新型コロナウイルス感染症 お口の健康(持病をおもちの方)
(2020年8月30日更新)
持病をおもちの方は、新型コロナウイルス感染症が重症化、死亡するリスクが高い傾向にあります。感染予防、重症化リスクを防ぐためにはお口の健康も重要となります。


中国での7万人の感染者集計データ

免疫力低下につながる持病(基礎疾患)がある人が新型コロナウイルス感染症にかかると肺炎をおこしやすく、重症化、死亡しやすい傾向があります。

中国での約70000人の新型コロナウイルス感染症患者を集計したデータでは、心臓病、糖尿病、喘息などの病気をもつ人の致命率は、健康な成人に比べると6〜11倍も高いという結果となりました。


新型コロナウイルス感染症の致命率
循環器疾患(心臓病 10.5%(11倍)
糖尿病 7.3%(8.1倍)
慢性呼吸器疾患(喘息COPDほか) 6.3%(7.0倍)
高血圧 6.0%(6.7倍)
悪性腫瘍 5.6%(6.2倍)
健康な成人 0.9%


新型コロナウイルス感染症について 学会提言 ウイルス感染に対抗する方法

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国内での感染者集計データ
※国の新型コロナウイルス感染症対策分科会(2020年8月24日開催)資料から

国内で新型コロナウイルス感染症で入院した2636例(2020年3〜7月)を対象におこなった調査では、糖尿病、高血圧、高脂血症、肥満の人が入院患者に多いという結果となりました。

国内患者数と比較して糖尿病、高脂血症の人の入院が多く、これらの病気をもつ人は重症化しやすいと考えられます。


入院患者の持病(全患者2636例に占める割合)
糖尿病 16.7%
高血圧 15.0%
高脂血症(脂質異常症) 8.2%
肥満 5.5%
COPD以外の慢性肺疾患 2.5%
COPD 1.7%

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516例(2020年3月まで)を対象におこなった調査では、男性、高齢、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症などの持病がある人は重症化、死亡するリスクが高いとの結果となりました。

糖尿病の人は集中治療室に入室するリスクが1.5倍、人工呼吸器装着もしくは死亡するリスクが2.5倍に高まる一方で、高血圧の人は重症化、死亡するリスクが高まることはありませんでした。


重症化リスク因子
  集中治療室入室 人工呼吸器装着もしくは死亡
男性 4.2 2.8
年齢(1歳上昇するごとに) 1.1 1.1
糖尿病 1.5 2.5
高血圧  1
高脂血症(脂質異常症) 1.9 2.1
高尿酸血症(痛風ほか) 3.2
慢性肺疾患(COPDほか) 1.9 2.7


新型コロナウイルス感染症は肺炎による死亡が多く、肺炎をおこさないことが重要となります。70歳未満では肺炎による死亡リスクはそれほど高くないものの、70歳以上では肺炎による死亡リスクが非常に高い傾向にあります。

新型コロナウイルス肺炎

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感染症予防とお口の健康

持病(基礎疾患)があると、抵抗力が弱くなり感染しやすい傾向にあります。また、喘息などでステロイド剤が使用されると、抵抗力がさらに弱まります。お口の免疫力も同様に弱まります。

ウイルスは口からやってきます。感染症予防のためには、持病がある人は特に口内を清潔にするなどして、お口の免疫力アップをはかることが重要となります。

虫歯や歯周病の治療をおこなうのはもちろんのこと、毎日の歯みがきをいつも以上にしっかりおこない、定期的に歯科医院で歯のクリーニング(口腔ケア)を受けることで、感染しにくい口内環境を整えていきます。


1)お口を清潔に保ちましょう
毎日の歯みがきをしっかりしたり、歯科医院で歯のクリーニング(口腔ケア)を受けるなどして、口内を清潔に保ちます。歯のクリーニングはインフルエンザの感染・発症を90%減少させることが報告されています。

定期的な歯科医師や歯科衛生士による歯のクリーニング(口腔ケア)が保てないと、肺炎の発症リスクも高まります。歯のクリーニングは、肺炎の発症も抑えることができます。

口内を清潔に保つことは、ウイルス感染症予防や肺炎予防に有効です。

肺炎

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2)唾液の力で免疫力アップ
唾液にはウイルスや細菌から身を守る免疫物質が入っています。新型コロナウイルスに対してはまだ十分なデータがないものの、インフルエンザウイルスやコロナウイルスの一種であるSARS(重症急性呼吸器症候群)ウイルスの感染予防には有効とされています。

口内が乾燥してドライマウスの状態になると、ウイルスや細菌は粘膜にくっつきやすくなります。水分補給を十分におこなうほか、ガムをかむ、よくかんで食べるなどして唾液を出ようにしていきます。

唾液が少ない場合は、ドライマウスの治療をおこなうことで唾液を増やしていきます。

水

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