●多発性筋炎・皮膚筋炎とは
多発性筋炎・皮膚筋炎は、筋肉に炎症があらわれて、力が入りにくくなったり、筋肉が痛んだりする病気です。筋力の低下のほか、疲れやすい、だるい、食欲不振、体重減少といった症状がおきます。
膠原病(こうげんびょう)とよばれる病気に分類され、膠原病のなかでは関節リウマチ、全身性エリトマトーデスに次いで多く、国内には2万人以上の患者さんがいるとされています。特徴的な皮膚症状があるときは皮膚筋炎、ないときは多発性筋炎と診断されます。男女比は1:3、女性に多くみられます。
当クリニックは多発性筋炎・皮膚筋炎を含む特定医療費(指定難病)助成制度の指定医療機関です。
関連するページ 混合性組織結合病(同じような症状のある病気)
●多発性筋炎・皮膚筋炎と歯科
筋力の低下によって歯ブラシが動かしにくくなったり、食べ物が飲み込みにくくなったりします。治療で使用される薬のため、虫歯や歯周病になりやすい、抜歯の際に感染しやすい、血が止まりにくいなどの影響があります。
1)嚥下障害
多発性筋炎・皮膚筋炎の最初の症状として、飲み込み障害(嚥下障害)あらわれることがあります。3~6割の患者さんで首やのどの筋力低下、痛みが生じて、食べ物を飲み込みにくくなったり、むせやすくなったります。発音がしにくくなること(構音障害)もあります。
関連するページ 摂食嚥下障害 訓練 Q&A ステロイド療法中の歯科治療
1)虫歯 歯周病
腕の筋力の低下により、歯みがきが十分にできなくなることがあります。また、多発性筋炎・皮膚筋炎の治療では、ステロイド薬や免疫抑制薬による治療がおこなわれますが、薬を長期間使用していると虫歯になりやすく、歯周病が進行しやすい傾向にあります。
そのため、歯科医院での定期的な歯のクリーニング(PMTC)など、十分な予防処置が必要となります。
関連するページ 歯科検診 歯のクリーニング(PMTC) 虫歯 歯周病
3)口腔カンジダ症 味覚障害
ステロイド薬や免疫抑制薬の影響により、口内にカビが繁殖する病気「口腔カンジダ症」を発症しやすくなります。
カンジダが繁殖すると、口の中がヒリヒリ痛む、食べ物を口にしたときに痛む(接触痛)、食べ物の味を感じにくい(味覚障害)などの症状があらわれることがあります。薬の使用により治療をおこないます。
4)抜歯 歯周外科手術 インプラント手術
ステロイド薬の影響により、抜歯後や手術後に感染しやすくなるほか、傷の治りが悪くなる傾向があります。そのため、これらの治療をおこなうときは、十分な感染予防が必要となります。
また、血液サラサラにする薬(抗血栓薬)を服用することがあり、抜歯、手術の際に血が止まりにくいことがあります。
関連するページ インプラント 抗血栓薬(血液サラサラの薬)
5)顎骨壊死
ステロイド薬を長期間使用していると骨折のリスクが高まるため、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の薬を使用することがあります。骨粗鬆症の薬を使用しているときに抜歯などの出血を伴う治療をおこなったり、合わない入れ歯を使用していたり、口内が汚れていると、あごの骨が細菌に感染し、腐ってしまう病気「顎骨壊死(がっこつえし)」をおこすことがあります。
関連するページ
当クリニックでは多発性筋炎・皮膚筋炎の方の歯科治療をおこなっています。歯とお口の健康、歯科治療について、ご不明な点等がありましたら、お気軽にご相談ください。
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