入れ歯の痛みがあったときに、歯科医院で調整をおこなうと痛みはなくなります。しかしながら、精密な入れ歯を作製し、いくら調整をおこなっても痛みが続くことがあります。
このような場合は、下記の病気等が考えられます。不安や心配に思われた場合は、歯科医師にご相談ください。
●ドライマウス(口腔乾燥症)
唾液には粘膜を保護する作用があります。加齢、ストレス、口呼吸、薬の服用、糖尿病などで唾液が減ると、入れ歯の使用によって粘膜は傷つきやすくなります。
ドライマウスの患者数は非常に多く、特に高齢者は自身では気付かなくても発症していることがしばしばあります。唾液を増やす薬の服用など、ドライマウスの治療によって改善をはかります。
関連するページ ドライマウス(口腔乾燥症)
●かみしめ
スマートフォンの使用中、料理を作っているときなど、無意識にかみしめていることがあります。長時間のかみしめが続くと過剰な力が粘膜にかかり、鈍い痛みが生じます。かみしめる癖を改善していくことで痛みがなくなります。
関連するページ TCH(歯列接触癖)
●筋・筋膜性疼痛
口周囲の筋肉の疲労によって粘膜が痛むことがあります。何もしなくても鈍い痛みがある、重苦しい痛み、うずく痛みなどの症状があり、痛みは筋肉の活動で増す傾向があります。
痛みは軽いことが多いものの、時には強い痛みが生じることもあります。薬物療法、理学療法により改善します。
関連するページ 筋・筋膜性歯痛
●粘膜の病気
口腔がん、白板症(はくばんしょう)、口腔扁平苔癬(こうくうへんぺいたいせん)といった粘膜の病気が原因で、触ると痛い、食べ物がしみるなどの症状があらわれます。心あたりがあるときは、専門の歯科医師にご相談ください。
関連するページ 口腔がん検診 扁平苔癬
●神経障害性疼痛(三叉神経ニューロパチー)
神経が障害を受けると、不快な鋭い痛み、ヒリヒリ、チクチクといった痛みが粘膜に生じます。入れ歯を外していても痛みはありますが、入れ歯の装着が刺激となって装着直後に痛みがあらわれ、しばらくすると痛みが落ち着くこともあります。専門の歯科医師のもとで治療をおこないます。
関連するページ 神経障害性疼痛 歯科治療後の神経障害性疼痛 神経障害性疼痛 Q&A
●帯状疱疹、脳腫瘍
帯状疱疹(たいじょうほうしん)発症後の神経痛や脳腫瘍でも、神経障害性疼痛と同様の痛みが生じることがあります。
関連するページ 帯状疱疹 帯状疱疹後神経痛
●こころの病気
統合失調症、うつ病など、こころの病気によって痛みが生じることがあります。いくつもの歯科医院に受診して、いくつもの入れ歯を作製したものの痛みは改善しません。当クリニックの経験では、10施設以上の歯科医院に受診して、入れ歯を作製した患者さんもいます。精神科や心療内科での治療が必要となります。
関連するページ 全身のご病気、障害、こころの病気をおもちの方の歯科治療
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