯科医師のほか1名以上の歯科医療従事者が必要性を認め、保護者の方に説明、了承を得た後におこなわれます。
1)切迫性
緊急性、切迫性があるとき。
2)非代替性
身体抑制法以外の方法がないこと。
3)一時性
一時的な身体抑制であること。
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●身体抑制以外の方法について
身体抑制以外の方法としては行動療法のほか、麻酔による方法があります。
1)行動療法 当クリニックで実施
歯科治療は不安、恐怖感が大きく、そのために診療を嫌がることも多くあります。治療開始前に嫌なことや過去の治療の状態について把握し、行動療法という技法を使うことで、歯科治療に対する不安や恐怖感を軽くしていきます。
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2)笑気麻酔 当クリニックで実施
笑気麻酔は、ガスを吸うだけでリラックスした心地よい感じにする麻酔です。「お酒に酔ったような感じ」と例えられることもあります。笑気麻酔を用いることで歯科治療に対する不安や恐怖感が軽くなります。
関連するページ 笑気麻酔 笑気麻酔 Q&A
3)静脈内鎮静法 高次医療機関で実施(希望される場合はご紹介させていただきます)
静脈内鎮静法は麻酔薬を血管に点滴することで眠った状態になります。声がけには反応するものの、多くの場合は眠った状態のため治療の記憶がありません。麻酔後は1~2時間の休憩時間が必要となります。
4)全身麻酔 高次医療機関で実施(希望される場合はご紹介させていただきます)
完全に意識がなくなる麻酔で、治療中は呼吸の管理も必要となります。静脈内鎮静法よりも麻酔の効果が高い反面、治療時間は長くかかり、日帰りもしくは入院して治療をおこないます。
※当クリニックへのアクセスについては、下記のページをご覧ください。
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