●咬合違和感症候群とは
咬合違和感症候群(こうごういわかんしょうこうぐん)とは、歯の神経、歯周病、咬み合わせの筋肉、あごの関節に問題はみられず、様々な検査をおこなっても異常がみられないにも関わらず、咬み合わせの違和感、不快感が生じている状態をいいます。
昔からある病気で、咬合違和感、咬合感覚異常、ファントムバイトシンドローム(Phantom Bite Syndrome)などといわれていたものを、2013年に学会が咬合違和感症候群と定めました。
舌痛症と同様に中高年(初診時の平均年齢は50代前半が多い)、女性(女性が7〜8割)に多く、咬み合わせがおかしい、どこで咬んでよいのか分からない、咬み合わせが不快で気になるといった症状があります。
歯科治療後に発症する人が多く、治療後の微細な咬み合わせの変化に対応できず、理想の咬み合わせを求めていくつもの医療機関(平均で5施設前後)を転々とする人が多い傾向があります。
最も多いパターンは軽い咬み合わせの違和感から始まり、咬み合わせの調整、つめ物の交換、抜歯をおこなっていくうちに症状が悪化、重症化していくものです。
発症のきっかけとなった歯科治療ほか
さし歯やかぶせ物の装着、かみ合わせの調整(7割を占める)/顎関節症の治療/入れ歯の作製/矯正治療/インプラント治療/離婚/死別/大きな病気/転職/事故 ほか
患者さんが訴える口内の症状
咬み合わせがおかしい/どこで咬んでよいのか分からない/咬み合わせが不快で気になる/歯科治療後から咬み合わせ悪くなった/咬むとずれる、すべる感じがする/歯の当たり具合が悪い/咬み合わせが高い、当たりすぎている/咬み合わせが低い、咬み切れない ほか
患者さんが訴える全身の症状
姿勢が傾く、悪くなる/頭が重く、ぼーっとする/顔がゆがむ/背中が痛い/肩こり/めまい/頭痛/腰痛/倦怠感 ほか
咬合違和感症候群の患者さんの傾向
発症のきっかけや原因を咬み合わせと確信して成功しない咬み合わせ治療を繰り返す/全身的な身体の症状は咬み合わせが原因になっていると確信している/新たな歯科医院を受診する際に過去の治療に関する長い手紙や自分で描いた絵、歯型などを持参して歯科専門用語を使って話し、咬み合わせ治療への意欲が高い/過去に治療をおこなった歯科医師に対する強いマイナス感情をもつ一方で、新たな歯科医師に過度に過剰な期待を抱く
咬み合わせがおかしいなどの症状があります
関連するページ 咬合違和感症候群 Q&A 口腔内セネストパチー 口腔異常感症
●咬合違和感症候群の原因
歯科治療をきっかけとして発症する人が多く、神経質や気にし過ぎではなく、脳のわずかな機能異常が原因とされています。歯、あごの関節、咬み合わせに関与する筋肉などの情報が脳に上手く伝わらず、歯科治療前の咬み合わせのイメージが脳に残っているのが、発症原因の一つと考えられています。
また、統合失調症、ADHD(注意欠如多動症)、発達障害、うつ病、妄想性障害、身体症状症、人格障害などの精神的な病気が、発症に関わっていることもあります。左側に咬み合わせの違和感があるのある人はうつ病を合併していることが多いなど、2割程度の人は精神科や心療内科での治療も必要とされています。
関連するページ 統合失調症 うつ病
●咬みあわせに違和感が生じることのある病気
精神的な病気のほか、脳梗塞、慢性関節リウマチなどの全身的な病気、虫歯や歯周病などの口の中の病気が原因で、咬み合わせに違和感が生じることがあります。
下記の病気が咬み合わせの違和感の原因であることもあるため、歯科医院で診査、検査をおこない咬合違和感症候群との鑑別が必要となることもあります。
咬み合わせに違和感が生じることのある病気等
精神疾患の身体的症状/統合失調症/双極性障害/身体症状症/妄想性障害/パーソナリティ障害/ADHD(注意欠如多動症)/発達障害/口腔内セネストパチー/パーキンソン病/脳梗塞/重症筋無力症/慢性関節リウマチ/多発性硬化症/顎関節症/進行性下顎頭吸収/虫歯/歯周病/歯の欠損/歯根膿胞/下顎骨骨折/口腔内の腫瘍 ほか
●咬合違和感症候群の治療
咬合違和感症候群の治療は、長期間かかることが多い傾向があります。短期間にすぐに結果を求めるのではなく、あせらず長い目で根気よく治療を続けていくことが大切です。当クリニックでも治療をおこなっていますので、お気軽にご相談ください。
1)カウンセリング、認知行動療法、薬物療法
治療は精神科、心療内科、歯科でおこないます。カウンセリングや認知行動療法のほか、抗うつ薬、抗精神薬、抗てんかん薬による治療をおこないます。薬物療法を拒否する患者さんが多い傾向にありますが、終わりのない咬み合わせの治療を続けていくことは避けていく必要があります。
歯科治療
関連するページ 咬合違和感症候群の治療の流れ
2)咬み合わせ治療
歯科では、レントゲン写真の撮影、咬み合わせの検査をおこない、咬み合わせに問題や異常があれば咬み合わせの治療をおこないます。
患者さんのほとんどが、「咬み合わせを調整しないと絶対に治らない」と考えていますが、咬み合わせの高い、低い、歯の形や当たり方が原因ではなく、脳のわずかな機能異常が主な原因のため、治療はおこなわれない傾向にあります。
咬み合せの治療は、治療を繰り返すほど症状が悪化し、かえって治りにくくなることがあるため、治療をおこなう際は慎重に進めていく必要があります。咬み合せの治療はおこなわず、一時的にマウスピースを使用して治していくこともあります。
3)矯正治療、抜歯
咬み合わせ治療と同様に、歯並びの治療(矯正治療)や抜歯などの外科治療も症状が悪化し、かえって治りにくくなることがあるため、治療は慎重におこなう必要があります。
そのほかの治療として、咬み合わせに問題がない場合は、TCH(歯列接触癖)の是正や治療、マウスピースの装着をおこなうことにより、咬み合わせの違和感を改善していくこともあります。
関連するページ TCH(歯列接触癖)
4)セルフケア
睡眠、休養、食事など、心身の負担が軽くなるような生活習慣の改善をおこないます。
※咬合違和感症候群のご相談、治療ををご希望の方は、お手数ですが事前にご予約ください。
※当クリニックへのアクセスについては、下記のページをご覧ください。
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関連するページ 咬み合わせ治療