新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、世界中の専門家や医師から喫煙との関係についてのアナウンスがされています。以下はWHO(世界保健機関)、東京都医師会、日本禁煙学会の資料等もとに記載したものです。愛煙家の方の参考になれば幸いです。
●タバコと新型コロナウイルス感染症との関係
新型コロナウイルスによる肺炎は、高齢者や持病のある人がリスクが高いとされていますが、喫煙はそれ以上にリスクが高いとされています。
喫煙者が新型コロナウイルスに感染すると重症化、死亡するリスクが高く、日本禁煙学会の調査によると喫煙者は非喫煙者よりも
重症化率が1.7倍、死亡率は3.2倍にもなりました。中国・武漢でおこなった調査論文では、
重症化リスクが14倍にもなるという報告もあります。
喫煙者は、1)肺の免疫機能が落ちていること、2)口やのどの粘膜が傷つき、異物を体外に押し出す線毛がなくなるなど、ウイルスが侵入しやすくなっていること、3)口内が乾燥して唾液中の免疫物質の力を得られにくいことが考えられます。
過去に喫煙していた人や慢性閉塞性肺疾患(COPD、タバコ病)の患者さんは肺機能が低下しているため、注意が必要となります。
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在宅勤務とタバコ
新型コロナウイルス感染症の拡大により、2020年3月から在宅勤務の人が急増しました。これまでは昼休みしか喫煙しなかった人も、喫煙の回数が増えることが多い傾向にあります。
感染予防のため、喫煙回数や1日に吸うタバコの本数を制限した生活を送るようにしましょう。
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唾液の力で免疫力アップ
唾液にはウイルスや細菌から身を守る免疫物質が入っています。新型コロナウイルスに対してはまだ十分なデータがないものの、インフルエンザウイルスやコロナウイルスの一種であるSARS(重症急性呼吸器症候群)ウイルスの感染予防には有効とされています。
口内が喫煙によって乾燥すると、ウイルスや細菌は粘膜にくっつきやすくなります。ガムをかむ、よくかんで食べるなどして、唾液を出すようにしていきます。
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各方面からの注意喚起
各方面から、自身の命を守るために禁煙をしてほしいとの注意喚起がされています。
東京都医師会は2020年3月12日に記者会見を開き、1)無理せず休む、2)心配であればまず電話、3)禁煙、4)2次被害を考えてほしいと、4つのお願いを発表しました。
WHO(世界保健機関)はしてはいけないことの第1に喫煙をあげ、3月20日にテドロス事務総長が「
タバコを吸わないでください。喫煙は、あなたがCOVID−19にかかった際に重症化させるリスクがあります」との談話を発表しました。4月3日には安倍首相が禁煙について必要な注意喚起をしていくと述べました。
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