新型コロナウイルス感染症 お口の健康(高齢の方)
(2020年9月8日更新)
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、多くの人は外出を控え、自宅で過ごす時間が長くなっています。

家で一日中テレビを見ていたり、ぼーっと過ごしたり、誰とも話さない人も多くいます。身体を動かさないこと(生活不活発)によって身体や頭の働きが低下し、フレイル(虚弱)が進んでいきます。

フレイルが進むと、感染症も重症化しやすくなります。感染症予防のためにもフレイル予防をおこなっていくことが大切です。

このページは「新型コロナウイルス感染症への対応について 高齢者の皆さまへ」(厚生労働省)を参考に作成しました。

新型コロナウイルス感染症について 学会提言 ウイルス感染に対抗する方法



新型コロナウイルス感染症の影響(2020年9月8日追記)

国立長寿医療センターと筑波大学が首都圏、愛知、大阪、兵庫、福岡に在住の高齢者1600人を対象におこなった調査では、感染症の拡大(緊急事態宣言)によって高齢者の身体活動時間は、週245分から180分へと26%減少したことが明らかにされました。

身体活動時間の減少は、筋肉の減少、食事量の減少につながり、身体機能の低下、ウイルス感染に対する抵抗力の低下につながります。

調査時期は2020年1月と4月で、本来であれば1月よりも気温の高い4月のほうが身体活動量が増加しているはずですが、4月のほうが歩行などの運動が大幅に減少していました。一方で健康な高齢者とフレイル(虚弱)の高齢者との間で減少率の大きな差はみられませんでした。


感染拡大で高齢者の身体活動量は26%減少
身体活動時間の減少
Yamada M,Arai H,et al.Effect of the COVID-19 Epidemic on Physical Activity in Community-Dwelling Older Adults in Japan: A Cross-Sectional Online Survey J Nutr Health Aging. 2020 Jun 23 :1–3.

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お口の健康

1)動かない時間を減らし、自宅でも運動をしましょう
ラジオ体操やストレッチをしたり、テレビのコマーシャル中に足踏みやスクワットをするなど、運動を取り入れていきます。天気の良い日や朝晩に、人混みを避けて屋外での散歩などの運動をするのも方法です。サイクリングは濃厚接触がないため、おすすめの運動です。

2週間の寝たきりはによって失う筋肉量は、7年間に失われる筋肉量に匹敵するとされています。フレイル予防に運動は欠かせません。

体操

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2)しっかり食べて、かんで、十分な栄養を摂りましょう
様々な食材をバランスよく摂取していきます。十分な栄養を摂ることは、免疫力や筋肉の維持にも役立ちます。肉、魚、卵、牛乳など、筋肉を作る栄養素であるタンパク質をしっかり摂ることが大切です。

食べ物をしっかりかめるようにするには、健康な歯が必要です。虫歯や歯周病の治療をおこなうほか、歯がない場合は入れ歯を作製することにより、健康でしっかりかめる状態にしていきます。

食事

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3)おしゃべりも大切です
高齢の方にとっては、人との交流は大切です。会話は口の筋肉維持だけでなく、フレイル予防にも役立ちます。外出ができず会話をする機会がない場合は、電話でのおしゃべりも有効です。

電話

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4)お口を清潔に保ちましょう
毎日の歯みがきをしっかりしたり、歯科医院で歯のクリーニング(口腔ケア)を受けるなどして、口内を清潔に保ちます。歯のクリーニングはインフルエンザの感染・発症を90%減少させることが報告されています。肺炎の発症も抑えることができます。

お口を清潔に保つことは、ウイルス感染症予防や肺炎予防に有効です。

歯のクリーニング

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4)唾液の力で免疫力アップ
唾液にはウイルスや細菌から身を守る免疫物質が入っています。新型コロナウイルスに対してはまだ十分なデータがないものの、インフルエンザウイルスやコロナウイルスの一種であるSARS(重症急性呼吸器症候群)ウイルスの感染予防には有効とされています。

口内が乾燥してドライマウスの状態になると、ウイルスや細菌は粘膜にくっつきやすくなります。水分補給を十分におこなうほか、ガムをかむ、よくかんで食べるなどして唾液を出ようにしていきます。

唾液が少ない場合は、ドライマウスの治療をおこなうことで唾液を増やしていきます。

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