中川駅前歯科クリニックでは、開業時より歯科金属に対するアレルギー治療をおこなってきました。
以下は、当クリニックに金属アレルギーの診療を目的として来院された患者様200人の統計です。これから来院される患者様、既に来院される患者様のご参考になれば幸いです。
●性別※4etc.
来院された患者様の3割が男性、7割が女性となっています。男性よりも女性のほうが多いのは、指輪、ピアスなど金属製品を身に着ける機会が多いこと、皮膚かぶれなどアレルギー症状に対する関心が高い傾向にあるためと思われます。
他の医療機関においても同様の傾向がみられます。東京医科歯科大学歯学部附属病院・歯科アレルギー外来では女性の来院が79.7%
※1を占め、大阪大学歯学部付属病院では女性の来院が72.5%
※2を占めています。
※1 2001年から2009年に東京医科歯科大学歯学部附属病院歯科アレルギー外来を受診した患者
※2 1991年から2006年に大阪大学歯学部付属病院に来院した金属アレルギー患者
●年齢
来院者の年齢
30歳代の患者様が多く、半数を占めます。40歳代、20歳代、50歳代が次いで多くなっています。
19歳以下の患者様の来院がほとんどないのは、金属のアクセサリーや歯科金属を装着することが少なく、また装着してからの期間が浅いため、金属アレルギーを発症しにくいためと思われます。
●
住所
来院者のお住まい
横浜市からの来院が6割となっています。東京都、千葉県、埼玉県、静岡県など、神奈川県外から来院する患者様も多くいます。
2割ほどの患者様が皮膚科、アレルギー科などの病院、医院からの紹介による来院となっています。
●アレルギー症状※4etc.
アレルギー症状の有無
初診時に何らかのアレルギー症状がある患者様が8割となっています。
口内炎、口腔扁平苔癬(こうくうへんぺいたいせん)、口の中の違和感など、口の中に症状のある患者様は少なく、多くはアトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬(かんせん)、掌蹠膿疱症など、全身に症状のある患者様です。
他の医療機関においても同様の傾向がみられ、大阪大学歯学部付属病院に来院した金属アレルギーの患者さんでは、口の中の症状は2.1%と少なく、アトピー性皮膚炎が67.5%、次いで掌蹠膿疱症が9.4%、湿疹が8.5%と、全身症状が圧倒的に多くなっています。※3
アレルギー症状がない患者様は、2割となっています。アレルギー症状がない患者様は、金属アレルギーの相談のために来院されることが多い傾向にあります。
※3 1991年から2006年までの15年間に大阪大学歯学部付属病院に来院した金属アレルギー患者936人
関連するページ 口腔扁平苔癬
●掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
掌蹠膿疱症
掌蹠膿疱症と診断されて来院される患者様が7.5%となっています。掌蹠膿疱症の患者様のほとんどは、皮膚科の医師にすすめられて来院されます。
※掌蹠膿疱症とは
手のひら(掌)や足の裏(蹠)に膿(うみ)がたまり、剥がれ落ちる病気。歯の根、歯周病、扁桃などの病巣感染、金属アレルギーを誘因として発症するとされています。
関連するページ 掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう) 掌蹠膿疱症の治療 掌蹠膿疱症の歯科治療
●金属アレルギー検査
金属アレルギー検査
初診時に金属アレルギー検査をおこなっていた患者様が6割となっています。ほとんどの患者様がパッチテストですが、リンパ球刺激試験、毛髪検査、Oリングテストをおこなった患者様もいました。
金属アレルギー検査をおこなっていない患者様は、金属アレルギーの相談、パッチテストをおこなう医療機関の紹介を希望して来院されることが多い傾向にあります。
関連するページ パッチテスト
●パッチテストの陽性率※5
※東京都済生会中央病院(505人)、池田市回生病院皮膚科(1827人)、中川駅前歯科クリニック(120人)
パッチテストを受けられた患者様(120人)のなかでは、ニッケル、クロム、コバルト、パラジウムの陽性反応が多いという結果となっています。特にパラジウムは歯科治療で最も使用され、歯科以外ではほとんど使用されない金属のため、来院される患者様の陽性率は高い傾向がみられます。
一般に陽性率が高いとされる水銀は、アマルガム合金、赤チンなどの水銀に接する機会が少なかった年齢層の来院が多いため、それ程高くはありません。
皮膚科でパッチテストをおこない、陽性反応が出てから来院する患者様が多いため、陽性率が全般的に高い傾向がみられます。
関連するページ アレルギーをおこしやすい金属 歯科治療で使用する金属 アマルガム合金
●治療経過
1/4ほどの患者様が、1〜2本の歯科金属の交換をおこなうと、症状に改善がみられ始めます。当クリニックではパッチテスト、溶出傾向検査、金属成分分析検査等をおこない、金属アレルギーの原因物質として最も疑われる歯科金属から交換を始めているのに加えて、「病は気から」といいますが、歯科金属の交換を通して患者様の気が楽になられていることも一因ではないかと思われます。
治療終了直後、1年後、2年後と、時間の経過とともに症状が改善される患者様が増加する傾向にあります。論文等でも同様に、歯科金属を交換すればすぐに症状が改善されるのではなく、少しずつ症状が改善される患者様が多くなる傾向があるようです。
一方で、治療が終了したものの、症状が一向に改善されない患者様もいます。これは、パッチテストで口の中にある歯科金属に対して陽性反応があったものの、アレルギーが別の原因であったと考えられること、歯科金属の交換をおこなっても、日常生活においてアレルギーの原因となる金属製品を使い続けていることなどが考えられます。
※4 高永和、島津恒敏 歯科金属アレルギーの臨床像 Journal of Environmental Dermatology and Cutaneous
Allergology3(4) : 322 2009 ※5 西井貴美子、須貝哲郎、赤井育子、水尾淳、田水智子 金属アレルギーのパッチテスト陽性率と臨床的関連性 皮膚42(1)
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