1990年代から研究が進み、歯周病は単なる歯肉の病気というだけでなく、全身の病気に関与していることが明らかにされました。
歯周病は、歯周病菌が出す毒素によって、歯肉に炎症がおきる病気です。炎症をおこした歯肉からは、歯周病菌が出す毒素や炎症性物質がたくさん放出され、それが血流に乗って全身に及びます。そして、別の場所で思わぬ病気を引きおこしていきます。
歯周病と全身との関わり
●早産
歯周病にかかっている妊婦は、早産の危険が高くなります。これは、歯周病にかかると体内で炎症性物質が増え、この物質が子宮を収縮させて出産を促すためと考えられています。
重症の歯周病になると早産のリスクはタバコ、アルコール、高齢出産よりも高く、7.5倍にも高まります。
歯周病は早産の原因となります
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●心臓病(狭心症、心筋梗塞)
歯周病菌は、心臓の血管の内側を狭くしたり、つまらせ、狭心症(きょうしんしょう)や心筋梗塞(しんきんこうそく)などの心臓病を引きおこすことがあります。
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●脳梗塞
脳梗塞は脳の血管がつまり脳の神経細胞が死んでしまう病気で、身体の麻痺などの後遺症が残ったり、時には生命を奪う病気です。歯周病菌が脳の血管をつまらせることがあり、歯周病は脳梗塞の発症リスクを高めます。
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●糖尿病 肥満
歯周病は糖尿病にも関与しています。糖尿病が歯周病を悪化させ、歯周病も糖尿病を悪化させます。また、歯周病治療をおこなうと糖尿病の症状が改善され、糖尿病の治療をおこなうと歯周病の症状が改善することがあります。
肥満の人は歯周病になりやすく、歯周病菌が出す毒素は脂肪を体内に沈着させ、肥満を引きおこすことが指摘されています。
糖尿病、肥満と歯周病は関連があります
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肝臓病(非アルコール性脂肪性肝疾患)
非アルコール性脂肪性肝疾患の人は歯周病菌が多く、歯周病治療をおこなうことで肝機能が改善されることが明らかにされています。
●関節リウマチ
手足の関節の病気「関節リウマチ」は、歯周病との関連が指摘されています。関節リウマチの患者さんは重症の歯周病になりやすく、歯周菌が原因で関節リウマチを発症するという指摘もあります。
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●慢性腎臓病(CKD)
腎臓の機能が低下するのに伴い、歯周病は悪化する傾向があります。特に腎不全となり、人工透析をおこなっている人は、著しい歯垢や歯石が歯に付着した重症の歯周病を発症する傾向があります。
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●肺炎(誤嚥性肺炎)
歯周病を放置しておくと肺炎にかかりやすくなります。歯周病によって口の中の細菌が増えると、肺に吸引され、肺炎(誤嚥性肺炎)を引きおこすこともあります。
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●インフルエンザ、新型コロウイルス感染症
歯周病菌が増加するとインフルエンザを発症しやすくなるほか、症状が悪化しやすくなります。また、インフルエンザ治療薬の効果も低下します。新型コロウイルスも同様に、歯周病が感染に関わっています。
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●認知症
歯周病は歯を失う最大の原因ですが、歯の本数が少ないほど、記憶や学習能力に関与する脳の海馬が小さくなり、認知症になりやすい傾向にあります。また、歯周病はアミロイドβ(脳細胞を傷つけてしまう物質)を蓄積させ、認知症で最も多いアルツハイマー型認知症を発症させる要因となります。
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●骨粗鬆症(こつそしょうしょう)
骨粗鬆症は骨がもろくなり骨折などをおこす病気ですが、主に骨の代謝に関わるホルモン分泌低下により発症します。全身の骨がもろくなると共に歯を支える骨(歯槽骨)ももろくなり、歯周病が進行しやすくなります。
また、骨粗鬆症で使用される薬(ビスホスホネート系薬剤)を服用していると、抜歯や口内の汚れによってあごの骨が腐る(顎骨壊死)がおきることがあるため注意が必要となります。
トイレ、玄関、廊下で転倒、骨折し、骨粗鬆症に気付くことがあります
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●皮膚疾患(掌蹠膿疱症)
手のひらや足の裏に膿(うみ)がたまり、かさぶたができる病気「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」の原因の一つとして、歯周病が関与していると考えられています。
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●慢性閉塞性肺疾患(COPD)
慢性閉塞性肺疾患とは、タバコを主な原因として肺の破壊や気道の炎症おき、息切れ、呼吸困難などの症状があらわれる進行性の病気です。タバコの煙などで悪化した気道の炎症を歯周病菌がさらに悪化させ、発症リスクを高めます。
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●バージャー病
バージャー病は手足の血管に炎症がおきて血管がつまり、時として手足が腐り、切断が必要なこともある病気です。歯周病との関連が指摘されています。
※2
喫煙はバージャー病以外にも、様々な悪影響を及ぼします
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●がん
ピロリ菌が胃がんを発症することが明らかになったように、歯周病菌は肺がん、食道がん、大腸がん、すい臓がんなどの発症に関わっているとされ、歯周病はこれらのがんの発症リスクを高めるとされています。
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●後天性免疫不全症候群(エイズ)
エイズウイルス(HIV)に感染すると、重度の歯周病になる傾向がみられます。また、歯周病はエイズウイルスの活性化に関与し、エイズ発症の引き金になっている可能性が指摘されています。
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