●
口腔扁平苔癬と口腔がん
口腔扁平苔癬(こうくうへんぺいたいせん)は、国際連合(国連)の専門機関である世界保健機関(WHO)の定義により、「口腔潜在的悪性疾患(OPDM)」の一つに位置づけられています。
口腔潜在性悪性疾患とは、がんになる可能性が高い状態をいいます。
喫煙、飲酒、口の中の汚れなどの刺激が加わり続けると、がんになることがあるとされています。
そのため、自覚症状がなく口腔扁平苔癬の治療をおこなわない場合でも、定期的な受診をおこない、経過観察をしていく必要があります。
歯肉にできた口腔扁平苔癬(本来赤い粘膜が白くなっている部分)
関連するページ 口腔扁平苔癬 治療 Q&A 口腔がんの予防方法
●
口腔がんの発症率※1−6etc.
口腔扁平苔癬と口腔がんに関しては、世界各地で研究がされています。口腔扁平苔癬が
がんになる割合は0.5〜2%程度と考えられていますが、がんとは無関係とする意見もあります。がんの発生部位では頬の粘膜と舌が圧倒的に多く、次いで口唇、歯肉に多くみられます。
再発を繰り返す粘膜が
ただれた口腔扁平苔癬(びらん型)は、がんになりやすいとされています。治療によって少なくとも網状の模様の口腔扁平苔癬(網状型)に変え、がんになるリスクを下げるべきとの意見もあります。また、
C型肝炎の患者さんはがん化する率は高いとの研究報告もあります。
口腔扁平苔癬の発症からがんになるまでの期間は、短いもので1ヶ月後、長いもので21年後との報告例がありますが、多くは数年となっています。
口腔扁平苔癬のがん化に関する主な研究報告
発表年 |
研究者 |
対象者 |
悪性転化例 |
観察期間※7 |
1999 |
ニューカッスル大学(イギリス) |
832人 |
0.8% |
11年 |
2002 |
シンシナティ市の皮膚科医(米国) |
723人 |
0.8% |
4.5年 |
2004 |
トリノ大学(イタリア) |
402人 |
2.2% |
4.9年 |
2005 |
マルメ大学(スウェーデン) |
724人 |
0.5% |
15年 |
2006 |
ロンドン大学(イギリス) |
690人 |
1.9% |
7年 |
2010 |
ムルシア大学(スペイン) |
550人 |
0.9% |
3-19年 |
2012 |
上海交通大学(中国) |
518人 |
0.9% |
半年-21年 |
2013 |
マシュハド大学(イラン) |
480人 |
0.07% |
― |
キャロルダビラ大学(ルーマニア) |
663人 |
0.9% |
― |
2014 |
ザグレブ大学(クロアチア) |
563人 |
0.7% |
2-8年 |
東京医科歯科大学(日本) |
416人 |
0.4% |
4-13年 |
口腔扁平苔癬は「がん」になる可能性がありますが、否定する意見もあります
関連するページ 口腔がん検診 舌がん
●口腔扁平苔癬が癌化する要因
口の中は細菌、飲食物(辛いものなど)、タバコ、歯、つめ物や入れ歯など、常に刺激を受けやすい環境にあります。特にただれた口腔扁平苔癬(びらん型)は、より刺激を受けやすい状況にあります。こうした刺激が口腔扁平苔癬が癌化する要因と考えられています。
毎日の歯ブラシをしっかりおこない、虫歯の治療をおこない、定期的に歯科医院で歯の清掃(クリーニング、PMTC)をおこなうなどして、刺激が加わらないようにしていきます。
歯のクリーニングを定期的におこない、粘膜に刺激が加わらないようにします
関連するページ 歯のクリーニング クリーニング Q&A 歯のクリーニングの効果
当クリニックで口腔扁平苔癬の治療やご相談をご希望の方は、お手数ですが事前にご予約ください(電話番号:045-910-2277)。
※1 Rajentheran R、McLean NR Malignant transformation of oral lichen planus. Eur
J Surg Oncol.25(5):520-3. ※2 Drore Eisen The clinical features, malignant
potential, and systemic associations of oral lichen planus: a study of
723 patients. J Am Acad Dermatol.46(2):207-14. ※3 Gandolfo S、Richiardi
L、Carrozzo M Risk of oral squamous cell carcinoma in 402 patients with
oral lichen planus: a follow-up study in an Italian population. Oral Oncol.
40(1):77-83. ※4 Larsson A、Warfvinge G. Oral lichenoid contact reactions
may occasionally transform into malignancy. Eur J Cancer Prev14(6):525-9. ※5Ingafou
M、Leao JC、Porter SR、Scully C. Oral lichen planus: a retrospective study
of 690 British patients. Oral Dis.12(5):463-8. ※6 Kanako Matsumoto、Fumihiko
Tsushima Oral lichen planus: a retrospective study of 416 Japanese patients Oral
Surgery, Oral Medicine, Oral Pathology and Oral Radiology117(5)537-656
※7 観察期間はおおよその期間です。
※当クリニックへのアクセスについては、下記のページをご覧ください。
交通アクセス・駐車場案内図(横浜市都筑区、港北区など近隣よりご来院の方)
青葉区・宮前区からのご来院(横浜市青葉区、川崎市宮前区からご来院の方)
小田急線沿線からのご来院(東京都町田市、川崎市麻生区、多摩区などからご来院の方)
横浜線沿線からのご来院(横浜市緑区、相模原市などからご来院の方)
南武線沿線からのご来院(川崎市中原区、高津区などからご来院の方)
広域路線図 広域道路地図(神奈川県、東京都からご来院の方)
新幹線・飛行機でのご来院(神奈川県、東京都以外からご来院の方)
関連するページ 歯科金属アレルギー 扁平苔癬