中川駅前歯科クリニックでは、2000年の開院時より歯科金属に対するアレルギー治療をおこなってきました。

以下は、当クリニックに金属アレルギーの診療を目的として来院された患者様1000人の統計です。これから来院される患者様、既に来院される患者様のご参考になれば幸いです。


●性別※1−3etc.
来院者の性別

金属アレルギーの診療を目的として来院された患者様の約8割が女性となっています。女性が多いのは、指輪、ピアスなど金属製品を身に着ける機会が多いこと、皮膚かぶれなどアレルギー症状に対する関心が高い傾向にあるためと思われます。

他の医療機関においても同様の傾向がみられ、7〜8割が女性となっています。



●年齢
来院者の年齢 来院者の年齢

30歳代、40歳代の患者様が多く、各3割弱を占めます。次いで50歳代、60歳代が多くなっています。

19歳以下の患者様の来院が殆どいないのは、金属のアクセサリーや歯科金属を装着することが少なく、また装着してからの期間が浅いため、金属アレルギーを発症しにくいためと思われます。

金属アレルギーの患者さんの多くは、長年にわたって金属に接していくうちにアレルギー体質になり、発症していきます。

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住所
来院者のお住まい 来院者のお住まい

横浜市からの来院が最も多く約6割となっています。東京都、千葉県、埼玉県など、神奈川県外から来院する患者様が2割近くを占め、15都道府県から来院されました。皮膚科、内科などの医療機関からの紹介により来院される患者様は、増加傾向にあります。

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●アレルギー症状※4、5etc.
アレルギー症状の有無 アレルギー症状の有無

初診時に何らかのアレルギー症状がある患者様が9割以上となっています。

口内炎、口腔扁平苔癬、口の中の違和感など、口の中に症状のある患者様は少なく、多くはアトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬(かんせん)、掌蹠膿疱症など、全身に症状のある患者様です。

他の医療機関においても同様の傾向がみられ、大阪大学歯学部付属病院に来院した金属アレルギーの患者さんでは、口の中の症状は2.1%と少なく、アトピー性皮膚炎が67.5%、次いで掌蹠膿疱症が9.4%、湿疹が8.5%と、全身の症状が圧倒的に多くなっています。

アレルギー症状がない患者様は、1割以下となっています。アレルギー症状がない患者様は、金属アレルギーの相談のために来院されることが多い傾向にあります。

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●掌蹠膿疱症、口腔扁平苔癬
掌蹠膿胞症、口腔扁平苔癬の有無 掌蹠膿疱症、口腔扁平苔癬の有無

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)と診断されて来院される患者様が約2割、口腔扁平苔癬(こうくうへんぺいたいせん)ど診断されて来院される患者様が約1割となっています。

掌蹠膿疱症、口腔扁平苔癬の患者様の多くは、皮膚科や内科の医師にすすめられて来院されます。

※掌蹠膿胞症とは
手のひら(掌)や足の裏(蹠)に膿(うみ)がたまり、剥がれ落ちる病気。歯の根、歯周病、扁桃などの病巣感染、金属アレルギーを誘因として発症するとされています。

※口腔扁平苔癬とは
口の中が赤くなったり、ただれたりする病気。銀歯に接する部位に症状が現れることが多いことから、金属アレルギーも原因の一つとされています。


SAPHO症候群の患者様は掌蹠膿疱症に含めます。

関連するページ  掌蹠膿疱症  掌蹠膿疱症の治療  掌蹠膿疱症の歯科治療



●金属アレルギー検査
金属アレルギー検査 金属アレルギー検査

初診時に金属アレルギー検査をおこなっていた患者様が半数となっています。殆どの患者様がパッチテストですが、ごく一部にリンパ球刺激試験(LST、血液検査)、毛髪ミネラル検査、Oリングテストをおこなっていた患者様もいました。

金属アレルギー検査をおこなっていない患者様は、金属アレルギーの相談、パッチテストをおこなう医療機関の紹介を希望して来院されることが多い傾向にあります。

関連するページ  パッチテスト



●パッチテストの陽性率※6etc.
主な金属のパッチテスト陽性率
※池田市回生病院皮膚科(1827人)、中川駅前歯科クリニック(468人)、愛知学院大学歯学部付属病院(1000人)
※金属アレルギーもしくは金属アレルギーの疑いのある方の検査のため、一般よりも陽性率は高くなっています。


パッチテスト(金属アレルギー検査)の結果では、ニッケル、コバルト、クロム、パラジウムの陽性率(アレルギー反応)が高いという結果となりました。

当クリニックだけでなく、歯科医療機関は銀歯に含まれる金属「パラジウム」の陽性率が高い傾向にあります。同様の結果は、愛知学院大学歯学部付属病院、広島大学歯学部付属病院などからも報告されています。

アレルギーをおこしやすいとされている水銀は、アマルガム合金(銀歯)や赤チンが殆ど使用されなくなったことから、陽性率は年々減少し続けています。

関連するページ  アレルギーをおこしやすい金属  歯科治療で使用する金属  アマルガム合金



●治療経過

1)金属アレルギー
1/4ほどの患者様が、1〜2本の歯科金属の交換治療をおこなうと、症状に改善がみられ始めます。当クリニックではパッチテスト、溶出傾向検査、金属成分分析検査等をおこない、金属アレルギーの原因物質として最も疑われる歯科金属から交換を始めているのに加えて、

「病は気から」といいますが、歯科金属の交換治療を通して患者様の気が楽になられていることも一因ではないかと思われます。

治療終了直後、1年後、2年後と、時間の経過とともに症状が改善される患者様が増加する傾向にあります。研究論文等でも同様に、歯科金属を交換すればすぐに症状が改善されるのではなく、少しずつ症状が改善される患者様が多くなる傾向があるようです。

一方で、治療が終了したものの、症状が一向に改善されない患者様もいます。これは、パッチテストで口の中にある歯科金属に対して陽性反応があったものの、アレルギーが別の原因であったと考えられること、歯科金属の交換治療をおこなっても、日常生活においてアレルギーの原因となる金属製品を使い続けていることなどが考えられます。


2)掌蹠膿胞症
歯科金属の交換により改善される患者様だけでなく、歯の根の治療や歯周病治療により改善される患者様もいます。歯科金属の交換治療は、他の金属アレルギーの患者様よりも改善率がやや低い傾向にあります。


3)口腔扁平苔癬
金属アレルギー、掌蹠膿胞症の患者様に比べると、治療は長くかかり、改善率は低い傾向にあります。あきらめずに根気よく通院していくことがポイントとなります。



※1 2001年から2009年に東京医科歯科大学歯学部附属病院歯科アレルギー外来を受診した患者  ※2 1991年から2006年に大阪大学歯学部付属病院に来院した金属アレルギー患者  ※3 2000年から2012年に東京歯科大学千葉病院歯科金属アレルギー外来を受診した患者  ※4 1991年から2006年までの15年間に大阪大学歯学部付属病院に来院した金属アレルギー患者936人  ※5 高永和、島津恒敏 歯科金属アレルギーの臨床像 Journal of Environmental Dermatology and Cutaneous Allergology3(4) : 322 2009  ※6 西井貴美子、須貝哲郎、赤井育子、水尾淳、田水智子 金属アレルギーのパッチテスト陽性率と臨床的関連性 皮膚42(1)


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治療データ(歯科金属アレルギー)
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