長引く歯、舌、歯肉の痛みなどの慢性疼痛(まんせいとうつう)には、精神的な病気、障害、人間関係などが関与していることがあります。慢性疼痛の治療は、これらも考慮して進めていくことが必要となります。
【歯と口の慢性疼痛】
長引く歯痛、歯肉の痛み/抜歯後/インプラント手術後/口腔灼熱症候群(舌の痛み)/顎関節症/三叉神経痛/舌咽神経痛/疲労した筋肉を原因とした歯痛(筋・筋膜性歯痛)/関節リウマチ/神経障害性疼痛(三叉神経ニューロパチー)/線維筋痛症/巨細胞性動脈炎/帯状疱疹後神経痛/がん/外傷 ほか
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身体症状症
身体症状症とは自覚症状に見合う身体の異常や検査結果がないにも関わらず、痛みなどの症状が続く病気です。慢性疼痛にも大きく関与しており、足腰に問題ないのに痛みで歩けない、入れ歯を何度作り変えても痛みが続く等の症状があります。
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●うつ病
痛みのある人にうつ病が多いことは知られており、腰や背中、首の痛み、頭痛、口や顔の痛み、線維筋痛症、過敏性腸症候群などにおいて、うつ病を合併していることがあります。また、うつ病は慢性疼痛のリスクを上げます。
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●不安障害、パニック障害
不安障害、パニック障害もうつ病と同様に、慢性疼痛の有病率が高くなっています。痛みがあると不安が強くなり、慢性疼痛のリスクが高まります。不安、うつと痛みとは強い関係があります。
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●認知症
高齢者は身体に痛みが生じやすいものの、認知症があると痛みの診断や治療が不十分になることがあります。痛みが長く続くと、認知症の症状である気分の落ち込み、不安感、焦燥感がより強くなることがあります。
また、難治性の慢性疼痛では、認知機能が低下して認知症と誤って診断されてしまうこともあります。
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発達障害
慢性疼痛では、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動性障害(ADHD)が原因の一つとなることがあります。慢性疼痛の治療をきっかけとして、発達障害がみつかることもあります。
自閉スペクトラム症では、こだわりによる運動や動作の習慣によって痛みが続くことがあります。ADHDでは、一般の人よりも痛みを感じやすく、筋肉の緊張が強いため、また不注意や多動を原因として痛みが続くことがあります。
ADHDは大人になってから診断されることもあり、舌の痛みが10年近くも続き、ADHDと診断され治療をおこなってから舌痛が改善した例もあります。
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人との関係
家族や友人との関係、職場でのストレスが慢性疼痛の要因となることもしばしばあります。
夫婦や友人との関係がぎくしゃくしたり、子供の反抗期、家族や親しい人の病気や死亡など、家族や友人との関係が慢性疼痛の要因となることがあります。
職場においては、仕事への満足度、周囲から受ける評価と自分自身が考えている評価との差、左遷や降格が慢性疼痛の要因となることがあります。
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