慢性疼痛(まんせいとうつう)の治療には、薬の服用だけでなく、生活習慣の改善も必要となります。本人が気付いていない生活習慣が、長引く痛みの原因であることもあります。睡眠も一つで、睡眠を改善すると症状が改善することもあります。
十分な睡眠がとれないと筋肉の疲労が回復せずに筋肉痛が長く続いたり、日中の活動量が低下して筋肉量が落ちたり、脳が休めずに気分が落ち込みやすく、痛みを感じやすくなったりします。
【歯と口の慢性疼痛】
長引く歯痛、歯肉の痛み/抜歯後/インプラント手術後/口腔灼熱症候群(舌の痛み)/顎関節症/三叉神経痛/舌咽神経痛/疲労した筋肉を原因とした歯痛(筋・筋膜性歯痛)/関節リウマチ/神経障害性疼痛(三叉神経ニューロパチー)/線維筋痛症/巨細胞性動脈炎/帯状疱疹後神経痛/がん/外傷 ほか
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睡眠薬
女性を中心に、睡眠薬を服用している慢性疼痛の患者さんは非常に多くいます。眠れないからといって安易に睡眠薬を服用することは、できる限り避けるようにします。
特にベンゾジアゼピン系睡眠薬(抗不安薬)は短期間であれば有効であるものの、長期間の服用は気付かないうちに依存になったり(薬がないと眠れない)、楽しみへの関心が失われたり、痛みを悪化させることもあるためお勧めはできません。
主なベンゾジアゼピン系睡眠薬
デパス/エチゾラム/コンスタン/ソラナックス/リーゼ/セルシン/ホリゾン/ワイパック/メイラックス/セレナール/セニラン/レキソタン ほか
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●飲酒、寝酒
アルコールは催眠作用があるためには寝やすくはなりますが、睡眠の途中からは目覚める方向に作用して、睡眠を悪化させるほか、悪夢やいびき、睡眠時無呼吸症候群の原因にもなります。
寝酒を続けるとアルコールに耐性ができて、より多いアルコールが必要となり、悪循環になることがあります。健康な成人がアルコール20g(ビール500ml、日本酒1合)を分解するのには2時間以上の時間がかかります。この時間を考えて寝る前に飲酒をするようにします。
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食事
空腹ですと眠れませんが、寝る直前の食事は内臓が休めず熟睡感が得られないため、就寝の3時間前からはたくさん食べることは避けるようにします。
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運動
痛いからといって日中に家で寝ているなどして活動量が低下すると、夜に眠れなくなります。十分な睡眠をとるためには、日中の運動も大切となります。ただし、寝る直前の運動は交感神経を活発にしてよい眠りがとれないため避けるようにします。
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●そのほか
ペットと一緒で寝ることは、睡眠が妨げられるため避けます。
マートフォンやパソコンのディスプレイに多く含まれるブルーライト(青色光)は目覚める作用があるため、寝室での使用は避けるようにします。
いびき、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠を妨げる病気の可能性がある場合は、専門の医師、歯科医師に相談、治療を受けるようにします。
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