自閉スペクトラム症のお子さんの歯科治療 横浜・中川駅前歯科クリニック
●自閉スペクトラム症とは

2013年にアメリカ精神医学会(DSM−5)によって、これまで自閉症、アスペルガー症候群、レット症候群など広範囲発達障害とされてきた障害が一つにまとまり、「自閉スペクトラム症(自閉症スペクトラム障害、ASD)」と診断されるようになりました。

自閉スペクトラム症は、症状の軽い人も含めると日本人の100人に1人の割合、100万人以上いるとされています。

症状としては、会話の裏にある意味を読むことが苦手な「コミュニケーションの障害」、相手の気持ちを考えることが苦手で場の空気を読むことが困難な「人間関係の障害」、興味やこだわりが強く、繰り返し同じ行動をする「パターン化した興味や活動」の3つの特徴があります。

知的障害、てんかん、注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害、強度行動障害、反すう症など、様々な障害や病気を合併することもあります。

子供

当クリニックでは自閉スペクトラム症の方の歯科治療をおこなっております。ご不明な点、事前にお聞きしたいことがありましたらメールにてお気軽にご相談ください。

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●自閉スペクトラム症の特性からくる歯科的問題

1.パターン化した興味や行動
興味やこだわりが強く、繰り返し同じ行動をするという特性から、同じものを食べ続け、他のものを食べようとしない傾向があります。そのため、甘い食べ物、乳酸菌飲料、ジュースなどを好むと、過剰摂取から虫歯が多発するほか、歯が溶ける病気である酸蝕症や歯肉に炎症がおきることがあります。

こだわりの強さから、治療をおこなったつめ物やさし歯を自分で除去しようとしたり、除去して欲しいと歯科医師に要望することもあります。

頻繁な歯ぎしりや爪咬み、手指咬みから歯並びへの悪影響がみられたり、歯が削れたり、歯がグラグラになったりすることもあります。口内炎の痛みや歯の生え変わりに伴う違和感が気になり、頻繁に触ることにより、新たな傷ができたり、治りが遅くなることがあります。

また、困惑、不安などの感情がパニックとなってあらわれることがあるため、家族が甘い菓子を与えることでパニックを抑えていくこともあります。これもまた、虫歯や歯肉の炎症の要因となります。

お菓子

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2.感覚過敏
脳の情報伝達の仕組みの違いから、視覚、聴覚、嗅覚、痛覚などの感覚が過敏であることがあります。

そのため、歯みがきを嫌がったり、歯科治療ではドリルの音、光、薬剤のにおい、異物が口の中に入ることの恐怖感から歯科治療が十分にできず、全身麻酔をおこなって歯科治療をおこなうこともあります。

口内の感覚過敏は家庭、療育センター、歯科医院での脱感作を取り組むことにより改善されることも多くあります。口内の感覚過敏が改善されると、偏食や歯科治療拒否の問題が改善されることがあります。

子供

聴覚過敏がある方はイヤーマフを着用しての治療も可能です。光過敏のある方はアイマスク、タオル、サングラスを着用しての治療も可能です。これらは使い慣れているものをご持参ください。

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3.コミュニケーションの障害

コミュニケーションの障害から、歯みがきをする習慣づけることが難しかったり、歯みがき方法を習得できなかったり、保護者がおこなう仕上げみがきの理解できず、嫌がることがあります。

歯科治療では、歯科医師や歯科衛生士との会話の意味を取り違えたり、治療の意味や目的が分からなかったり、口を開けるなどの指示にどう対応してよいのかが分からず、パニックになることがあります。

診察

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4.合併症
てんかんを合併している場合は、抗てんかん薬の副作用により、歯肉が大きく腫れることがあります。

注意欠如・多動性障害(ADHD)を合併している場合は、保護者の仕上げみがきや歯科治療中にじっとしているのが苦痛で、嫌がることがあります。その結果、虫歯が多発したり、歯肉が腫れたり、十分な歯科治療がおこなうことができないことがあります。



自閉スペクトラム症のお子さんの歯科治療

個人差はありますが、自閉スペクトラム症のお子さんの歯科治療は治療期間や時間がかかることが多いものの、無理せず、できる体験を増やしながら、意欲をもって治療に取り組めるように歯科治療をおこなっていくことが大切です。

逆に歯科治療を急いだり、お子さんを押さえつけての診療は、さらなる不安や恐怖を与え、その後の治療を困難にしてしまうため、できる限り避けるようにします。

文字あるいは絵カードを使用して視覚の支援をおこなったり、「治療しないと痛くなるよ!」のような後ろ向きの言葉ではなく、前向きな言葉で話しかけたり、聴覚過敏のお子さんには歯科医師や歯科衛生士の大きな声がパニックをおこしたり、興奮させるため、小声で話すなどの工夫が必要となります。

自閉症スペクトラム症のお子さんにとっては、歯科医院は慣れない椅子に座り、白衣やマスクを着けた見慣れない人に囲まれ、見慣れない器具や大きな音が出る器械で、自分では見えない部分に触られる行為となり、恐怖心、不安感をもちやすく、苦手とする場所です。虫歯ができてから、歯が痛くなってからの受診では負担が大きいため、虫歯予防のための受診がおすすめです。

初回は拒否が強く何もできないこともありますが、くり返し通院することで少しずつ治療ができるようになることが多い傾向にあります。治療をおこなううえでの参考となるため、保護者の方も私たち歯科医療従事者に、お子さんの特徴や治療に関するご要望を教えていただけましたら幸いでございます。

自閉スペクトラム症の方は一度記憶すると忘れず、不快な記憶をいつまでも覚えている特性があるため、無理をしない歯科診療をおこなっています。そのため、治療回数はかかる傾向にありますがご了承いただけたらと思います。

歯科大学病院など高次医療機関へのご紹介を希望の方は、当クリニックからご紹介させていただくこともできますのでお申し付けください。


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